グローバルでは昨年夏に発売されて、注目を集めていたサムスンの指輪型デバイス「Samsung Galaxy Ring」が、2025年2月14日から日本でも発売されます。
対応OSはAndroidのみで、Samsungオンラインショップの販売価格は63,690円。ディスプレイも付いていない、こんなに小さなデバイスで一体何ができるのか。気になっている人も多いと思いますので、ひと足早く試してみました。
購入前のサイズ合わせは必須。オンラインでは手続きがやや煩雑に
Galaxy Ringには加速度センサー、光学式心拍センサー、温度センサーの3つのセンサーが搭載されています。
機能は後ほど詳しく紹介しますが、簡単に言えば、これらのセンサーを組み合わせて、日々の活動や睡眠、心拍、血中酸素濃度、皮膚温度などをトラッキングできるデバイス。スマートバンドとの違いは、ディスプレイがないこと。スマホの通知を受けるような機能もありません。
時々内側のLEDが光る以外には、見た目に電子機器っぽいところがなく、ファッション的にも悪目立ちしないので、まさにアクセサリー感覚。
サイズの設定はカラーによって違い、チタニウム ブラックは7~15、チタニウム シルバーは7~13、チタニウム ゴールドは5~13までの最大9段階のサイズ展開です。
ただしこの数字は、日本の一般的な指輪の号数とはまったく違うもの。そのため購入にあたっては、事前の試着とサイズ合わせが必須となります。
店頭では、Galaxy Harajuku、Galaxy Studio Osakaのほか、ヨドバシカメラ、ビックカメラの一部店舗で試せます。オンラインで購入する場合は、事前に「Galaxy Ring Sizing kit」でサイズを合わせてから、改めてオーダーする流れ。なおGalaxy HarajukuとGalaxy Studio Osakaの展示機はスマホと連携しているため、実際の使用感も確認できます。
Samsungオンラインショップの場合は、購入するとまず無料のSizing kitが送られてきますが、Amazon.co.jp、ヨドバシカメラ、ビックカメラのオンラインストアを利用する場合は、先にSizing kit(1100円~)を買って試してから、購入することが推奨されています。このほか、キャリアではauとソフトバンクの一部店舗でも販売されますが、取り扱いサイズは全カラー9、10の2サイズのみになります。
装着する指は人差し指が良いとされていますが、どの指でも使えるとのこと。筆者はGalaxy Harajukuで左手の人差し指で試して、サイズ12を選びました。同じ指の一般的な指輪のサイズは24号。
なおサイズ合わせの際、足と同じで指もむくむので、可能ならば朝、夕の2回試した方が良いと聞きました。もしSizing kitをじっくり試せる場合は、参考にしてみてください。
セットアップは簡単。2~3gの軽さで違和感少なく慣れやすい
Galaxy Ringは幅7.0mm、厚さ2.6mmで、重量はサイズによって違い2.3~3.3gです。指輪としてはそこそこ分厚くごついので、最初は多少違和感がありますが、筆者は割とすぐに慣れました。
付属品は専用ケースとUSB type-Cケーブルのみ。Ringのサイズにあわせて、ピッタリ収まるケースには、ワイヤレスイヤホンと同じようにバッテリーが内蔵されていて、充電もできます。
専用ケースの中央にはボタンがあり、これを長押しするとBluetoothのペアリングがスタンバイ状態になります。スマホ側に必要なアプリは「Galaxy Wearable」と「Samsung Health」の2つ。
Galaxy Wearableアプリを起動するとRingが認識されるので、あとは手順に従って進めば、あっという間にセットアップが完了します。Ring側で何か操作をする必要がないので、セットアップはスマートウォッチやスマートバンドよりもずっと簡単です。
3つのセンサーを組み合わせて、活動、心拍、睡眠などを記録
Galaxy Ringには前述の通り、加速度センサー、光学式心拍センサー、温度センサーが搭載されています。
装着時にはRingの内側にある、3つのセンサーの突起が指の腹にしっかりあたるようにします。表面に縦のラインがある方が、センサー側になります。この位置さえ合っていれば、指輪の上下は特に意識しなくても大丈夫なようです。
3つのセンサーでトラッキングされたデータをもとに、Samsung Healthアプリでは歩数や消費カロリー、睡眠、毎日のエナジースコアやストレスを確認できます。
中でも筆者が注目したのは、睡眠トラッキングの機能。これまでいろいろなスマートウォッチ、スマートバンドで睡眠を記録してきましたが、Galaxy Ringはこれらに比べて着けているわずらわしさがなく、眠りが妨げられません。
ウォッチやバンドは防水仕様でベルトがシリコンだとしても、濡れると不快なのでシャワーなどの際には、外したくなってしまいます。
筆者の場合、そのまま着け忘れて眠ってしまうこともよくあるのですが、Galaxy RingはIP68に加えて、10気圧防水をサポートしているので、シャワーもつけっぱなしでOK。小さいので濡れても気にならないし、手を拭くのと一緒にタオルなどで水気が取れます。
食器洗いなどで洗剤を使うときや、お風呂にしっかり浸かりたいときには念のため外しましたが、それ以外はほぼつけっぱなしにしていました。
おかげで毎日確実に睡眠を記録できたほか、試してみてそのトラッキングの精度も高いと感じました。試用期間中はたまたま仕事が忙しく、睡眠がかなり不規則だったのですが、昼寝や仮眠、うっかりこたつでうたた寝してしまった際も、ちゃんと記録されていました。
