Dynabookが6月19日にビジネスソリューションの展示説明や各種セミナーを行う「dynabook Day Advance 2025」を都内で開催しました。
2025年は「未来が加速する。AIと共に。」を副題とし、テーマに「今後のビジネスシーンにおけるAI活用術」を掲げており、AIへの注力が伺われます。展示されたビジネス向けPCラインナップの中には、参考出展として“近日発売予定”の16型のノートPCもありました(編注:6月20日に発表された「dynabook B86/MY」)。
14型ノートPC内部の技術を分解して解説、カメラモジュールは極細
ノートPCの内部は自分が使っているPCであっても、なかなか見る機会が少ないもの。それもあって目を引いたのが、「セッション&ワークショップコーナー」で実施された、国内商品企画部 国内B2B商品企画担当 グループ長の河本能規氏による「ここまで見せる?! dynabookの内部構造を分解説明」です。ノートPC本体を分解して内部で用いられているdynabookの技術が紹介されました。
分解対象になったのは、高性能・ハイパフォーマンス・モバイル性を重視したRシリーズの「dynabook RJ74」。13.3型並みの本体にアスペクト比16:10の14型ディスプレイを搭載するモデルです。PCはあらかじめディスプレイ部とキーボード部に分けられた状態のものを用いました。
まず見せたのが、画面上部に搭載するWebカメラのモジュール。2世代前には6~7mmだったモジュールの幅は、現在では約2mmに抑えられ、パーツだけを見るとまるでペンで描いた線のようです。Wi-Fiのアンテナも画面下部のヒンジ部に移動。これにより、画面上部のベゼルはぐっと狭くなりました。
本体幅を画面とほぼ同じサイズにまで狭めるため、dynabookでは液晶パネルの固定にネジではなく強力な両面テープを利用しています。
一度接着したあとはほぼ剥がれず、無理に剥がそうとするとパネルが壊れてしまうため、修理のときには安全に剥がせる工夫を凝らしています。両面テープの赤く塗られているところを水平方向に引っ張るときれいに剥離してパネルが取り外せるようになっているのです。
マザーボードが収まる本体は、小型化の実現のため、基板の表層に厚み方向へ回路を積み上げています。本体外装には軽くて丈夫なマグネシウム合金を使用。パームレストやキーボードフレームの内側には立壁を設け、強度を確保しています。
キーボードは64本の小さなネジで固定し、こだわりの打鍵感を実現。キーボードの下には薄いシートを敷いていますが、これは水をこぼしたときに水が基板に到達するのを防ぐため。完全防水ではないものの、シートがあることでデータを保存して電源を落とすまでの猶予が生まれます。
熱対策の技術も披露しました。高温になりがちな中央のCPUを、2つのファンで一気に排熱するにあたり、ファンを大型化し羽の数を約3倍に増やしています。また、2つのファンが同じ回転数だと共振してノイズになるため、違う回転数になるよう制御してノイズを抑えています。
ファンから送り出す空気は本体背面を抜け、吸気は本体底面から行います。排気がそのまま底面に流れ込んで循環しないよう、排気口と吸気口の間に長いゴム足を設け、空気が混ざるのを防いでいます。
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【写真上下】dynabook エンパワーテクノロジーの展示。サーモグラフで本体の表面温度を比較したもので、左がdynabook RJ74、右が他社同クラス機種。本体のキーボード面を比較した写真(上)と底面を比較した写真(下)。dynabook RJ74のほうが表面の温度は低く、排気によって広範囲に熱が放出されているのが見て取れます
最後に河本氏は「見た目が格好良くても、重たいものや拡張性を損なった製品にするのではなく、バランスを重視した製品作りを心がけています」と述べて締めくくりました。
この日のセッションでは、AIのビジネス活用やXRグラスなどをテーマにするものも実施されていました。
最新16型ノートPCを参考展示。広い画面を持ち歩きたいビジネスユースに
「PCラインアップ ゾーン」には参考出展の16型ビジネスノートPCも展示されていました。19日時点で型番やスペックは公開されており、主に搭載するCPUの違いで4モデルの展開になります(編注:6月20日に発表された「dynabook B86/MY」)。
画面は外光の映り込みを抑えるノングレア液晶で画面解像度はWUXGA(1,920×1,080ドット)。グラフィックスはCPU内蔵。液晶ディスプレイは180度まで開きます。メモリーはデュアルチャネル対応のDDR5-5600対応 SD-RAMで容量は16GBと32GBから選択。ストレージはSSD(PCIe NVMe対応)で容量は256GB/512GB/1TBから選択します。
キーボードは10キーを備えた107キーで、キーピッチ18.8mm、キーストローク1.4mmとかなり広く使えます。タッチパッドはクリックボタン部分が分離していないフラットですっきりした外観です。
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キーボード最下段、方向キーの左に「Copilot」キーが搭載され、ワンタッチで呼び出せるようになっています。「A」キーにはAltキーと組み合わせて、マイクミュートを切り替える機能が割り当てられています
Wi-Fi 6、Bluetooth Ver5.3に準拠し、。Webカメラは有効画素数約92万で、顔認証を利用する場合は有効画素数約500万にアップグレード可能です。本体サイズはW357.0×D248.9×H19.9mm、重さは約1.76kg。搭載OSはWindows 11 Pro 64bit。
バッテリー駆動時間は動画再生時で約7.0時間、アイドル時で約17.5時間。フル充電の約40%を30分で充電可能な「お急ぎ30分チャージ」に対応します。なお、バッテリーのセルフ交換には対応しません。
ビジネスシーンではセカンドディスプレイを導入する人も増えるなど、画面により多くの情報を表示するニーズは高まっています。自分のデスクだけでなく、持ち運んだ先でも広い画面を使いたいユーザーには魅力的な選択肢になりそうです。
PC本体だけでなく、透過型XRグラスも注目が集まる
最後に会場のこのほかの様子を写真でお伝えします。会場は「dynabookテクノロジー ゾーン」や「薄型・軽量モバイル ゾーン」など、7つのゾーンに区切られています。BtoB向けなこともあり、PC本体だけでなく、透過型XRグラス「dynaEdge XR1」に多くのギャラリーが集まっていたのが印象的でした。
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入口からすぐの「AI PC ゾーン」では、dynabookオリジナルのAI機能や「Copilot」、「Intel Core Ultra プロセッサー」などを紹介。その奥の「dynabookテクノロジー ゾーン」では、世界的なセキュリティ基準や環境基準など、dynabookが準ずる製品作りについて解説しています
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ソリューション ゾーンでは透過型XRグラス「dynaEdge XR1」が注目を集めていました。背景が透けて見えるメガネのレンズ部分に情報を映し出し、作業の効率化を図ります。画面はかなりクリアに視認できました