ノートPCやタブレットは画面を表示するディスプレイがあります。CES 2024に展示されていた「Spacetop」はキーボードを備えたタブレットです。ところがディスプレイが見当たりません。一体どうやって使うのでしょうか?
Spacetopは持ち運びやすいように本体にカバーが取り付けられています。大きさはA4サイズを一回り大きくしたくらいで持ち運びも苦ではありません。本体サイズは26.6×24.9×4.0cm、重さは不明ですが、軽量なノートPCと同じくらいのようでした。
横から見ると片側が盛り上がった形状になっています。実はここにSpacetopのヒミツが隠されています。ちなみにSpacetopの主なスペックはチップセットがQualcomm Snapdragon XR2、OSはAndroidベースのSpacetop OSを搭載。メモリ8GBにストレージは128GB、バッテリーは容量不明ですが5時間の使用が可能。モバイル通信は5Gに対応します。
ケースを開けてみると、まずはキーボードが見えます。このキーボードは一般的なノートPCとほぼ同じ大きさであり、長い文章もしっかりと入力することができます。仕事や学習用のノートPC代わりとして十分使うことができるでしょう。そしてキーボードの上に見えるのがARグラスです。Spacetopは持ち運ぶとき、このようにキーボードの上にARグラスを収納するようになっているのです。このARグラスは本体とケーブルで接続されており、Spacetopの表示はこのARグラスを使うのです。またARグラスの前に見える本体カバーの裏側の部分はカメラで、ビデオ会議などに使うことができます。
Spacetopを使うときはARグラスを顔にかけます。すると目の前に仮想デスクトップ空間が見えるのです。つまりSpacetopはディスプレイを使わず直接このARグラスに表示を行うわけです。実際に使ってみると仮想デスクトップは100インチの大きさで、最大6つの画面を表示できるので意外と使いやすいと思いました。
一方で使っている姿はちょっと不思議な姿に見えます。ディスプレイが無いのにキーボードを売っている姿は周りの人が見ると「何をしているんだろう」と感じるでしょう。実際にテストで使っていたところ、多くの人から話しかけられたほどです。
実際にARグラスの中の映像を撮影するのが難しかったため、Spacetopの商品販売ページにある画面の様子の写真をお見せします。このように目の前に複数の画面・アプリが表示されるため、見た目に反して実用性はかなり高そうです。
Spacetopはオンラインで購入が可能です。ただし価格は2,150ドル、約31万8,000円とかなり高価。AppleのVision Proの3,499ドル(約51万7,000円)よりは安いものの、全く新しいデスクトップ空間を体験するにはそれなりの対価を支払わなくてはならないようです。
とはいえCES 2023の会場にはたくさんのARグラスの展示がありました。ARグラスは参入企業が年々増えており価格も下がってきており、また機能も向上しています。Spacetopも数年もすれば価格が引き下がり、ノートPCやChromBookと比べて買えるくらいの製品になるかもしれません。