タイガー魔法瓶の炊飯器「ご泡火炊き」(ごほうびだき)シリーズの新フラッグシップモデル「JRX-G100/G060」が6月21日に発売されます。今回は発売に先駆けて、土鍋にこだわった最新モデルの美味しさの秘訣を伺いつつ、実際に炊いたごはんを試食してきました。

  • タイガー魔法瓶の炊飯器「ご泡火炊き」シリーズの新モデルが6月21日に発売される。写真は最上位機種の「JRX-G100」

    タイガー魔法瓶の炊飯器「ご泡火炊き」シリーズの新モデルが6月21日に発売される。写真は最上位機種の「JRX-G100」

台数減でも高級炊飯器は人気、「ご泡火炊き」シリーズが好調

国内炊飯器市場の状況としては、近年は年間出荷台数500万台ほどを維持しており、2023年度は約460万台にダウン。しかし、金額ベースでは上向きで、コロナ禍による巣ごもり需要が大きかった2020年度並みの1000億円規模の市場に成長していると言います。

  • タイガー魔法瓶 炊飯器ブランドマネージャー 岡本正範氏

    タイガー魔法瓶 炊飯器ブランドマネージャー 岡本正範氏

単価が上がった背景には資材高騰や円安の影響もあるものの、それ以上に高付加価値製品のニーズが高まっているそう。コロナ禍で需要を先取りした分の反動や「お米離れ」の影響で出荷台数は減っているものの、多少値が張っても毎日お米を美味しく食べられる「良い炊飯器」が欲しいという人も確実にいるという状況です。

そしてタイガーの炊飯器といえば長年、土鍋にこだわってきたことが特徴。折しも昨年(2023年)は創業100周年記念モデルとして、300℃の大火力で炊き上げるこだわりの土鍋圧力IH炊飯器「土鍋ご泡火炊き」JRX-T100/T060を発売したところで、まさに高級志向の流れを捉えたといえます。

タイガーは2023年度の年間シェア(金額ベース)では2位、上位の「ご泡火炊き」シリーズに限ると前年比131%と大きく伸長しました。

高級志向と並ぶもうひとつの流れとして、小世帯化によって炊飯器の売れ筋サイズも小容量にシフトしているのですが、実は高級炊飯器でフラッグシップモデルと同一品番の小容量版が選べるメーカーは少なく、最上位機種の小容量版を用意している点もタイガーの強みとなっています。

  • JRX-G060。最上位機種(JRX-G100)と容量以外は同等の性能を持つ

    JRX-G060。最上位機種(JRX-G100)と容量以外は同等の性能を持つ

  • 準プレミアムモデルのJPL-T100

    準プレミアムモデルのJPL-T100

フラッグシップモデル「JRX-G100/G060」は土鍋が進化

今回発表された新機種は、最上位モデルの「土鍋ご泡火炊き JRX-G100/G060」、準プレミアムモデルの「土鍋ご泡火炊き JPL-T100」、上位モデル「ご泡火炊き JRI-A100/A180」の5機種。

最上位モデルのJRX-G100(5.5合炊き)とJRX-G060(3.5合炊き)は、昨年のJRX-T100/T060をさらに進化させたものです。

  • 内釜に萬古焼の本土鍋を採用した土鍋圧力IH炊飯器(写真はJRX-G100)

    内釜に萬古焼の本土鍋を採用した土鍋圧力IH炊飯器(写真はJRX-G100)

そもそもなぜタイガーは土鍋を使った内釜にこだわっているのか、そして先代もふくめてJRXシリーズはどこがすごいのか、というところからおさらいしておきましょう。

土鍋と金属釜の違いとしてはまず熱伝導率の低さがあり、土鍋では底から側面にゆっくりと熱が伝わっていくため温度差が生まれ、米の甘みや粒感(弾力)を引き出す上で重要とされる対流が起きやすくなります。そのうえで、土鍋が持つもうひとつの性質である細かな泡立ちが、激しい対流の中で米粒を踊らせても表面を守ってくれるというのもポイントです。

