メタバース向け製品などを手がける、パナソニック傘下のShiftallが「CES 2024」(会期:現地時間1月9日~12日)にあわせて、3つの新製品を発表した。それぞれの特徴や、Shiftallの現行製品との差異や進化点について見ていきたい。

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Shiftallが発表したのは、従来機よりも軽くデザインも新しくなったVRヘッドセット「MeganeX superlight」と、新世代センサー+光学認識のハイブリッド方式に進化したモーション・トラッキングデバイス「HaritoraX ワイヤレス R」、従来機よりも高音質・低遅延化を図ったワイヤレス防音マイク「mutalk 2」。

このうち、mutalk 2については既に予約を受け付けており、価格は19,900円。2024年5月に発送を予定している。現行のmutalkユーザーには買い替えキャンペーンも実施中だ(後述)。それ以外の2製品については、いずれも2024年に発売予定で、価格は未定。

Shiftallの岩佐琢磨CEOの説明によると、MeganeX superlightは「2024年の春~夏頃の発売を見込んでいて、(現行の)MeganeXよりは少し価格を抑えて提供できることを目指す」、HaritoraX ワイヤレス Rについては「そんなに本体の値段がすごく上がるということはない。おそらく本体の値段+カメラの値段というかたちになる」とのこと。

なお岩佐氏は「我々のVR・メタバース製品の出荷台数の90%以上は『VRChat』(VRSNSサービスのひとつ)のために買っているユーザーが占めている。そうしたユーザーに向けて全力投球を続けていく」ともコメントしている。

各製品の概要は以下の通り。

MeganeX superlight

  • MeganeX superlightの利用イメージ

既存のSteamVR対応VRヘッドセット「MeganeX」の約半分の重量を目指し、“限界まで軽量化チューニングを施す”ことで装着性を高めた新機種。

両目で5.2K(片目につき2,560×2,560ドット)という解像度を実現する、HDR対応マイクロOLEDパネルを引き続き搭載しながら、MeganeX比でFOV(視野の広さ)をさらに広げたオール樹脂製レンズを採用。MeganeXではガラスを一部採用したレンズを使うことで高画質化を追求していたが、これが重量増にもつながっていた。そこで今回は樹脂製に替えて軽量化し、新しい光学系を導入して中央部の解像感の高さは維持しつつ、視野角も広げた。

さらに約200g(フェイスパッド・ヘッドバンドを除く)という重さを実現するため、従来のMeganeXでは主に業務用途のみで使われていたというInside-Outカメラを廃し、スピーカーやテンプルも省いて、形状もメガネ風のデザインからゴーグル型に刷新した。このため、装着部は一般的なVRヘッドセットのような、フェイシャルガスケットタイプに替わっているとのこと。

デバイスとの接続は、DisplayPort+USB 2.0。装着したユーザーの頭や体の動きを正確に検知できる6DoFにも対応しており、SteamVR Base Stationによって高精度なトラッキングも追求した。

HaritoraX ワイヤレス R

  • HaritoraX ワイヤレス R

メタバース空間でユーザーの身体の動きを再現する、モーション・トラッキングデバイス「HaritoraX」シリーズの新機種。

新世代センサーに加え、専用カメラ(別売)による光学認識を組み合わせて誤差(ドリフト)を自動補正するハイブリッド方式を新たに採用。IMU(慣性計測ユニット)方式の軽さ・長時間駆動・遮蔽物の影響を受けないというメリットと、光学方式のドリフトしない精度の良さという、双方の強みを兼ね備えることで高精度なトラッキングを追求したことを特徴としている。

使用方法は従来のHaritoraXシリーズと同じだが、専用カメラをPCにつなぐと、カメラの視界内にセンサーが写った瞬間に、それまで蓄積されていたドリフト分のねじれを自動補正。カメラの方向を向く機会がある使い方では、IMU方式に必須の一定時間ごとのキャリブレーション操作が不要になるとのこと。

トラッキングポイントは、胸と腰、両膝、両足首の6点で、追加ユニットを購入すれば全身に拡張可能。センサーには加速度・角速度・地磁気センサ(9軸IMU)を採用している。専用カメラはUSB接続、センサーはBluetoothまたは専用ドングルによる独自の無線通信となる。IMU方式の動作時間は約20時間。IMU+光学方式の動作時間は現時点では未定。

mutalk 2

  • mutalk 2の利用イメージ

自分の声を外に漏らさない構造で周りに聞こえにくくし、さらに周囲の騒音もマイクに入りづらくする機能を備えたワイヤレス防音マイク「mutalk」の新機種。スマートフォンやPC、対応するVRヘッドセットなどとワイヤレスで連携して、オンライン会議やゲームのボイスチャットなどで活用できる。

新型マイクと新たな構造を採用し、専用通信ドングルによる無線接続時の高音質・低遅延化を追求。内蔵Bluetoothチップも変更し、マルチポイント接続(2台までの同時接続)にも対応するなど、価格は据え置きながら“ほぼ全部中身を替えた”新機種となる。カラーは、従来のmutalkはホワイトだったが、mutalk 2はブラック仕上げとなっている。型番は「SVP-OD2B」。

標準同梱のマウスパッドは、鼻をおおわず呼吸しやすい口だけのものに加え、鼻まで覆う「ノーズカバーマウスパッド」も用意。鼻声のようにならず、一般的なマイクと同様の自然な声になるという。マウスパッドや、唾液の飛沫を受ける吸湿クッションは着脱でき、水洗いも可能。

接続方法は、専用通信ドングルとBluetoothに加え、USBによる有線接続の3種類に対応。Bluetooth 5.3に準拠している。音声ビットレートは、専用ドングルや有線での接続時は、マイク入力が最大48kHz/24bit、出力は最大96kHz/24bit。Bluetooth接続時は入出力ともに最大16kHz/16bitとなる。本体には3.5mmステレオミニ出力を備え、接続機器からの音声をイヤホンなどで聴ける。

本体サイズは123×67×107.5mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重さは188g。バッテリーを内蔵し、約2時間の充電で最大10時間連続動作する。Windows 10以降、macOS v11以降/macOS v10.13以降を搭載したPCや、iOS/iPadOS 13.4以降を搭載したiPhone/iPad、Android 10以降を搭載したデバイスで使用可能。

なお、Shiftallストアでは、2024年1月7日までに従来の「mutalk」を購入したユーザーを対象に、mutalk 2を3,000円引きで購入できる優待販売キャンペーンを実施中。期間は2024年2月11日23時59分までで、詳細は同社公式ページを参照のこと。