連載第4回は、「Aspire8930G-B48」。人気の高いNetbookやフェラーリ社公認ノートPCなどで日本でも知名度を高めている日本エイサーのマシンだ。海外メーカーでは珍しい大画面液晶搭載のAVノートPCでスペック的にかなりの高性能なうえ、国内メーカー製のモデルに迫る実力を備えながらも20万円を切る低価格となっているのが注目だ。

国産AVノートPCに負けない高級感と高機能

18.4型ワイド液晶を搭載した大型モデルである本機は、見た目のピアノフィニッシュ風の光沢仕上げにより、高級AVノートPCとしての風格も十分。オリジナルのソフトウェアとして、サラウンドの設定やパワーマネジメント、データのバックアップなどをカンタンに行える「Acer Empowering Technology」を採用。

キーボード上部の「e」ボタンからプルダウンメニューを呼び出すことができ、AV機能をはじめとする各種の設定を手軽に行うことができるなど、独自のアプリケーションも搭載されている。国産のAVノートPCに匹敵するほどで、充実した使い勝手を求める人にも不足を感じさせない入念な造り込みが印象的だ。

Aspire8930G-B48

操作性:デジタルガジェット感覚を生かしたメディアコンソールがユニーク

タッチセンサーによる「メディアコンソール」。未来風のデザインは見た目のアピール度も満点なうえ、各操作ボタンの配置もわかりやすく使いやすい

評価★★★★★
本体を見たときになによりも目を引くのが、キーボードの左側に配置された「メディアコンソール」だ。これはSF映画に出てくるような未来的なデザインで、BD/DVDソフトの基本操作や音量調整などが行えるショートカットボタン。十字キー操作や決定ボタンもあるので、基本的な操作はほとんどここからできてしまう。操作はタッチセンサーなので触れるだけで快適に使うことができ、操作部分が大きいので使い勝手も良い。

デザインは好みが分かれる部分かもしれないが、AVプレーヤーボタンとしてはかなり優秀。ポータブルプレーヤー的な使い勝手を重視している人には最適といえる。

レスポンス:操作の反応は問題ないが、多少再生が乱れることが…

AVソフトなどの再生はオリジナルソフトを「Acer Arcade Deluxe」使用。AV機器風のシンプルなインタフェースとなっており、操作がわかりやすい

評価★★★☆☆
BD/DVDソフトの再生、音楽や静止画再生といった機能はオリジナルの「Acer Arcade Deluxe」で操作する。AV機器ライクなわかりやすい使い勝手で、AV機能を一括してコントロールできる。BDソフトの再生では、早送り/早戻し、再生をはじめとする操作はもちろん、メニュー選択などもスムーズに操作できた。

ただし、ソフトによっては少々映像が乱れることがあるなど、若干安定感に欠ける部分もあった。このほか、視聴テスト用にBDに保存したハイビジョンビデオカメラの映像(AVCHD型式の動画)の再生には対応していなかったなど、機能的に少々不足もある。このあたりは今後の改善に期待したい。

画質:忠実で精細感の高い映像。見通しのよい爽快感のある映像だ

AVCHD動画のままでは再生できなかったので、別のテスト用映像を使用。フルハイビジョンの情報量をしっかりと再現し、精細感の高い映像が再現できた

評価★★★★☆
16:9画面のフルHD解像度の18.4型液晶は艶やかな光沢パネルで、従来機よりも33%色再現領域を拡大した「Acer CineCrystal」を採用。その映像は精細できめが細かく、BDソフトの高解像度の映像を緻密に再現していた。色再現も原色の鮮やかさや肌の自然さをしっかりと再現する。色再現の実力はなかなかのものだし、派手さを抑えた忠実感のある色なので不自然さはない。CG主体の濃いめの色調の作品から、フィルムのニュアンスをきちんと再現した自然な映像のものまで、多彩な色再現を柔軟に表現している。

欲を言えば若干コントラスト不足で黒の締まりが欲しくなるが、一般的な明るさの室内で見るならそれほどの不満はない。残念だったのはDVDソフトの再生で、フルHD解像度のディスプレイに拡大表示すると、やや映像が甘くなり見づらい印象になってしまった。

