アドビは2月12日、「Acrobat AI アシスタント」日本語版の一般提供開始を発表した。

Acrobat AI アシスタントは、PDFソフト「Acrobat Reader」「Acrobat」のワークフローに深く統合された生成AIベースのアシスタント機能である。2024年2月のベータ版リリース後、同年4月に正式版の提供が始まったものの、当初は英語版のみの対応であった。その後、同年6月に日本語を含む多言語対応を発表し、待望の日本語版の提供開始に至った。

アドビは2024年に、社内資料をデジタル管理しているデスクワーカー400人を対象に、ビジネスにおける過去資料の活用状況に関する調査を実施した。その結果、87%が業務で過去の社内資料を参照・再利用していると回答。主な課題として、「必要な資料の検索の手間」(52.4%)、「資料内の必要な情報にたどり着けない」(43.4%)が挙げられた

  • 右上の「AIアシスタント」ボタンをクリックしてAIアシスタントを起動

    右上の「AIアシスタント」ボタンをクリックしてAIアシスタントを起動

こうした課題に対し、Acrobat AI アシスタントは以下のようなソリューションを提供する。

  • AIアシスタント機能:PDFおよび他の文書形式(Word、PowerPoint、会議の議事録など)のドキュメントを解析し、内容を効率的に理解するのに役立つ質問をAIが作成。ユーザーは提示された質問を選択し、AIが回答を提供する。また、対話型インターフェースを通じて、PDFの内容に関するユーザーからの質問にも対応する。回答には引用リンクが表示されるため、情報ソースをワンクリックで確認できる。生成AI機能を利用する上で重要になる、情報の正しさの確認を容易に行える仕組みとなっている。
  • 生成要約機能:全体要約およびセクションごとの要約を生成。PDF内の情報のみから要約を作成し、AIモデルによるハルシネーションの影響を受けない。
  • 文章生成機能:要約された情報を基に、電子メール、レポート、プレゼンテーションなど様々な形式の文章を作成。簡単に共有することが可能。
  • PDFの内容を解析した後

    PDFの内容を解析後、概要と、内容を理解する手助けとなる質問を提示

  • Acrobat AIアシスタントによる要約生成

    ドキュメントの全体およびセクションごとの要約を生成

Acrobat AIアシスタントは複数ファイルの解析に対応し、ユーザーは最大10ファイルをアップロード可能。例えば、頻繁に更新される契約書の変更点を確認する作業において、複数のバージョンの契約書をアップロードして変更箇所を特定するよう依頼することで、人手による比較作業を大幅に効率化できる。また、長大な報告書や技術文書からの情報抽出においても、AIアシスタントが文書全体を解析することで、必要な情報に素早くアクセスすることが可能となり、業務効率の向上を図ることができる。

  • モバイルアプリでのAcrobat AIアシスタント

    左から、モバイルアプリでPDFを開いた状態、AIアシスタントを呼び出した後、提案された質問を選択、AIアシスタントによる回答、回答の引用リンクから情報ソースを確認

Acrobat AI アシスタントは、データセキュリティプロトコルによって管理され、顧客のドキュメントの内容が同意なしに保存されたり、AI アシスタントのトレーニングのために使用されることはない。

Acrobat AI アシスタント(日本語版)は、デスクトップ版、Webアプリ、モバイルアプリ版、ブラウザ拡張で利用可能。モバイルアプリでは、音声コマンドによる利用に対応する。 Acrobat ReaderまたはAcrobatにおいて、追加サブスクリプションとして提供され、料金プランは「月々プラン」(月額980円)、「年間プラン」(月額680円、一括8,080円)となっている。