パナソニックが、フルサイズミラーレスの新製品「LUMIX S9」(DC-S9)を発表。主力モデル「LUMIX S5II」と同等の基本性能を備えながらフラットデザインの小型軽量ボディに仕上げ、携帯性やデザイン的な魅力をアップ。さらに、色などの表現を変えて撮影できる「リアルタイムLUT」をより手軽に扱うため、独立したLUTボタンを搭載したほか、スマホでLUTのダウンロードや管理ができるよう工夫し、「自分だけの表現で撮ってSNSで公開したい」と考える若年層の要望に応えた。

スマホのようにいつでも持ち歩きたくなる高画質カメラとして新たなユーザー層の開拓を狙うが、すでに各社のミラーレスを使いこなしている趣味層にも小ささや薄さが注目され、幅広い層にヒットしそうだ。

  • パナソニックのフルサイズミラーレスではもっともコンパクトで薄い「LUMIX S9」(DC-S9)が登場。薄型軽量のパンケーキレンズも用意し、「ふだんから持ち歩きできる小型カメラが欲しい」と考える趣味層にも響く1台に仕上がっている

  • 「SNSにキレイな写真を投稿したい」と考える若年層と、カメラを日常的に使いこなす趣味層の両方をターゲットとする

価格はオープンで、製品のラインナップと実売価格は以下の通り。発売は6月20日。早期購入者に、実売約3万円の薄型パンケーキレンズをプレゼントするキャンペーンも実施する。

製品名 予想実売価格
DC-S9(ボディ) 208,000円
DC-S9K(Kキット、標準ズームレンズ付属) 241,600円
DC-S9H(Hキット、高倍率ズームレンズ付属) 287,000円

EVF(ファインダー)を省略して小型軽量化を図ったLマウントのフルサイズミラーレス。ふだんスマホで撮影を楽しむ若年層をターゲットに、「スマホでは難しい表現の撮影が手軽に楽しめるカメラ」として、スマホと一緒に持ち運んで使うカメラとしてアピールする。

  • 本体はボタンやダイヤル類を最小限に抑え、見た目で「難しい」と感じさせないよう工夫した

  • EVFは内蔵せず、外付け型も追加できないので、背面液晶を見ながらの撮影となる

LUMIX S9のおもな特徴は以下の通り。

  • EVFを省略するなどし、小型軽量のフラットデザインに仕上げた
  • 有効2420万画素のフルサイズセンサーやボディ内手ブレ補正機構、バリアングル液晶など、基本デバイスはLUMIX S5IIと同じ
  • リアルタイムLUTの変更画面が一発で呼び出せるLUTボタンを新たに搭載
  • リアルタイムLUTは最大39種類をカメラ内に保存可能に、2種類の異なるLUTの重ね合わせ機能も新たに搭載
  • LUTのダウンロードやカメラへの転送、オリジナルLUTの作成などが簡単にできる無料のスマホアプリ「LUMIX Lab」を用意
  • 3:2比率で動画を撮影し、16:9比率の横長動画や縦長動画にトリミングできるMP4(Lite)の撮影モードを用意
  • 明るい3種類のカラーの張り革に交換できるサービスを用意(有料)
  • 有料になるが、3種類のカラーの張り革に交換できるサービスを用意する

Lマウント搭載のLUMIX Sシリーズは、これまでEVFをペンタ部に搭載する一眼レフスタイルの製品のみを展開してきたが、シリーズで初めてEVFを搭載しないモデルとしてLUMIX S9を搭載する。日ごろスマホで撮影を楽しむ世代は、画面を見ながらの撮影に慣れているため、EVFの搭載は見送ったという。

  • ペンタ部の出っ張りだけでなく、グリップの出っ張りもないので、とてもスリムな印象だ

  • 背面のボタンやダイヤル類も最小限に抑えている

  • 上部のシューはコールドシューのため、ストロボの制御はできない

  • デザインのモックアップ。本体に切り欠きを加えてグリップを備えたものも見られる

  • ボディ内手ブレ補正機構はしっかり搭載する

EVFの省略で、本体は上部の出っ張りのないフラットデザインに仕上げつつ、本体サイズを126×73.9×46.7mmと、LUMIX S5II(134.3×102.3×90.1mm)よりも大幅に小型軽量化している。フルサイズセンサーを搭載するシグマのLマウントミラーレス「fp」(112.6×69.9×45.3mm)よりはひとまわり大きいサイズ感となる。

  • シグマの「fp」(右)と並べたところ。fpは別売のグリップを装着しているので分かりづらいが、LUMIX G9(左)の方がひとまわりボディは大きい

LUTを選ぶだけで表現を変えた撮影ができるリアルタイムLUTも大幅に改良した。背面に独立したLUTボタンを新たに搭載し、手早くLUTを切り替えられるようにした。あわせて、カメラ内に保存できるLUTの数を39種類(LUMIX S5IIは10種類)に増強するとともに、2つの異なるLUTを重ねがけできるようにした。

  • 背面にLUTボタンを新設し、リアルタイムLUTの変更が手早くできるようにした

  • 2種類のLUTを適用しているところ。LUTの強さもそれぞれ設定できる

リアルタイムLUTをよりアクティブに活用するため、スマホアプリは従来の「LUMIX Sync」から「LUMIX Lab」に一新。LUTファイルをスマホアプリでダウンロードできるようにし、管理や転送もスマホアプリで行えるようにした。オリジナルのLUTを作成する機能も備える。LUTファイルは、適用前後のイメージを確認できるようにしたほか、撮影済みの写真や動画にも適用できるようにした。

  • スマホアプリ「LUMIX Lab」を使えば、LUTをスマホで直接ダウンロードしてカメラに転送できる

  • LUTは適用前後のイメージがプレビューできるのが便利

  • LUTは表示する順番を変更できる

動画は、新たにセンサーの画素をすべて生かした3:2比率で撮影できるMP4(Lite)のモードを追加した。ここから一般的な16:9比率にトリミングできるほか、ニーズの高まる縦長動画にトリミングしやすくなるメリットもある。

MFのパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」を投入

フルサイズ対応の交換レンズとして、薄型の広角レンズ「LUMIX S 26mm F8」を発表した。LUMIX S9に合わせた薄型軽量のパンケーキレンズで、全長は18.1mm、重さはわずか58gに抑えた。LUMIX Sシリーズ用の交換レンズで初めてマニュアルフォーカスとし、ボケを生かした表現からパンフォーカスに近い表現まで楽しめる。希望小売価格は31,900円で、発売は6月20日。

  • マニュアルフォーカスのパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」。前玉はとても小さい!

  • AFレンズと同様に接点はちゃんと備える

早期購入でパンケーキレンズがもらえる! フォトコンも実施

LUMIX S9の発売を記念したキャンペーンを2種類実施する。

1つが、期間中にLUMIX S9を購入して応募した人全員に、パンケーキレンズ「LUMIX S 26 mm F8」をプレゼントする「発売記念キャンペーン」。LUMIX S 26 mm F8に加え、オリジナルストラップとLUMIX S9講座の視聴チケットも合わせてプレゼントする。キャンペーン対象の購入期間は6月20日~9月1日で、応募の締め切りは9月15日。

もう1つが、LUMIX S9にLUMIX S 26mm F8を装着して撮影した写真に限定したフォトコンテスト。最優秀賞は賞金10万円(5名)で、賞金総額は100万円。応募期間は7月1日~10月24日で、8月から12月まで毎月優秀賞を発表する。