「Lenovo Yoga / Legion」新モデルをタイ・バンコクで見てきた。AI PCとゲーミングが交差する発表会

Lenovoは3月27日～29日にかけてタイ・バンコクで製品発表会「Lenovo Innovate '24 The future is now」を開催し、ノートPC「Yoga」シリーズとゲーミングノートPC「Legion」シリーズの新製品をお披露目しました（発表自体は一部CES 2024で行われたものです）。

発表会はAPACリージョンの関連媒体・インフルエンサーを多数招待して行われ、マイナビニュースも参加してきました。忙しい方向けにまとめておくと、発表会で強調されたのはやはりNPU統合によるAI PCのプレゼンス。ゲーミングノートPCで新採用の冷却機構は格段に静かになっています。

「Lenovo Yoga / Legion」新モデルをタイ・バンコクで見てきた。AI PCとゲーミングが交差する発表会

取材協力：Lenovo

バンコク・コンラッドをジャックして行われた発表会

発表会「Lenovo Innovate '24 The future is now」は、コンラッド・バンコクのイベントスペースを貸し切って行われました。基調講演にはLenovoのAPAC担当エグゼクティブに加え、IntelとMicrosoftからも担当者が登壇。特にAI利活用について焦点を当て、AI PC推進に業界を挙げて取り組んでいく姿勢を強調しました。

Lenovo Asia PacificリージョンでConsumer Business Leadを務めるLeon Yu氏
Intel Asia Pacific & JapanリージョンでIntel Director, Global Account(Lenovo)を務めるGeorge Chacko氏
Microsoft Asia PacificリージョンでAsia Consumer Channel & Partner Marketing Leadを務めるBelinda Widgery氏

各担当者の発表内容についてざっくりまとめると、LenovoはIntel Core Ultraシリーズを搭載する最新Yogaシリーズ投入でAI PC活用への端緒を開きます。Intelは推論に特化したNPU統合で既存PCとは全く異なる軸でも性能向上を図り、Windowsを提供するMicrosoftはハードウェアの進化に合わせたエコシステム構築で顧客体験を改善していく、というものでした。

ちなみにYogaシリーズはもともと、ディスプレイを360度折り返して使うことができる製品としてブランディングされていましたが、今では（非ビジネス向け）個人向けプレミアム製品ラインとして展開されています。物理キーボードを搭載しないデュアルスクリーン仕様のような先進的モデルも投入されており、意欲的な製品開発が行われている点もポイント。

Intelに関してはNPUを統合したことによるAI性能強化をアピールしたいことはもちろんのこと、CPU、GPU、NPUによる三位一体でAI PCを体現していくとアピールしている点も見落とせません。小規模かつ低遅延なワークロードにはCPU、大規模で強力なワークロードにはGPU、低出力ながら持続的なパワーが必要なワークロードにはNPUを活用すべしと強調し、これをIntel Core Ultraシリーズで推し進めていくとしています。

Microsoftといえば、やはりWindowsで利用できる「Copilot」についての発表が柱でした。最近タスクバーにこしらえたCopilot起動アイコンに加えて、ノートPCのキーボード右下に専用キーを搭載してよりアクセスを行えるように配慮。重点的に活用している人は月に10時間以上も節約できるようになったとしながら、Microsoft 365サブスクリプションで提供するCopilot PROについても推進していくとしています。

Yoga投入、AI PC周りの発表もひと段落したところで、ゲーミングブランド「Legion」における新製品をClifford Chong氏が発表しました。

Clifford Chong氏（Lenovo Asia Pacific Gaming Category Manager）

現行Legionシリーズは多種多様、仕様や構成に応じて多岐にわたる製品ラインナップが展開されていますが、要するにリッチな特盛仕様の「Pro」、薄型軽量プレミアム「Slim」、控えめ構成で手に取りやすい「LOQ」と憶えておけばOK。モデル名「7i」「5i」のように「i」がついていればIntel Core搭載モデルです。

発表の内容からひとつ取り上げるとすれば、やはり新型冷却機構「Coldfront Hyperchamber」でしょうか。もちろんヒートパイプやファンなどクーラーそのものにあれこれと手が入れられているのですが、個人的には裏蓋に仕切りをつけてエアフローを制御している点がユニークだと思いました。これによってボディ内で熱い空気が散らかることを防ぎ、冷却性能を引き上げて静音性も高めたとのこと。動作デモを見たところ本当に静かで、一昔前のやかましい“ゲーミングノートPC”しか知らない人なら結構びっくりするのではと思いました。

「Forged Carbon」採用で、天板の模様に同じものがひとつとしてないモデルも
サイドベントがない。底面吸気、ヒンジ排気でよりスマートな外観に

個人向けではAI PCに全力投球するLenovoの姿勢を見た

タイ・バンコクまでAPACリージョンのメディアを幅広く呼び寄せ、登壇者にIntelとMicrosoftの担当者まで揃えて開催された今回の製品発表会。モノ自体はラスベガスで年初行われたCES 2024で既出だったにもかかわらず、製品の広報に全力で努めていく姿勢が明らかになっています。

折しも国内では、ビジネス向けThinkPadシリーズでIntel Core Ultra搭載モデルが一挙に発表されました『Lenovo ThinkPadシリーズにIntel Core Ultraモデル発表！サステナビリティの観点でユーザー交換可能部品が増加』。なんとこちらではあえてAI PCとは表現していないらしく（Intel Core Ultra搭載ですが、一部の要件を満たしていない）、個人向けのYogaシリーズとは対称的に感じられます。

先進的な仕様で最新の潮流をいち早くキャッチアップしていくYogaシリーズと、しっかりした地盤と強固なユースケースの確立まで虎視眈々とタイミングを伺うThinkPadシリーズ。Lenovoの姿勢がくっきりとブランドで分かれる興味深い発表会になったのではと感じます。