眠った時間だけでなく、眠りの深さなどもグラフでチェックでき、さらに連続して記録することで自分の睡眠のタイプを知ったり、アドバイスを受けることもできます。ちなみに私のスリープアニマルのタイプは、睡眠不足の「セイウチ」でした。
他メーカーでは、こうした分析機能やアドバイスが、有料のサブスクリプションサービスとして提供されているケースもありますが、サムスンの場合はデバイスさえ買ってしまえば、サービスは無料で利用できます。睡眠時の血中酸素濃度や体温の変化、心拍数、呼吸数など詳しいデータもチェックできます。
Samsung Healthでは、睡眠のほかにエナジースコアも見られます。下の画像は前日の活動や睡眠、心拍数を分析して、体力と気力、体調をスコア化したもの。昨日の疲れがちゃんとリカバリーできているかどうかの参考になります。
また設定すれば、Ringのセンサーを使ってウォーキング、ランニングの自動検出、自動記録も可能。普段の移動も一定の時間があればウォーキングとして記録されます。一度遅刻しそうになって最寄り駅まで走ったら、ちゃんとランニングとして認識されていました。
このほかにも、心拍の過剰変動があった場合にスマホで通知してくれる機能や、登録した生理周期と皮膚温をもとに、次の生理を予測できる機能なども利用できます。
バッテリーの実測値は5日間、ウォッチと併用でさらに長く使える
連続使用時間は最大7日間となっていますが、筆者が試したときには5日~6日で、バッテリー残量が心もとなくなりました。
残りが15%を切ると、外したときに光るLEDが緑から赤に変わって知らせてくれます。とはいえLEDに気づかないこともあるので、毎日の睡眠スコアやエナジースコアのチェックとあわせて、バッテリーの残量もこまめにチェックした方がいいでしょう。
なお、すでにGalaxy WatchシリーズやGalaxy Fitシリーズなど、サムスン製のスマートウォッチ、スマートバンドを使用している場合は、これらを併用することで、Galaxy Ringのバッテリーを節約できます。WatchまたはFitを併用している間、Ringはパワーセーブモードとなり、心拍と睡眠以外はトラッキングされません。
試しにGalaxy Watch Ultraと併用したところ、着けている間はRingのバッテリーがほとんど減りませんでした。Watchの充電中はRing、Ringの充電中はWatchなど、状況に応じて自動的にトラッキングするデバイスが切り替わるしくみになっているようです。
たとえばRingでは、ランニング中の心拍数やラップタイムをリアルタイムには確認できません。そういったシーンでは、やはり手元でデータを表示できるWatchの方が便利です。
一方で夜間はRingの方が装着の負担がなく、眠りやすいでしょう。また高性能なGalaxy Watchはほぼ毎日充電が必要なので、その間にRingでトラッキングできれば、24時間トラッキングし続けることが可能になります。
Galaxy Ringにはこのほか、サムスンのGalaxyスマートフォンを操作できる機能も備わっています。Ringを着けている指を親指と2回合わせることで、カメラのシャッターを切ったり、アラームをOFFにしたりできるというものです。
「Galaxy S25 Ultra」と試したところ、アラームはうまくいったのですが、シャッターの方は最初うまくいったものの、カメラを起動したままにしていたら、指を動かすたびに次々とシャッターが切れて慌てる事態になりました。必要な写真を撮ったらすぐにカメラをオフするなど、使いこなしには工夫が必要かもしれません。
健康が気になる、アナログ時計派におすすめのデバイス
筆者はもう慣れてしまったのですが、その習慣がない人にとって、時計を着けて眠るのは、結構なストレスだと思います。
スマートウォッチはもちろん、ウォッチに比べるとコンパクトで電池持ちの良いバンドも、Ringに比べるとやはりわずらわしさはあります。気にせずにつけっぱなしにできるという点で、Ringはほかにないウェアラブルデバイスだと言えます。
一方で、気になるところもあります。ひとつはそのコンパクトさゆえに、紛失のリスクがあるということ。
Galaxy Ringでは、万が一紛失した際に最後にペアリングした場所を探せる、リモート追跡機能機能が利用できるようになっていますが、それでもリスクはゼロではないでしょう。
もうひとつは価格です。有料サブスクなしで使えるので、ランニングコストを考えれば……とは思うものの、スマホが買えてしまう価格には躊躇する人も多いでしょう。米国での価格は399ドルに対して、円安で割高に感じられるのも、痛いところです。
とはいえGalaxy Ringが向く人もいます。まずおすすめしたいのは、アナログ時計派の人。Ringなら好きな腕時計を楽しみながら、日々の活動や睡眠をトラッキングできます。
次に睡眠トラッキングをメインに、ウェアラブルデバイスを考えている人。睡眠の記録や改善が目的なら、スマートウォッチやバンドよりも負担が少ないRingがいいでしょう。
筆者は、すでにスマートウォッチもバンドも所有しています。なので試用前は正直なところ、Ringはいらないだろうと思っていました。でも今回試してみて、ずっと着けっぱなしにできるRingのラクさに、すっかり惚れ込んでしまいました。特にGalaxy WatchやFitとは無駄なく使い分けできるので、予算が許せば併用もありだと思い始めています。