Windows 11のUI/UX担当者はタスクバーを使ってこなかったのだろうか。ご説明するまでもなく、Windows 11のタスクバーはデスクトップの左右や上側に配置できず、マルチディスプレイ環境でも特定のディスプレイのみ表示できなくなった。
こちらはメインディスプレイの設定を変更すれば回避可能だが、「Alt」+「Tab」キーで起動するアプリ切り替え機能も表示先が移動するため、使い勝手が悪くなる。
だが、今秋登場する予定のWindows 11 バージョン24H2では、わずかな改良が加わるようだ。以下は、Canary版Windows 11 Insider Preview ビルド27695だが、クイック設定のポップアップがスクロールに対応する。
モバイルデバイスの場合、場面に応じて機内モードを有効にする場面もあり、使用頻度の低いパネルを非表示にしていた方も多いと思うが、今回の変更で使い方を見直した方が良さそうだ。
もう一つも重要性の乏しい改良だが、「Wi-Fi設定の管理」に「ネットワーク一覧の更新」が加わった。
以前は無線LAN機能をオン・オフしないとアクセスポイントの一覧は更新されず、筆者もイベント取材時にゲスト用アクセスポイントの接続に苦労した経験がある。だが、社外で複数の無線LANを利用する方なら更新機能の恩恵を受けられるだろう。
Windows 11 バージョン23H2 ビルド22631でも使用できる機能の一つとして「Win」+「T」キーがある。本ショートカットキーを使用するとタスクバーにフォーカスが移動し、名前でピン留めしたファイルを選択。「Enter」キーで起動する仕組みだ。たとえば「Win」+「T」キー→「M」キーと押せば、Microsoft Edgeを選択する。
海外ITニュースの情報によれば、アプリ起動中はジャンプリストメニューも参照可能らしいが、ビルド22631/ビルド27695では確認できなかった。気になるのは日本語のアプリ名である。エクスプローラーと同様にIMEで頭文字を入力すれば本機能でも選択できるが、筆者が試した限りは使いにくかった。矢印キーや最初と最後のアイテムに移動する「Home」キーおよび「End」キーの方が便利だ。
タスクバー関連ではビルド22631でも、スタートメニューからアプリアイコンをドラッグ&ドロップしてピン留めできる。以前はコンテキストメニューから「タスクバーにピン留めする」を選ばなくてはならなかったが、こちらも若干の改良といえるだろう。
このようにWindows 11 バージョン24H2はUI/UXの改善は加わるものの些事(さじ)の範ちゅうだ。Windows 10時代の快適さは戻ってこない。タスクバーはエクスプローラーの一部として機能し、そのバックグラウンドには、Windows UIやAPIを提供するWindows App SDKや、UIライブラリーのWinUI 3が存在する。
今回いずれもGitHubをリンク先としているが、ご覧のとおり両者とも進化の途上にあり、エクスプローラーの開発に大きな影響を与えてきた。この図式は今後も変わらないため、タスクバーの改善は遅々として進まないのだろう。筆者は今後もWindows 11を使い続けるが、まだ満足していない。