2023年10月、家電・生活用品のドウシシャと鋳物の石川鋳造がタッグを組み、「おもいのフライパンスクエア 電気卓上コンロセット」(以下、おもいのコンロセット)を発売しました。購入まで3年待ちが発生するくらい人気の「おもいのフライパン」を使用しています。

このフライパンは「世界で一番お肉を美味しく焼ける」を目指しした名品。そんなフライパンに、ドウシシャのヒーター技術を組み合わせた製品が、おもいのコンロセットなのです。気になる実力をプレス向け試食会でチェックしてきました。

  • おもいのコンロセットには複数のセットがありますが、今回紹介するのは「おもいのフライパン スクエア 電気卓上コンロ フルセット ドウシシャVer.」です。このセットは2種類のフライパンが付属し、価格は55,000円となります

一般的なホットプレートと何が違う?

おもいのコンロセットに付属するフライパンは、焼き面が22×22cm(外形はハンドルを除いて25×25cm)の正方形です。そこまで大きな焼き面サイズではないにもかかわらず、55,000円という価格にはいくつかのワケがあります。もっとも大きな理由は、付属のフライパンに石川鋳造による鋳造フライパンを利用していることです。

  • おもいのコンロセットに付属する2種類の鋳造鉄フライパン。左が「おもいのフライパン」、右は肉などの脂が落ちやすいようにミゾのついた「頂-ITADAKI-」。いずれも焼き面サイズは22cmですが、おもいのフライパンは高さ6cmで煮物もできる深型。「頂-ITADAKI-」は高さ3cmで鉄板焼き用の鉄板みたい

家庭のフライパンとしては、食材がくっつきにくくて軽いコーティングフライパンを使っている人が多いでしょう。ただ、フッ素樹脂などのコーティングフライパンは一般的に1年~数年でコーティングが剥げてくるため、買い換えが必要でもったいなくもあります。しかも一定以上の高温下では、コーティングが剥がれてしまうという特性も。

そこで料理好きから見直されているのが、一度油膜を形成すれば高温でも食材が張り付かない鉄製のフライパン。厚みのある鋳物鉄フライパンは熱伝導率と蓄熱性が高いため、食材をおいたときに調理面の熱が下がりにくく、肉などを美味しく焼けるのです。無塗装なので「コーティングを食べてしまう心配がない」という理由からも選ぶ人が増えています。

  • 石川鋳造による鋳造フライパンと一般的なフライパン、熱伝導と蓄熱性の違い

  • 付属フライパンの2種を手にするマイナビニュース +Digitalの林編集長。フライパンの大きさが何となくわかるでしょうか? 蓄熱性が高いぶん、フライパン自体は重量級。おもいのフライパンは重さ1.95kg。「頂-ITADAKI-」は2.1kgあります。「長く持ち上げているのはツライです」(林)

鉄フライパンは高温で熱した油が表面をコーティングし、食材がくっつかないようになります。使用後は熱いうちにタワシと水でササッと汚れを落とし、火にかけて水を飛ばすというお手入れが必要。この作業と重さが気にならなければ、鉄フライパンは一生モノの安全な調理器具です。「おもいのフライパン スクエア 電気卓上コンロ フルセット ドウシシャVer.」に付属するフライパンは2種類とも、付属ヒーターだけでなく、ガスコンロやIHクッキングヒーターでも利用可能という点も魅力です。

  • 付属フライパンは、ガスコンロやIHで普通の鋳造鉄フライパンとして使えます。ハンドルまで一体成形の鋳造鉄なので、コンロで焼き目をつけて、そのままオーブンに入れるといったスキレット風の使い方も可能

ドウシシャで話題になった「四角い」形にも注目

石川鋳造のフライパンは基本的に一般的な円形デザインでしたが、今回のセットでヒーターを担当したドウシシャとの共同開発では、四角(スクエア)形状になりました。

ドウシシャは四角いフライパン「Sutto」シリーズでも人気のメーカー。フライパンを四角にすることによって、フライパンが自立する、収納に余分なスペースを取らない、食材をキレイに並べられる、端が鋭角になっているのでソースや汁を食器に注ぎやすい……といったメリットがあります。おもいのコンロセットには2種類のフライパンが付属しますが、どちらも四角形状であることでコンパクトに収納できます。

