Trump Organizationは6月16日(米国時間)、ドナルド・トランプ氏の大統領選挙キャンペーン開始から10周年にあたる記念日に、携帯電話事業「Trump Mobile」の立ち上げを発表した。月額47.45ドルのモバイルプラン「The 47 Plan」と、米国で設計・製造するゴールドカラーのスマートフォン「T1 Phone」を投入し、ワイヤレス市場に参入する。
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trumpmobile.comから
Trump Mobileの中核をなす「The 47 Plan」は月額$47.45ドルで提供される 。プラン名および料金は、トランプ氏が第45代と第47代大統領であることにちなんでいる。このプランには以下のサービスが含まれる。
- 通話・テキスト(無制限)
- データサービス(無制限:20GBまで高速)
- 国際通話・テキスト: 米軍基地が所在する多くの国を含む100カ国以上
- Drive Americaによる24時間365日のロードサイドアシスタンス
- 遠隔医療サービス(バーチャル診療、メンタルヘルス支援、処方薬の簡単な注文および配達を含む)
発表文では「全米の主要3大携帯キャリアすべてを通じて5Gサービスを提供する予定」としているが、現時点のサービス利用規約には「Liberty Mobile」によって提供されると記載されている。Liberty Mobileは、T-Mobileのネットワークを使用するMVNO(仮想移動体通信事業者)である。
Trump Mobileは「アメリカ・ファースト」の理念を掲げており、その一環として顧客サービスを米国内に置いていることを強調している。カスタマーサービスは24時間対応で、電話をかけると自動音声ではなく、実際に人間が応対する体制を整えているという 。
スマートフォン「T1 Phone」については、「パフォーマンスを追求して設計された、洗練されたゴールドのスマートフォンで、最高のモバイルキャリア体験を求める顧客のために、米国内で誇りを持って設計・製造されている」と説明されている。現在明らかになっている仕様は以下の通り。
- 6.8インチ有機ELディスプレイ(最大120Hzリフレッシュレート)
- 12GB RAM
- 256GBストレージ
- メインカメラ:50MP、前面カメラ:16MP
- 5000mAhバッテリー
- 3.5mmヘッドフォンジャック
- Android 15
価格は499ドル。発表文では「8月リリース予定」とされているが、Trump MobileのWebサイトでは「9月リリース予定」となっている。現時点では量産スケジュールや出荷体制の詳細が不明であるため、リリース時期に不確実性が残っている可能性がある。
米国では、GoogleのPixel 9aが同価格帯(499ドル)で提供されており、T1 Phoneはミドルレンジの比較的手頃な価格帯に位置付けられる。
メイドインUSAスマホは実現するのか
Trump Mobileに関しては、同社が掲げる価格と品質のバランスを実現した米国製スマートフォンを実際に提供できるかどうかも注目されている。トランプ大統領はAppleに対してiPhoneの米国内製造を求めているものの、労働コストの上昇や設備投資の必要性に加え、現在のiPhoneの価格競争力は中国を中心としたサプライチェーンによって支えられているため、これを米国内で再現するのは困難とされている。米国製造でも、中国製部品を使用する場合は関税負担が大きくなる。
しかしながら、Trump MobileがメイドインUSAで消費者に満足されるスマートフォンを提供することに成功すれば、米国市場向け製品を海外で製造しているPCやモバイル機器メーカーにとって、大きなプレッシャーとなる可能性がある。