JRXシリーズの内釜は本土鍋で、三重県四日市市の「萬古焼」を使用しています。そして、底面のIHコイルを2層構造にした「300℃ WレイヤーIH」の高火力によって土鍋を直火で炊くような温度差を再現し、土鍋の特性を引き出しているのです。

  • 2024年モデルのJRX-Gシリーズでは、遠赤釉薬の採用や発熱体の改良など土鍋部分が改良されている

    2024年モデルのJRX-Gシリーズでは、遠赤釉薬の採用や発熱体の改良など土鍋部分が改良されている

ここまでは2023年モデル(JRX-Tシリーズ)と同様で、2024年モデル(JRX-Gシリーズ)では要となる土鍋がさらに進化しました。

土鍋を焼き上げる際にかける釉薬を改良し、遠赤効果を高めるために鉄やコバルトの配合を見直したほか、内釜の底部に貼り付けられる発熱体(IHの熱を土鍋に伝えるための部品)には、火山灰を原料とする「シラスバルーン」を初採用し蓄熱効果を高めました。一見地味な変更点のようにも思えますが、試験結果では甘味は8.5%アップ、弾力は5%アップとしっかり改良されています。

  • 内釜を中心とした改良で炊飯器本体には大きく手を加えられていないが、その効果は高い

    内釜を中心とした改良で炊飯器本体には大きく手を加えられていないが、その効果は高い

記者向け体験会では、JRX-G100で炊いた「つや姫」を使って、料理人・インフルエンサーのおにぎり太郎さんが握ったおにぎりが振る舞われました。試食してみてもやはり弾力のあるもっちりとした炊き上がりだと感じられました。

また、普段から土鍋でお米を炊くことが多いというおにぎり太郎さんでも(直火で)土鍋で炊いたご飯のようだと感想を述べられていたのが印象的でした。本当に土鍋でご飯を炊こうと思うと浸水時間が必要だったり炊き上がりを見極めるためその場を離れられなかったりといった手間もありますが、炊飯器の使い勝手はそのまま本格的に炊き上がるのは嬉しいところですね。

  • おにぎり太郎さんによる実演

    おにぎり太郎さんによる実演

  • お米の美味しさはもちろんですが、塩や海苔のチョイスにプロのこだわりを感じました

    お米の美味しさはもちろんですが、塩や海苔のチョイスにプロのこだわりを感じました

「JRI-A100/A180」は毎日使うから大切な「お手入れのしやすさ」に注目

手間の話題が出たところで、最後に「ご泡火炊き」JRI-A100/A180についても触れておきましょう。こちらは土鍋ご泡火炊きよりは少し価格を抑えられるモデルで、JRI-A100が5.5合炊き、JRI-A180が1升炊きとなります。

  • JRI-A100/A180はお手入れのしやすさにも注目。写真はJRI-A100

    JRI-A100/A180はお手入れのしやすさにも注目。写真はJRI-A100

こちらのシリーズでは前世代までは大小2つの圧力ボールによる「可変W圧力炊き」を採用していたところ、今回からソレノイド式多段階圧力機構に変更。細かなコントロールが可能になり炊き分けの幅が広がっただけでなく、お手入れもしやすくなりました。

まず先述の圧力ボールが無くなったことで内蓋がフラットになり洗いやすくなったほか、日常的にお手入れの必要なパーツが内釜と内蓋の2点だけになり、手間が軽減されました。さらに、内蓋の洗浄は食器洗い乾燥機で済ませることも可能です。

毎日のご飯を美味しく食べたいというニーズはもちろんですが、毎日使うものだからこそ手間なく快適に使いたいという声も多いのは確かです。美味しさと利便性のバランス重視で選ぶならJRI-A100/A180も有力候補となるでしょう。