米Microsoftは5月20日(現地時間)、先進的なAI体験を提供する新世代のAI PC「Copilot+ PC」を発表した。40TOPSを超える強力なNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を備えたチップを搭載し、同社はそのAI性能を「MacBook Air(M3)やMacBook Pro(M3 Pro)の最大2倍」とアピールしている。リアルタイムの翻訳や画像生成、「Recall」(開発名:AI Explorer)や「Cocreator」といったWindowsの新AI機能など、生産性とクリエイティビティを向上させる新たなAI体験を利用できる。
最初に登場するCopilot+ PCは、Qualcommの「Snapdragon X Elite」または「Snapdragon X Plus」を搭載する。これら新しいSnapdragon Xシリーズのチップは、Qualcommが2021年に買収したNuviaのチップ技術を取り入れた自社設計のCPU「Oryon」を搭載する。NuviaはAppleでAシリーズやMシリーズのチップ設計を手がけたジェラード・ウイリアムズ氏が創業したArmベースのカスタムチップの設計会社で、同氏が独立した時からその動向が注目を集めていた。
20日にMicrosoftがCopilot+ PCモデルの「Surface Pro」と「Surface Laptop」を発表した。またパートナーからも、「Dell XPS 13 9345」「Dell Inspiron 14 7441」、「Lenovo Yoga Slim 7 X」、「Samsung Galaxy Book4 Edge 14/16」、「ASUS Vivobook S15」、「HP OmniBook 14 X」など、多数のCopilot+ PCモデルの製品が登場する予定となっている。
Snapdragon X Elite搭載PCは高効率に動作し、最大22時間のローカルビデオ再生、最大15時間のWebブラウジングが可能。アプリ側のArm対応も進んでおり、Microsoftによると、Windows 10/11の2-in-1デバイスおよびiGPUベースのノートPCでユーザーが90%近い時間で使用しているアプリは、すでにArmにネイティブ対応している。さらに、新しいPrismエミュレータにより、Snapdragon X EliteではArmネイティブではないWindowsアプリが、前世代のWindows Armデバイスより2倍以上高速に動作する。
生成AIをオンデバイスで快適に利用できるようにデザインされたCopilot+ PCのスペック要求は高いが、Microsoftによると、Copilot+ PCモデルの価格は「999ドルから」になる。また、Snapdragon Xシリーズだけではなく、将来的にIntelやAMDのプロセッサを搭載したCopilot+ PCモデルも登場する。
Recallは、Copilot+ PCの高度な処理機能を使用して、アクティブなスクリーンのスナップショットを数秒ごとに記録し、暗号化してデバイスに安全に保存する。ユーザーは、Recallを検索またはスナップショットのタイムラインバーをスクロールすることで、過去にデバイスで閲覧または使用したコンテンツへのアクセスを効率化できる。256GBのストレージが動作要件になっており、約3カ月分のスナップショットを保存できる25GBがデフォルトで割り当てられる。
Cocreatorは、インク・ストロークとテキストプロンプトを組み合わせて、ほぼリアルタイムで新しいイメージを生成できる機能だ。ユーザーの変更がすぐにアートワークに反映されるので、アイデアを簡単に編集したり洗練させることができる。