アイロボットは4月17日、ロボット掃除機「ルンバ」の新モデルを3機種発表しました。1つは、水拭きに対応しながら39,300円の価格を実現したエントリーモデル「Roomba Combo Essential robot」。もう2つはダスト容器を交換することで水拭きができる2in1ロボット掃除機「Roomba Combo j5+」と「Roomba Combo i5+」です。

4月17日に開催されたルンバ新製品発表会で、「1家に1台」と強い意気込みをみせたアイロボット。新製品は4月19日から直販サイトのほか、量販店などの認定販売店で提供されますが、この3機種を含めて今後登場する製品は、認定販売店などで値引きをせずに売る「指定価格」となることも明かされました。

  • ラインナップが再編された「ルンバ」シリーズ。全6モデルで展開する。上段中央にあるホワイト・ブラックの2つがEssential robot。その左がj5+、右がi5+だ

ルンバの最新ラインナップを確認! 6機種中5機種が水拭き対応に

新しいルンバ3機種は全て、ロボット掃除機のトレンドともいえる水拭き機能を搭載しました。エントリーからミドルクラスまで水拭き対応モデルが揃ったわけですが、改めてルンバシリーズの全体像は一体どうなったのかというと、全6機種のラインナップに収束し、6機種のうち5機種が水拭きに対応した「ルンバ コンボ」となりました。

6機種の内訳をエントリーモデルから順に紹介していきます(新製品の詳細はニュース記事で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください)。

  • ルンバの新ラインナップ一覧。従来はクリーンベースの有無などで機種が分かれていたが、ミドルレンジ機以上のモデルは多くのユーザーがクリーンベース付きを選ぶといった理由から機種を整理したという

【新製品】Roomba Combo Essential robot……39,300円

関連記事:4万円以下で水拭きも! ロボット掃除機「ルンバ」お手頃価格の入門モデル

水拭き搭載で4万円を切る価格を実現した、ルンバシリーズのエントリー製品。わかりやすい操作が特徴で、付属の水拭き用モップを装着したバックプレートをダストボックスに取り付け、給水タンクに水を入れると、自動的に水拭きモードで稼働します。

機能面では割り切った部分も多く、水拭きの頻度が少ない人向けの製品。例えばラグやカーペットは認識できず、水拭き時にはそれらを片付けておく必要があります。本体色はブラックとホワイトの2色で、ルンバの本体色としては12年ぶりのホワイトが登場しました。

  • 水拭きを搭載しながら必要機能を絞った、エントリー向けの「Essential robot」。カラーはブラック、ホワイトの2色

  • 本体色では12年ぶりというホワイトを採用。利用者からの要望も多かったという

  • 本体裏面(写真は水拭き用モップを装着したところ)。中央のメインブラシは毛とゴム製のV時形シングルアクションブラシを採用する

  • 水拭き用モップが付いたバックプレートを、ダスト容器に装着することで水拭きモードがオンになる、

【新製品】Roomba Combo i5+……79,000円

関連記事:「水拭きルンバ」広がる、新j5+とi5+はダスト容器の付け替えで水拭き対応に

付属の床拭き対応ダスト容器に付け替えることで水拭きもできる、ルンバシリーズのスタンダード製品。本体のごみを自動収集するクリーンベースが標準で付属し、掃除機掛けでは最大1年分のごみをまとめておけます。ただし水拭き時はクリーンベースでの自動ごみ収集はできず、本体の充電のみ行われます。給水機能もありません。

水拭き掃除禁止エリア/侵入禁止エリアの設定はできず、清掃エリアは「全て清掃」「指定した部屋」のみ。カメラ非搭載のため障害物の認識・回避機能は省かれています。

  • 新たに水拭き対応した、スタンダード製品の「i5+」。前面カメラは非搭載

  • クリーンベースは上部のフタを開けるタグがレザー調。デザイン性の高さも特徴とする

  • クリーンベースの上部を開けたところ。ごみ収集用紙パックを備えられ、予備の紙パックも保管できる

【新製品】Roomba Combo j5+……108,700円

関連記事:「水拭きルンバ」広がる、新j5+とi5+はダスト容器の付け替えで水拭き対応に

i5+と同じく、付属の床拭き対応ダスト容器に交換することで水拭きもできるロボット掃除機ですが、j5+はより高機能なプレミアムに位置する製品。掃除機・水拭き方法やクリーンベースの付属などはi5+と同じながら、こちらは専用アプリ(iRobot Homeアプリ)で水拭き掃除禁止エリア/侵入禁止エリアの設定が可能。

