米Notion Labsは4月15日(現地時間)、Gmailアカウントと連携するメールクライアント「Notionメール(Notion Mail)」を正式にリリースした。ユーザーが自身のニーズや業務スタイルに合わせて柔軟にカスタマイズできる“自分専用のメールボックス”の構築を可能にする。また、Notionのワークフロー管理プラットフォームともシームレスに統合されている。Web版とMac版の提供が開始されており、iOS版も近日リリース予定となっている。
1970年代に登場した電子メールは今も重要なオンラインコミュニケーション・ツールであり続けているが、そのシンプルな構造から情報があふれる現代において管理の煩雑さが課題となっている。受信トレイに重要なメールと広告メールが混在し、手作業での分類、定型的な返信作業、日程調整のやり取りなどに多くの時間が費やされるのが現実である。GmailやOutlookといった主要メールサービスも自動分類やスマート返信機能を提供しているが、カテゴリーは「プロモーション」「ソーシャル」「フォーラム」などに限定されており、ユーザーごとの業務優先度や文脈にまでは対応できないという限界がある。
Notionメールは、AIを活用して、ユーザーそれぞれの思考とニーズに沿ったメール管理の実現を目指して設計された。型通りのカスタマイズではなく、ユーザーが柔軟にカスタマイズできるようモジュール化されている。そして、Notion AIがユーザーの優先事項や行動パターンを理解し、自動的にラベリング、分類、振り分けを行うことで、メール整理の煩雑さを解消する。
例えば、採用関連の情報をまとめておきたい場合、「採用関連のメールは重要」と伝えるだけで、Notion AIは関連するメールすべてに「Hiring」ラベルを自動で付与し、専用ビューに振り分ける。従来のルールベースのフィルター機能に比べて、より直感的かつ柔軟に使える設計となっている。
さらに、ユーザーは自由にカスタムビューを作成できる。業務別やプロジェクト別、あるいはプライベート用など、用途に応じたビューを複数作成し、メールの表示方法や優先順位を自在に制御することが可能。これにより、自分にとって重要な情報に集中できる受信トレイが実現する。
Notionメールは単なるメール整理ツールにとどまらず、日常のコミュニケーション効率を高める複数の機能を搭載している。主な機能は以下の通りである。
- 定型文スニペットの保存とクイック返信
- AIによるメール文面の提案や編集支援
- キーボードショートカットによる高速操作
- Notionカレンダーとの連携によるスケジュール調整の自動化
- /コマンドや見出しなど、Notionドキュメント作成機能を活かしたリッチなメール編集
Notionメールの基盤技術には、Notionが2024年に買収した暗号化コラボレーションプラットフォーム「Skiff」の技術が活用されている。また、AI機能にOpenAIが4月14日に発表した「GPT-4.1」が導入されている。
「Notionメール」アプリは無料利用が可能だが、AI機能の利用には制限がある。無料プランでNotion AIの使用は無料トライアルの範囲内に限定され、無制限で利用したい場合は有料プランへの加入が必要となる。