2020年10月9日、さまざま分野で活躍する有識者たちが1つのテーマについて議論を戦わせる異色のイベント「異種格闘技戦’20」が開催された。

同イベントは、京セラの研究開発部門本部が主催する、「KYOCERA Virtual Open Lab Day」のセッションの1つとして執り行われたものであり、2019年に京セラのみなとみらいリサーチセンターのオープニングイベントとして開催された「異種格闘技戦‘19」に続く第二弾として企画されたものである。

かつてプロレスラー、アントニオ猪木がプロレスこそが最強の格闘技であることを証明するために柔道やキックボクサーなどさまざまな格闘家と激闘を繰り広げた異種格闘技戦。こうした異分野のプロフェッショナル同士が繰り広げる闘いは、それまでにない新しい価値を生み出してきた。では、今回の異種格闘技戦’20ではどのような議論が繰り広げられたのだろうか? 今回から、複数にわたって、その繰り広げられた議論の様子をお届けしていきたい。

テーマは「Power of DESIGN 混沌から生み出す美しい未来」

異種格闘技戦’20のテーマは「Power of DESIGN 混沌から生み出す美しい未来」。このテーマのもとに議論を繰り広げるのは、モデレーターとして参加した「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」などの著作で知られ、組織開発や人材育成などを専門としている独立研究者で著作家の山口周氏をはじめとした7人の個性は研究者たち。以下に6人のパネリストの氏名と、その簡単な紹介を行いたい(以下、敬称略)。

  • 「異種格闘技戦’20」の参加者7名

    「異種格闘技戦’20」の参加者7名 (出所:京セラWebサイト)

ウスビ・サコ

「教育者」。京都精華大学の学長で、「空間人類学」をテーマに暮らしの身近な視点から、多様な価値観を認めあう社会のありかたを提唱している。

スプツニ子!

「アーティスト」。東京藝術大学美術学部デザイン科の准教授であり、2013年からマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教としてデザイン・フィクション研究室を主宰している。

川上浩司

「工学博士」。京都大学情報学研究科の特定教授、および京都先端科学大学工学部の教授で「不便益システム研究所」を主催している。専門はシステム工学で道具や装置の仕掛けのデザインを専門に研究しており“不便さがもたらす益”について研究を行っている。

山口絵理子

「実業家/デザイナー」。マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナー。2006年に「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念にマザーハウスを設立。現在、バングラディシュなど6つの国に直営工場を構え、日本など4か国に店舗を展開しバッグ、ジュエリーを販売している。

暦本純一

「情報工学者」。東京大学大学院情報学環の教授でソニーコンピュータサイエンス研究所副所長でもある。センシング技術や、自然なインタラクション手段の研究など「人間とコンピュータのより快適な関係」をテーマに研究を行っている。

深澤直人

「工業デザイナー」。多摩美術大学統合デザイン学科の教授であり、工業デザイナー。電子機器から家具、建築まで多岐にわたって、世界各国のブランドの製品デザインや日本国内企業の製品デザイン、デザインコンサルティングを手掛けている。

ちなみに、今回のテーマである「Power of DESIGN 混沌から生み出す美しい未来」には、新型コロナウイルスにより、”混沌“がもたらされた社会において、それは同時に過去から作り続けられ、簡単に変えることが難しかった”社会“や”コミュニティ“をリセットし、1から社会を構想(デザイン)する機会になるのではないだろうかという意味が含まれているという。

このような大テーマのもと、前半戦を「今の時勢をどうとらえているか?」というテーマで、そして後半戦は「どのようにReDesignしていきたいか」というテーマで6人が自分の経験や価値観の下に激しい議論を繰り広げた。 モデレーターの山口周氏が打ち鳴らしたゴングを合図にいよいよ始まった「異種格闘技戦‘20」。その熱戦の模様については、次回以降、詳しくお届けしていきたい。

(次回は11月12日に掲載します)