富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は1月13日、2026年春モデルとして4シリーズ・7機種のFMV新製品を一挙発表しました。新モデルの多くが、MicrosoftのAI PC基準を満たす「Copilot+ PC」に準拠しています。
同社は“ハード×アプリ×サービスの三位一体でAI体験を提供する”とアピール。ラインナップは下記の通りです。
- FMV Note A:16型ノートPCとして同社初のCopilot+ PC
- FMV Note P:家の中で持ち運びやすい16型ワイド液晶ノートPC
- FMV Note U:FMV初となるSnapdragonプロセッサ搭載モデルも用意した14型ノートPC
- FMV Desktop F:27.0型または23.8型の大画面液晶を搭載。上位機はFMV初の一体型デスクトップCopilot+ PC
ブランド刷新から1年。FMVの現在地
FMVはちょうど1年前の2025年1月16日、ブランドの大々的なリニューアルを発表しました(関連記事「ブランド刷新のFMV、“心地よさ”目指したZ世代向け13.3型ノートPC「Note C」実機を見た」)。
2026年春モデル発表会に登壇したFCCL代表取締役社長の大隈健史氏は、ブランドリニューアルを象徴するノートPC新製品「FMV Note U」と「FMV Note C」の2機種が市場から好調な反応を得ていると紹介。
最軽量構成で約634gと軽さを追求したFMV Note Uは、その初代モデルが登場した7年前の2017年と比べ、現在は店頭販売が2.7倍、Web販売が5.6倍に伸び「指名買いされるPCになった」としたほか、若者向け13.3型モバイルPCであるFMV Note C購入ユーザーは過半数が学生(53%)・10代~20代(65%)、女性(55%)と、これまでFMVブランドが訴求しきれなかった新規ユーザーの獲得に成功したといいます。
Snapdragon初採用で広がるユーザーの選択肢
2026年春のFMVシリーズは「人に寄り添うAI」を鍵に、モバイルPC、大画面ノートPC、一体型デスクトップPCの全フォームファクターでCopilot+ PCを提供します。
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2026年春のFMVシリーズ。16型ノートPC「FMV Note A」と「FMV Note P」、14型ノートPC「FMV Note U」、一体型デスクトップPC「FMV Desktop F」が登場した
注目モデルはFMVシリーズで初めてQualcommプロセッサ搭載モデルを用意した14.0型の軽量ノートPC「FMV Note U」。シリーズとしてはSnapdragon X X1-26-100搭載モデル「UQ-L1」と、Intel Core Ultra 5 226Vを搭載した「U59-L1」の2機種を提供します(いずれもCopilot+ PC)。
FMV Note Uはアメリカ国防総省が規定したMIL規格に準拠した試験をクリアする堅牢性を持ちながら、最軽量構成で約634gの軽さを実現。軽いとバッテリー駆動時間は短いかと思いきや、動画再生時で約13時間、アイドル時で約21.0時間(JEITA 3.0、仕様値)と電源アダプタなしで1日利用できるレベルに仕上がっています。
なお約634gのFMV Note U「FMV WU6-L1」(FMV Zero)は同社ECサイト「WEB MART」でのみ販売し、価格は184,800円から。
またU59-L1はLunar Lakeの開発コード名で知られるIntel Core Ultra 5 226Vプロセッサを搭載した新モデル。重さは908gですがタッチパネルによる直感操作が可能で、学生や若年層を意識した1台です。
FMV Note Uを含むFMVシリーズは仕様が決まっているカタログモデルのほか、ストレージやメモリ、アプリなどを選択できるカスタムメイドモデルが用意されます。FMV Note Uの構成例はこちら。
FMV Note Uシリーズ・構成の一例
| UQ-L1 | WU6-L1(FMV Zero) | U59-L1 | |
|---|---|---|---|
| OS | Windows 11 Home 64bit | ||
| CPU | Qualcomm Snapdragon X X1-26-100 | Intel Core Ultra 5 226V | |
| グラフィックス | Qualcomm Adreno GPU(CPU内蔵) | Intel Arc グラフィックス 130V(CPU内蔵) | |
| メモリ | 16GB ※1 | ||
| ストレージ(PCIe Gen4 SSD) | 512GB | 256GB ※1 | 512GB |
| ディスプレイ | 14.0型(1,920×1,200ドット)、ノングレア | ||
| 通信機能 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、ギガビット準拠の有線LAN | ||
| インタフェース | HDMI出力、USB4(Gen3×2)×2、USB 3.2(Gen1)Type-A×2、microSDカードスロット、マイク入力/ヘッドホン端子など | USB 3.2(Gen2)Type-C×2、USB 3.2(Gen1)Type-A×2、microSDカードスロット、マイク入力/ヘッドホン端子など | HDMI出力、USB4(Gen3×2)×2、USB 3.2(Gen1)Type-A×2、microSDカードスロット、マイク入力/ヘッドホン端子など |
| 本体サイズ | W308.8×209×16.3~17.8mm | W308.8×209×15.8~17.3mm | |
| 重さ | 約876g | 約634g~約640g ※2 | 約908g |
| バッテリー駆動時間(JEITA 3.0。動画再生時/アイドル時) | 約26.0時間/約41.0時間 | 約13時間/約21.0時間 | 約14.5時間/約34.0時間 |
| カラー | ピクトブラック/シルバーホワイト | ピクトブラック | ピクトブラック |
