米Appleは9月9日(現地時間)、iPhone向けビデオ撮影アプリ「Final Cut Camera」のメジャーアップデートとなるバージョン2.0を発表した。iPhone 17 Pro/17 Pro Maxで「ProRes RAW」での記録が可能になり、また「Genlock(ゲンロック)」に対応するなど、これまでプロ向け機材でしか実現できなかったレベルの映像制作をスマートフォンで可能にする。

Final Cut Cameraは、ホワイトバランス、フォーカス、レンズの切り替え、シャッター速度、ISOといった撮影パラメータを柔軟に調整でき、プロの要求に応える自由度を持つ。それらをiPhoneで扱いやすいユーザーインターフェイスで提供し、本格的なビデオ撮影を可能にするアプリである。

ProRes RAWは、Appleがポストプロダクション向けに開発したProResコーデックの扱いやすさと、RAWフォーマットの画質・色情報を両立させた動画コーデックである。映画制作やドキュメンタリー、コマーシャルなど、最高画質が求められるプロフェッショナルな現場で広く利用され始めている。

これまでProRes RAW品質の映像記録には高価なプロ向け機材が必要とされてきたが、iPhone 17 ProシリーズでProRes RAWの記録が可能になり、予算の限られたインディペンデント制作者やクリエイターも高品質な映像制作に取り組める。また、スマートフォンならではの機動力を活かし、より自由なロケーションでの撮影が可能となる。

ゲンロックは、複数の映像フレームの立ち上がりを一致させて同期させる技術である。複数台のカメラを同時に使用するマルチカメラ撮影において、すべての映像をフレーム単位で一致させることができ、編集時のコマずれや手作業での同期作業を大幅に削減できる。AppleはゲンロックAPIをサードパーティに開放し、Blackmagic Designの「Camera ProDock」での活用が始まっているという。iPhoneはマルチカメラ撮影において、他機材と同等の“基準に合わせられるカメラ”へと近づきつつある。

Final Cut Camera 2.0には、以下の機能も搭載されている。

  • オープンゲート収録:カメラセンサーの全領域を使用する記録方式。編集時にアスペクト比の変更、手ブレ補正、画角の再調整などを柔軟に行え、ポストプロダクションの作業効率が向上する。
  • Apple Log 2対応:iPhone 17 ProシリーズでProResまたはHEVCを用いて、より広い色域情報の記録に対応。Final Cut Pro(Mac/iPad)でLog 2 LUTを適用することで、元の色再現に近づけながら編集できる。
  • タイムコード対応:映像の各フレームに正確な時間情報を記録するタイムコードを付与できる。時計時刻、レコードラン、外部タイムコードの使用が可能。
  • センターフレームフロントカメラ対応:iPhone 17ファミリーおよびiPhone Airに搭載された正方形センサーのセンターフレームフロントカメラでは、iPhoneを回転させることなく縦向き・横向きの動画を撮影できる。

Final Cut Camera 2.0は9月中のリリースを予定している。iOS 18.6以降を搭載したiPhone XS以降で利用できるが、ProRes RAW記録やゲンロック対応など一部の機能にはiOS 26およびiPhone 17 Proシリーズが必要となる。