ドコモが秋冬新製品端末としてZTE製のON 01を発表、発売を開始した。ワンナンバーサービス対応端末として、iPhoneとApple Watchの組み合わせに続き、Android端末と組み合わせて使える最初の製品だ。

  • ドコモが26日に発売した「ワンナンバーフォン ON 01」

月額500円で使えるスマホのクローン

端末そのものの55gという軽さ、1.5型ディスプレイという小ささ、7mmという薄さも魅力だが、ワンナンバーサービスが利用できる端末がひとつ増えたことは高く評価したい。価格も1万円以下、アクセサリなので契約期間のシバリ等に拘束されずに導入できる。ものは試しに1カ月だけ使ってみよう、便利だったら契約を続けるといったこともカンタンだ。

ワンナンバーサービスは500円/月で、いわばいつも使っている端末のクローンを持てるというものだ。電話がかかってくれば両方の端末のベルが鳴るし、電話をかける場合も、契約しているいつもの回線で発信したのと同じ事になる。通話料金は同じ契約のものが使われる。カケホーダイなら両端末がカケホーダイだ。

ドコモではこのサービスを利用するメイン端末を親機、サブとなる端末を子機と呼んでいる。親機になれるAndroid端末は、これまで発売されてきた各種スマートフォンが豊富にラインアップされているが、子機となれるのは現時点でこの製品に限られる。これは大きな制限でもある。子機も任意のスマートフォンを選べればいいのにと思うとちょっと残念だ。

2つの端末にひとつの電話番号を割り当てる

ワンナンバーサービスは、従来のシェアサービスと似ているが、そのネーミングから想像できるように電話番号が見かけ上、ひとつしか付与されない点で大きく異なる。既存サービスでは端末に対して電話番号はユニークで、端末の数だけ契約が必要だったからだ。

似たような形態として企業などの固定電話回線で使われる代表電話番号がある。こちらは複数の電話番号をまとめるもので、ひとつの電話番号にかかった着信を、どの番号の電話番号の端末でも受けることができる。こちらは端末ひとつに2つの電話番号が割り当てられているイメージだ。

一方、ワンナンバーサービスは、2つの端末にひとつの電話番号を割り当てることになるので、ちょうど逆のイメージになる。固定電話でいえば、各部屋に並列接続された電話コンセントがあって、電話がかかってくれば、すべての電話機のベルがいっせいに鳴り、どれでもとれるし、どの電話機からでもかけられる。もちろん契約回線はひとつでいい。それと同じような建て付けと考えればいい。固定電話は家の中という閉じられた空間でのワンナンバーを実現できたが、携帯電話の世界では、それが外に飛び出したということでもある。

イメージはApple Watch。FeliCaがないのが残念

ドコモでは、このサービスをApple Watchの使い方の延長線上にあるものとして考えているようで、ちょっと近所におでかけするなら子機だけで、親機のバッテリ消費を抑えるために通話は子機で、といった使い方を提案している。

ちょっと前なら個人事業者が、自宅作業をしている相棒が親機を持ち、経営者が子機を持って出先で営業といった用途のために飛びついたと思うが、ここまで携帯電話が浸透してしまった以上、あくまでも一人のユーザーのために便宜をはかるサービスと考えていいだろう。惜しいと思うのは、Apple WatchのようにFeliCaが使えない点だ。身軽に近所のコンビニに買い物に行ったり、ジョギングにでかけるときこそ、FeliCa、つまりはおサイフケータイとして使いたいと思うんじゃないだろうか。あとは充電端子がmicroUSBということくらいか……。

ドコモには2台目プラスというサービスがあって、同一名義の場合は、シェアオプションとして500円/月で2台目の端末で対象回線のパケットパックをシェアできる。割高なシェアパックを契約する必要もない。2代目プラスのサービスは2回線目はデータ専用で電話番号は独立しているが音声の発着信はできない。逆に、今回の製品はVoLTE対応だが、テザリングなどのデータ通信に依存する機能はないので、通話専用と考えていいだろう。そういう意味でも、このサービスをモバイルルータで使いたいといった需要にも、将来は応えてほしいと期待する。

今、大手キャリアは料金が高すぎるといった政府からの圧力に耐え忍んでいるようだが、こうしたサービスの充実など、まだまだやれることはあるはずだし、高いとされる料金を支払うユーザーは、こうしたきめの細かいサービスに期待しているんじゃないだろうか。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)