Pixel 9シリーズの4機種のうち、「Pixel 9 Pro」と「Pixel 9 Pro XL」には温度センサーが搭載されています。
昨年の「Pixel 8 Pro」に搭載されていたものと同様で、本体背面のカメラバーに組み込まれたセンサーを対象物に近付けると表面温度を簡易的に測れます。
これまでPixel 8 Proを使ってきた筆者の個人的な印象としては、「温度センサーをわざわざ積んでいる割にあまり有効活用されている気配がないなぁ……Pixel 4のSoliレーダーみたいに、1世代限りの異色の機能で終わってしまうのかな」と思っていたので、まず今年も継続して搭載されたことに驚きました。
とはいえ、記者説明会や発表会でトピックとして取り上げられることもなく、「よく見たら今年も付いてるね」ぐらいの影薄めの状態だったので特に改良はされていないだろうと思いきや、実機を手にしてみると「温度計」アプリにささやかな変化がありました。
Pixel 8 Proで温度測定機能が登場した時点では、測定前の画面では「タップして測定」と書かれた大きな丸いボタンだけが表示され、本体背面のセンサーを対象物に近付けてボタンを押すと結果が表示されるというものでした。
しかし、実際にやってみるとこれがイマイチ。カメラバーの片隅に置かれたセンサーの位置を正確に把握してかざすのは難しいですし、公式FAQによれば「正確に測定するには、センサーと対象物の距離を5cmほどにしてください」と書かれているようにかなり近付けないといけないので、温度を測りたくなるような熱い物に手探りで高価なスマートフォン(それも大事なカメラ部分)を近付けるのは怖いですし、やけどの心配もありますよね。
そして、Pixel 9 Pro XLに搭載されるバージョンの温度計アプリではこの悩みが解決されています。測定画面にカメラ映像が表示されるようになったので「近付きすぎて触ってしまう」可能性はグンと減りましたし、プレビューの上部にセンサー位置を示すガイドも表示してくれるので小さな物の温度も測りやすくなりました。
また、以前と違って「タップして測定」する前からリアルタイムで温度が表示されるようになったおかげで手早く使えるのも便利になったところです。
用途自体は従来と変わらず、食べ物や身の回りのものの表面温度の測定に留まります。
実は、米国版のPixel 8 Proでは2024年1月のアップデートで待望の体温測定機能が追加されました。こめかみに当てて測る側頭動脈体温計として使えるモードで、アメリカ食品医薬品局(FDA)の認証を受けて正式に体温計として使えるものです(※関連記事)。
日本で同様の機能を提供するには、体温計は薬機法による規制対象なので管理医療機器(クラスII)として第三者登録認証機関の認証を受ける必要があるでしょう。
スマートデバイスが管理医療機器の基準を満たした事例としては、Apple Watchの心電図機能(家庭用心拍数モニタプログラム扱い)があります。認証コストもかかる話で決して低いハードルではありませんが、日本でも体温測定機能の解禁に期待したいところです。