これはインデックス? ダイヤル? 「棒略字」
デザイナーは和田実穂氏。
和田氏「私は略字(インデックス)、特に棒略字(バーインデックス)が大好きで、これを存分に使った時計、ダイヤルを棒略字だけで構成した時計をデザインしました。
今回、略字の位置を固定するための正確な加工ができるということで、しかもそれが高級感のあるダイヤカットでもできると聞きました。例えば、棒略字の四面それぞれにダイヤカットを入れると、非常に滑らかで美しい表面が実現できます。稜線の幅がゼロに近い、鋭いエッジも出せます」
和田氏「棒略字はガラス風防の下に位置するので、磨き上げた表面やエッジに触れないし、傷も付きません。その輝きを永遠に保つことができます。また、角度をそろえることによって反射光がそろうと言いますか、一気に光が増幅されるというか、そんなキラキラした光を見せることもポイントです」
和田氏「キラキラ光ったかと思うと、急に影になるみたいなところも魅力です。ただ、それを引き出そうとして、一般的な時計のインデックスが三種類で12本なのに対して、この時計では23種類で37本っていう数になってしまって(笑)。加工担当も“えっ!”ていう反応で、どうしようかなと思ったんですが、今回の目的を話して、なんとかここまで収めました。
本当はもうちょっとやりたかったんですけど、本数を抑えて、種類も共通化させたりしつつ、でも結局、この本数になってしまいました(笑)。
断面図でを見ていただくと分かるのですが、実は時針/分針の高さに差をつけて設計しています。時針が通る部分には低い略字を敷き、分針が通る部分にはもう少し高い略字、ダイヤル端で針が通過しない位置には最も高い略字を敷くという具合です。
立体感と略字のバリエーションも大事ですが、時計である以上、時刻が分からなければなりません。そこで12時、3時、6時、9時に関しては目立つ仕上げにして、1時、2時、4時、5時、7時、8時、10時、11時にはピラミッド型の略字を配置しました」
時刻から主役交代「曜日表示」
デザイナーは長谷川明弘氏。
長谷川氏「曜日表示に特化した時計です。日付表示は付いていません。その代わり、今日の曜日を大きく、明日の曜日を小さく表示。これは今日と明日の距離感の表現です」
長谷川氏「“明日が何曜日か”を意識することってありますよね。例えば、“明日は土曜日だから、何とか今日一日を乗り切ろう”とか。そんな思いを呼び起こしたいと考えました。
曜日窓の前に“好日”と書いたのは、その日が何曜日でも、いい日であってほしいという願いです。これは、英語の“Beautiful”、“day”も同じです。
円盤がじわじわと回って、曜日表記が窓から顔を出す。スマートウオッチの人気が高まる現代でも、この古めかしくも感じる機構は、今も時計に搭載されています。それを私は、“心に作用するローテク”だと思うのです」
長谷川氏「ダイヤルにはトリックアートも仕込んでみました。曜日窓やインデックスに立体感を感じていただけると思うんですが、これらはすべて平面に陰影を描いたものです。この曜日窓も実は奥行きはまったくなくて、ダイヤルには厚みもなく、角を若干丸めた四角い穴が空いているだけなんですよ」