また、清掃エリアは「全て清掃」「指定した部屋」「部分清掃エリア」の指定が行え、対応できる部屋は5部屋以上。カメラを搭載するため、障害物の認識・回避機能もあります。

  • 同じく水拭き対応した、プレミアム製品の「j5+」。i5+より高機能で、前面にカメラを搭載する

  • 本体裏面。中央に2本のゴム製デュアルアクションブラシを搭載する。下部にはモップを付けた床拭き対応ダスト容器を装着

  • ダスト容器に水を入れるエリアがあり、左右2カ所の青い部分から細管現象でしみ出した水がモップを湿らせ、水拭きできる

Roomba j9+……139,800円

Roomba j9+は、水拭き機能なしで、掃除機機能のみ使えるロボット掃除機。ラインナップの中ではプレミアムに位置づけられる高機能モデルで、障害物回避機能や清掃エリアの指定が可能。クリーンベースを備え、自動収集したごみはベース内にためられます。j5+から水拭き機能を省いたモデルといえそうです。

Roomba Combo j9+SD……169,800円

j9+SDはスーパープレミアムと名付けられた、ルンバのフラッグシップ製品。水拭き用モップを本体に備えており、必要なときにいつでも拭ける丁寧な水拭き機能を搭載しています。床をゴシゴシこすり、通常の床拭きモードと比べてしっかり拭ける「スマートスクラブ」機能も用意。

障害物検知や清掃エリアの指定、拭き掃除禁止エリアの設定も可能。ただしこのj9+SDに付属するのは、乾いたごみを収集できるクリーンベースで、給水には対応していません。

Roomba Combo j9+……199,800円

j9+もスーパープレミアムに位置するフラッグシップ製品。j9+SDの“兄弟機”となり、機能は同等ですが、付属ベースがクリーンベースではなく、より上位の新クリーンベースが同梱されます。新クリーンベースは通常のごみ収集に加え、自動給水可能な3L分の大容量水タンクを装備し、自動給水に対応しました。

国内普及率10%達成で「1家に1台」を加速。今後は割引なしの販売へ

  • アイロボットジャパン代表執行役員社長の挽野元氏

アイロボットジャパン代表執行役員社長の挽野元氏によると、ロボット掃除機「ルンバ」の国内の世帯普及率が、2023年ついに10%を達成したといいます。全世界で同社のロボット掃除機「ルンバ」と、水拭き対応ロボット掃除機「ブラーバ」の累計販売台数は5,000万台を突破。国内でも累計出荷台数が600万台を超えたとのこと。

ロボット掃除機の「国内世帯普及率10%」は、同社が2018年に中期目標として掲げた、マイルストーンとなる数字でした。その理由は、かつてカラーテレビやエアコン、薄型テレビといった新しい分野の家電(などの耐久消費財)が、10%の世帯普及率を超えたところで加速的に広がるという傾向があるためです。

  • ルンバとブラーバの国内世帯普及の推移

  • 耐久消費財における世帯普及率の推移

指標となる10%を超えたことで、挽野氏はロボット掃除機が「キャズム(新製品が普及に至るまでにぶつかる障害や壁)の入り口にある」とし、「2024年はキャズムを超え、いかに普及率を上げていくか。ロボット掃除機市場全体を盛り上げていく鍵になる」とコメント。「ロボット掃除機はいよいよ1家1台のステージに入ります」と意気込みました。

  • ロボット掃除機は「1家に1台」を強くアピールした

Essential robotの39,300円という低価格も、キャズムを超えるための戦略の1つ。またj5+では前モデルから2万円ほど、i5+では1万円ほど低価格化して販売されます。低価格でロボット掃除機を提供する中国メーカーの存在も影響しているでしょう。

価格に関する新施策として、今後のアイロボット製品は、認定販売店独自の割引を受けず、どの店で買っても価格が変わらない指定価格での販売となります。

具体的には、アイロボットジャパンが認定販売店の在庫リスクを負担することで、同社が指定する価格で販売する仕組みを提供するというもの。指定価格での販売は、認定販売店と長い間協議した上で導入に至ったといい、挽野氏は「製品の価値をユーザーに伝え、公平かつ適正な価格で販売していくことが、最終的には買われる方のメリットになるのでは」と説明しました。

  • 今後の新製品は指定価格で販売され、販売店独自の値下げを受けない。在庫リスクをアイロボットが負担することで実現した

  • 主なアイロボット認定販売店