  • フルセットは、鋳鉄製フライパン スクエア深型(22cm)、スクエア 頂 -ITADAKI-(22cm)、電気卓上コンロ、フタ、おもいのフライパン スクエア収納スタンド、おもいのフライパン スクエアなべしき――、これらがセットになったもの。広げるとけっこうな量があります

  • フライパンとヒーター部が四角いので、付属の収納スタンドにセットすると意外とコンパクトに。フライパンの中に、電源アダプターやなべしきなど細かな部品も収納されています

おもいのコンロセットには、どちらのフライパンでも使える軽い専用フタも付属しますが、フライパン同士を重ねて片方をフタのように利用することも可能です。フタになるフライパンにも重さがあるため、内部の蒸気を逃がさないダッチオーブンのような使い方もできます。

  • 付属フライパン同士を重ねたところ。ダッチオーブンの代わりにキャンプで利用してもよさそうです

おもいのコンロセットで肉を焼く!

さっそく、おもいのコンロセットで肉を焼いていきます。ここまではフライパンのすごさを紹介してきましたが、ドウシシャが開発したヒーター部も見逃せません。最大の特徴は高い火力です。

鋳造フライパンは蓄熱性が高いのですが、反面、温度が上がるまでに時間がかかります。しかし、ドウシシャはヒーター管を長く設計することで火力をアップ。肉が美味しく焼けるといわれる250℃になるまでの時間は約4分30秒と、一般的なホットプレートの半分ほどです。

  • ヒーター管をぐねぐねと曲げて火力を高めています。最高温度250℃というのもホットプレートの火力としてはなかなか高め

  • 側面にあるスライドバーで温度を設定。弱:約110℃~150℃、中:約160℃~190℃、強:約200℃~250℃となります。「切」からスイッチを入れるにはバーを少し持ち上げる必要があります。触れただけで誤動作しない安全設計

  • フライパン×2枚で4kg近くあるため、試作段階ではフライパンを頻繁に乗せ下げするだけで本体が壊れることがあったそう。そこで底面の脚部分(4本)に、バネで上下するダンパー構造を採り入れました

肉の焼き方は基本的にフライパンと同じ。まずは煙が立ち上るくらいカンカンにフライパンを熱し(コーティングフライパンの多くは、ここまでフライパンを余熱できません)、肉を投入。あとは両面をしっかり焼き、余熱で中心まで火を入れて完成です。

【動画】ドウシシャ&石川鋳造「おもいのコンロセット」でステーキを焼く!(音声が流れます。ご注意ください)

ぶ厚い肉をひっくり返したときに驚いたのは、美しい焼き目。一般的なホットプレートで肉を焼くと、焼きムラが出たり、長時間焼いても焼き色が薄かったりすることがあります。おもいのコンロセットは、焼き始めて1分半ほどで大きな肉の全体に美味しそうな焼き目がしっかりとついていました。

  • ふたつのコンロを使って、おもいのフライパンと「頂-ITADAKI-」の両方で肉を焼きました。両方とも、とってもキレイな美しい焼き色。ちなみに「頂-ITADAKI-」は、おもいのフライパンの1.5倍ほど厚みがあり、より蓄熱性が高い点が特徴です

もうひとつの驚きは、ハンドルが熱くならないこと。付属フライパンはいずれもハンドルまで一体成型された鋳造鉄製ですが、一般的に一体成型のフライパンは調理中にハンドルが熱くなるため、布巾やミトンを使って握る必要があります。一方、おもいのコンロセットに付属するフライパンは、デザインや形状を工夫することで取っ手が熱くならない構造になっています。

  • 「とはいえ、長時間調理していたらハンドルも熱くなりますよね?」と思い、15分以上加熱調理しているフライパンのハンドルを握る林編集長――「熱くない……むしろひんやりしているかも?」(林)

  • 焼き上がったステーキの味は「外はカリッと香ばしい焼き目がついていて目と食欲を刺激し、中は柔らかジューシー!」

今回の試食会は肉を焼いただけでしたが、焼く以外にも蒸す・煮る・炊く・揚げるといった、フライパンで可能な調理はすべてこなします。ちなみに、石川鋳造では24cm型の深型「おもいのフライパン(円形)」を17,600円、26cmの「頂-ITADAKI-」を23,100円で販売中(2023年12月時点)。そう考えると、通常のフライパンとしてもダッチオーブンとしても使えるおもいのコンロセットは、コストパフォーマンス的には優秀かもしれませんね。