| Office | Microsoft 365 Personal (24か月版)/Microsoft 365 Basic+Office Home & Business 2024 | ― | Microsoft 365 Personal (24か月版)/Microsoft 365 Basic+Office Home & Business 2024 |
※1 カスタムメイドモデルはメモリやストレージなどの選択が可能
※2 WU6-L1(FMV Zero)の約634gは約1TB SSDまたは約512GB SSDを選択した場合の重さ
FMV AI Plus+は「AI活用の最初の一歩を後押し」
Copilot+ PCの拡充に加え、FMV 2026年春モデルでは独自のAIツールも複数搭載されました。この背景には、ユーザーの「AIに興味はありつつ、最初の一歩が踏み出せない」状況があるといいます。
同社が5,300名を対象に実施したユーザー調査では、AIへの興味は高い(62%)が、実際に活用したことはない/あまり活用していない層が66%、AI利用に難しさや不安を感じる層が35%存在することがわかったといいます。FCCLでは「興味はあるが最初の一歩が踏み出せない」ギャップが、AI普及のボトルネックになっていると分析。
ダイレクト事業本部 DirectToCustomer事業部 事業部長の谷口みゆき氏は、「どのAIプロバイダーを使うかということよりも、お客様がAIで何をしたいか」が重要とし、英語のUIや、数多くのAIサービスの中から適切なものを選ぶハードルをなくし、直感操作できる“オールインワン”の新たなAIサービス「FMV AI Plus+」を開発、提供するに至りました(関連記事「FCCL、詳細なプロンプトを考えなくてもAIを活用できる「FMV AI Plus+」」)。
FMV AI Plus+はAIを活用したい内容シーンに応じてカード形式で使い方を提案する有料サービスで、AI活用を促進しユーザーの「新たな一歩」を後押しします。
また、AIが自動で写真や動画を解析し、旅行やイベント、人物や撮影場所ごとに整理する「Reclip」、選んだ素材からAIが自動で動画を生成する「PowerDirector for FMV」、PCの困りごとをチャット形式で相談できる「FMV AI Mate」、「FMV AI Plus+」といった独自AIソフトも搭載。AI活用をトータルで支援するとしています。
大隈氏はCopilot+ PCのAI体験を、ユーザーの用途に応じて選べる多彩なフォームファクターで提供することが、「日本市場に根ざしてきたFMVの責任であり、成長戦略でもある」と語りました。
EOS特需の反動やメモリ不足の影響は?
2026年、個人向けPC市況を取り巻く環境は必ずしも順風満帆ではありません。昨年(2025年)はWindows 10のサポート終了(End of Support。以下EOS)による買い替え需要が高まり、MM総研の調査によると2025年度通期の国内PC販売台数(予測)は1755.5万台と1995年の統計開始以降で過去最高を記録しました。この反動で2026年は“買い控え”が予測されています。
また、一般PC向け市場全体におけるメモリ等の供給不足と価格上昇の影響も見逃せません。世界的なAI投資の拡大とデータセンターの増設ラッシュに伴い、製造難度が高い高性能メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)やNANDストレージが優先的に生産されているため、メモリをはじめとした個人向けPCパーツの不足・高騰が続いています。
2026年、EOS特需後の反動への対処やメモリ不足を含めたPC販売の見通しについて、FCCL代表取締役社長の大隈健史氏に聞きました。
まず、EOS特需の反動を受けた市場縮小について、大隈氏は「もちろん想定はしていた」と回答。ただし市場縮小時でも、今回のSnapdragon X搭載モデルのように網羅的なラインナップを揃えたり、AI PCのような高付加価値を提供したりすることで、FCCLの売上維持、向上を図るとしました。
加えて、今回発表された「FMV AI Plus+」などのAIツールをはじめとした有料サブスクリプションなど、非ハードウェアによる収益源の多様化も進めるとします。「新規販売台数のみによって左右されない強靭なビジネス体制を築いていこうと考えている」と、ハードウェアでのシェア獲得と収益源の多様化を組み合わせて、縮小が見込まれる市場に対応していくと話しました。
また、世界的なメモリ不足の影響は「PC業界に14年ほどいる中でも最大級のインパクトを見込んでいます。非常に大きな影響があり、最終的にある程度価格に転嫁せざるをえない」とコメント。ただ、その影響を「お客様にご迷惑をかけないよう最小限に抑えていく努力をしている」としました。「我々でコントロールできる要因ではなく、収束時期はお答えするのが難しい。数カ月待てば終わるような状況ではないので、中長期的に腰を据えて取り組まなければいけない課題だと考えています」(大隈氏)
FCCLは2025年、FMVブランドの刷新を果たしました。「シンプルでわかりやすいこと」「時代に合った価値観であること」「日本の暮らしを応援すること」の3軸でユーザーを支えるとしており、2026年春モデルには「AI」と「選択肢の拡大」という2つの価値観を盛り込んだといいます。
AIについては「FMV AI Plus+」の搭載にあるように、「高度なAI活用というより、ベーシックなAIの使い方を簡単な形でご提供することで、最初の一歩を踏み出すお手伝いをしたい」としました。また、Snapdragon X搭載モデルの提供によりユーザーの選択肢を広げられたことが大きいとします。
「お客様のセグメントによって最適な製品というのは変わってきます。やはりトップシェアを標榜するメーカー(FCCL)としては、選択肢を広げお客様に選んでいただける状況を担保することが大事だと思っています。(Intel、AMDに加え)遅ればせながらSnapdragonのようなQualcomm製CPUを搭載したPCを用意でき、フルラインナップの選択肢をユーザーに提供できるようになったことは1つ大きなことだと思っています」(大隈氏)













