人体を輪切りにしたような断面の画像を撮影し、病気の早期発見に貢献するCT。日本で初めてCTでの撮影が行われた1975年8月26日から、2025年8月26日はちょうど50年にあたり、「日本初のCT撮影の日」とされています。

ふだん、多くの人が定期健診などの際に利用するCTですが、立った状態や座った状態でも撮影が可能な次世代モデルが登場するなど、さらに進化しています。

  • 定期健診などでおなじみのCT。最近は、立ったままや座ったままでも撮影できる次世代モデルも登場するなど、進化を続けている。写真はキヤノンメディカルシステムズのマルチポジションCT「Aquilion Rise」

医療従事者に大きなインパクトを与えたCT

CT(Computed Tomography)は、X線を用いて体の断面を画像化する診断装置。X線管とX線検出器が患者の周囲を回転し、透過したX線の量から体の断層画像を生成する仕組みです。

  • CTのドーナツ型の部分には、X線を発生させる装置とX線の検出器が対になって組み込まれている

  • これがX線検出器。この大きくて重たい金属の塊が、わずか0.3秒ほどで1回転している

最初のCTは、1972年に英国のEMI(Electric and Musical Industries)社が開発。日本では、1974年に東京芝浦電気(現・東芝)がEMI社と販売提携契約を結び、翌1975年2月から東芝メディカル(現・キヤノンメディカルシステムズ)を通じて販売が始まりました。

1975年8月、東京女子医科大学脳神経センター神経放射線科に国内初のCT装置「EMIスキャナー」(MK-1)が導入され、8月26日に初めての撮影が行われました。当時、撮影を担当した小野由子先生の報告によると、頭部造影CT検査で撮影された画像には大小多数の腫瘍がはっきりと描写され、別世界ともいえる脳の診断法が始まったと衝撃を受けたことが記載されています(参考文献:小野由子、江島光弘、吉田滋俊「日本でのCT1号機-EMI scannerと当時の神経放射線画像診断」)。インターネットもファックスもない時代にもかかわらず、画像はコピーされて翌日には日本中の医療機関に広まっていったそうです。

  • 日本で最初に導入されたCT装置「EMIスキャナー」(MK-1)。撮影は頭部のみに対応していた

立った状態で撮影できる次世代CTが登場

その後、日本損害保険協会から全国の大学にCTが寄付され、国内における本格的なCT時代が到来。国内外のメーカーがCT開発に着手して技術が急速に進化し、現在では国内で稼働するCTは15,000台を超え、医療現場にとって欠かせない存在となりました。

近年では、1回転で心臓や頭部など広範囲を撮影でき、被ばくの低減が図れる「エリアディテクターCT」や、立った状態や座った状態での撮影ができ、寝ている状態では現れない病気の発見につながる「マルチポジションCT」など、新たな技術を搭載したCTも登場。現在は、より高精細で低被ばくな撮影が可能な次世代CT「フォトンカウンティングCT」の開発も進められています。

  • マルチポジションCTは立ったままの撮影も可能

  • 座った状態でも撮影できる

  • 通常の横になった状態での撮影にも対応する

  • 横になった状態で撮影するCTも、撮影の高速化など進化を続けている