音質:リアル5.1chのスピーカーにサブウーファーも搭載

評価★★★★☆
内蔵スピーカーはリアル5.1chで、パームレストの手前に3チャンネル。キーボード上部に2チャンネルのスピーカーを搭載。サブウーファーは独自の「Tuba CineBassブースター」で、ヒンジ部分にポート部が内蔵されている。この装備からはいかにも低音のエネルギーがモリモリと出てくるように思ったが、実際には低音そのものはやや控えめ。アクション映画の爆発音などではもうちょっとパワー感があってもいいかなとも感じるが、もやもやとした不明瞭な低音にならないので、音楽ソフトなどとの相性は良い。

良好なのはサラウンド感で、聴きやすいセリフに広がり感の豊かなBGMがクリアに再現され、まさにリアル5.1chのサラウンド感を再現してくれた。机の上に置いて比較的近い距離で視聴するなら、ヘッドホンよりも臨場感のあるサウンドが楽しめるだろう。このほか、5.1ch音声出力にも対応するなど、ホームシアター的な拡張ができるのもユニークなポイントだ。

ただ、冷却ファンのノイズが少々大きいのが難点。ファンが回り始めると動作音が大きくなって耳障りになってしまう。映画鑑賞時には少々気になるところだ。

パームレスト手前に備えるフロント/センタースピーカー。軽やかに音が広がる一方で、セリフなどはクリアに再現されるため、とても聴きやすい

キーボード上部にはサラウンドスピーカーを配置。独特の配置ながらサラウンドの再現力はなかなかのもの

拡張性:HDMI端子搭載をはじめ、ビジネス用途でも十分な装備を誇る

HDMI端子やDisplayポート、eSATA/USB2.0端子と充実した接続端子を装備。ちょっとした省スペースデスクトップと変わらない充実装備だ

評価★★★★★
サイズの大きなAVノートだけに、本体部に豊富なインタフェースを備える。HDMI端子は当然として、光デジタル音声出力などのAV出力もしっかり搭載。

このほか、eSATA/USB2.0兼用ポートやDisplayポート、ExpressCard/54スロットなど、ノートPCとしての装備も充実している。AVノートPCとしてはもちろんだが、ビジネス用途でも使いたいと思う人にも十分な性能を装備を持っている。

総評:やや荒削りな部分もあるが、実力の高さや機能性は抜群

評価★★★★☆
DVD再生の画質やファンノイズなど、国内のAVノートPCと比べるとやや荒削りな部分も残っているが、BD再生の画質や5.1chサラウンドの音質、そして快適な操作性などはかなりのもの。正直なところ、こうした高級AVノートPCは国内製が圧倒的に強いと思っていたのだが、かなり健闘していたことには驚かされた。価格的な差を考えるとかなりお買い得モデルといえる。

期待したいのは地デジ放送の視聴・録画への対応や国内で主流のAVCHD動画などへの対応。海外メーカーには厳しい部分だがこれらをクリアすれば、十分に国内AVノートPCに対抗できるモデルに成長するだろう。

日本エイサー
Aspire8930G-B48
操作性 ★★★★★
レスポンス ★★★☆☆
画質 ★★★★☆
音質 ★★★★☆
拡張性 ★★★★★
総合評価 ★★★★☆
■仕様
CPU Intel Core 2 Duo T9400(2.53GHz)
チップセット Intel PM45 Express
メモリ 4GB(最大4GB)
HDD 480GB
光学ドライブ BD-ROM
グラフィックスチップ NVIDA GeForce 9600M GT
ディスプレイ 18.4型ワイド(1,920×1,080ドット)
ネットワーク IEEE802.11a/b/g/n、10/100/1000BASE-T
インタフェース USB2.0×3、eSATA/USB共用×1、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI出力端子×1、ExpressCard/54×1、Displayポート×1、マルチカードリーダー×1、Bluetooth、100万画素Webカメラほか
OS Windows Vista Home Premium
バッテリ駆動時間 約2.5時間
サイズ 約W441.4×D300×H40.2~44.2mm
重量 約4.1kg
実勢価格 181,475円

ライタープロフィール
鳥居一豊 : モノ雑誌やWeb媒体で活躍するAV系フリーライター。発売されるありとあらゆるAV機器に触れており、その機能を熟知している。この連載ではAVという観点からノートPCをレビューする。