「最近のレンズはどれも優秀すぎて面白くない(笑)」なんて言っている人はいませんか? そんなレンズの描写に個性を求める向きにぴったりなレンズ「Lensbaby Twist 28」(以下、Twist 28)が7月に登場し、一般的なカメラレンズとはかなり異なる面白い写り方が話題になっています。さっそく実機をお借りして試してみました。

ソニーEマウント、ニコンZマウント、富士フイルムXマウント、マイクロフォーサーズマウントがあり、実勢価格は32,800円ほどとなっています。

  • ソニー「α7 III」に装着した「Lensbaby Twist 28」。日本ではケンコー・トキナーが取り扱っています

    ソニー「α7 III」に装着した「Lensbaby Twist 28」。日本ではケンコー・トキナーが取り扱っています

あの名レンズの渦巻きボケを再現!

Twist 28はフルサイズ対応の単焦点レンズで、焦点距離は28mmです。絞りはなく、明るさはF3.5固定。フォーカスはマニュアルで電子接点もありませんので、カメラ側で「レンズなしレリーズ」などの設定を許可して使います。

見た目はいわゆるパンケーキレンズで、かさばらないのもいいですね。鏡胴は金属製で、しっかりした質感もありました。ピントリングは90度ほどの回転角で粘りもあるので、ピント合わせはしやすいと思います。

  • 見た目はパンケーキレンズそのもの

    見た目はパンケーキレンズそのもの

  • マウントも金属製。電子接点はありません

    マウントも金属製。電子接点はありません

Twist 28は絞りが固定なので、シャッター速度と感度で露出の調整をします。絞り込むことはできませんが、夏の日中でもISO100、1/4,000秒で写せば露出オーバーにはならないようでした。

さて、このレンズの特徴はペッツバール型レンズの渦巻きボケが再現されていることです。ペッツバール型レンズは19世紀に登場したカメラ用レンズで、独特の描写になることからファンもいて、いくつかの復刻品も作られています。

そんなストーリーのレンズが、比較的低価格かつミラーレスカメラで楽しめるというのがTwist 28の美味しいところでしょう。ただし、相当の“クセ強”レンズなので、作例パートで述べるように使いこなしもポイントになってきます。

モノクロ写真とも相性良し!

最初に遠景を撮影してみました。ご覧のとおり、きちんと解像するのは中央部のみで、周囲は被写界深度に入っていてもボケたように写ります。

加えて、周辺減光が大きめで四隅は黒くなるほどです。これらが組み合わされることで、視線を中央に導く効果が生まれるのはメリットといえます。

ちなみにこのレンズ、周辺部でピントを追い込んでもやはり解像はしません。主題を中央付近に配置した構図にするのが使いこなしの前提になるでしょう。

そういうわけで、続いてはハスのつぼみを中央に配置してみました。このとき出現したのが例の渦巻きボケです。背景が同心円状に流れるため、不思議な効果が得られます。この効果を活かしてポートレートにチャレンジするのも面白そうです。

なお、中央部のピントの合った部分に関してはかなりクッキリとした写りになっていました。

次は、たくさんの風鈴を撮ったものですが、周囲が流れて写るため、28mm F3.5というスペックよりも被写界深度が浅いような写りになりました。これもTwist 28の面白いところです。

こちらはお祭りの出店を撮ったものです。中央から外れている部分はなかなかソフトな描写になっており、ドリーミーとも言えそうな雰囲気です。

こうした写りは、一般的なレンズだとマイナスとなってしまいますが、この場合は“夏の湿度感”といったものを感じさせるしっとりとしたイメージになっており、これはこれで良しとできそうです。

このように、Twist 28はまさにオールドレンズのような写りが楽しめます。そのため、下の写真のようにレタッチをすると一層雰囲気も出てきました。レトロなフィルターで加工するのにも適したレンズだと思いました。

そして、モノクロ写真との相性もよいことが分かりました。オールドレンズ風と言ってもコントラストが悪いわけではないので、下の作例のようにしっかりとした明暗が表現されます。ここでも、渦巻きボケと大きめの周辺減光が良い効果を生んでいると感じました。

レンズ先端から約20cmの接写もできるので、ワイド感のあるアップも狙えます。このときも盛大に渦巻きボケが見られました。

夕方に逆光での撮影をしてみました。画面に太陽が直接入る構図ですが、大きく乱れることはなく、思ったよりはクリーンな画面でした。太陽の位置からシャワー状のゴーストが出ていますが、これも面白い効果と言えそうです。

最後に、夜のシーンを撮ってみました。主題に近づけば、それなりに背景をぼかすことができます。距離の条件次第では、しっかりした玉ボケも作れます。玉ボケ自体は年輪ボケにはならず、きれいなものでした。

新品で買えるオールドレンズ

同社でペッツバールの写りを再現したレンズは、これまで望遠寄りの「Twist 60」や超広角の「Sweet 22」もありましたが、今回のSweet 28はスナップにもちょうど使いやすい画角で登場したところがポイントでしょう。普段使いもしやすいと思います。

マニュアルフォーカスですが、ミラーレスカメラならピーキングや拡大機能といったピント合わせのサポート機能を利用でき、こういったレンズも一眼レフ時代よりも使いやすくなりました。

中古のオールドレンズは状態もさまざまで購入にはハードルの高さもありますが、Sweet 28なら新品でオールドレンズのような写真が撮れます。メーカー純正品にはない変わり種のレンズが欲しい人は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?