• Intelの逆襲、「Core Ultra」正式発表と「AI PC」標榜 - AI Everywhereイベント詳報

米国時間の12月14日、IntelはAI Everywhereイベントをハイブリッドの形で開催、ここでCore Ultraや5th Gen Xeon Scalableなどの新製品を正式に発表した。イベントでは5ノードのシリコン(Photo01)やMeteor LakeことCore Ultra(Photo02)、Emerald Rapidsこと5th Gen Xeon Scalable(Photo03)、更にはまだ開発中のGaudi 3のサンプル(Photo04)まで示されるなど盛り沢山の内容であったが、まずはCore Ultraについてお届けしたい。

  • Photo01: 左からIntel 7、Intel 4、Intel 3、Intel 20A、Intel 18Aとなる。今回、Intel 18Aが2024年第1四半期にテスト製造を開始する事が明らかにされた。

    Photo01: 左からIntel 7、Intel 4、Intel 3、Intel 20A、Intel 18Aとなる。今回、Intel 18Aが2024年第1四半期にテスト製造を開始する事が明らかにされた。

  • Photo02: Core Ultraを示すMichelle Johnston Holthaus氏(EVP&GM, CCG)。

  • Photo03: 5th Gen Xeon Scalableを示すSandra L. Rivera氏(EVP&GM, DCAI)。Rivera氏は来年からスピンアウトするPSG(Programmable Solutions Group)のCEOになるので、DCAIのトップとしてはこれが最後の登場となる。

  • Photo04: Gaudi 3を示すGelsinger CEO。なんとなく、中央に2つの大きなダイがあり、その上下に4つづつのHBM Stackがあるように見える。

Intel Innovationの記事で、IntelがMeteor Lakeに合わせてAI PCというキャンペーンというか標語というか、そうした概念を導入するということはご紹介した通りであるが、Intelによれば2028年には市場の80%がそのAI PCになるとし(Photo05)、そのAI PCによってさらにユーザーに寄り添ったものになる、としている(Photo06)。

  • Photo05: まぁAMDもNPU搭載のCPUを本格的に投入し始めるから、この数字そのものは不思議ではない。

  • Photo06: compute, graphics, AIではないところがミソ。要するにこれまでの要素(その中には消費電力とかバッテリー寿命も含まれる)に加えて、今後はAIもファクターになる、と言いたいのだろうが。

さてCore Ultraの構成だが、前半は色々内部構造の紹介があった。ただ殆どの話は既にDeep Diveなどでもお届けしているので割愛する。ただ細かいスペックで言えば、例えばGPUはやはり8EU(というか8 Xe-core)になったとか、メモリはLPDDR5-7467/DDR5-5600をサポートする。ただしLPDDR5は64GBまで、DDR5だと96GBまでサポートされるなどといった詳細が明らかにされたのは大きい(Photo07)。細かいSKUと仕様一覧は最後にご紹介する。

  • Photo07: NPUは恐らく最大で2 stream(というか2つのモデル)を同時に処理可能になっている模様。勿論モデルの規模次第ではあろうが。

で、Core Ultraの説明の後半は当然ながら性能比較ということになる。まずはCPUのSingle Thread性能(Photo08)とMulti-Thread性能(Photo09)、マルチメディア性能(Photo10)などの比較が示された他、これまで弱点だったGPU性能でもAlder Lake比で大幅に向上しており(Photo11)、平均性能ではRyzen 7 7840Uを上回るケースもあるとしている(Photo12)。またAI PCということでXeSSでも性能向上の効果が大きい(Photo13,14)こともアピールポイントとして挙げられた。

  • Photo08: QualcommのSnapdragon 8CX Gen3まで入っているところが目新しい。ちなみに濃い青はCore i7-1370Pの模様。

  • Photo09: 左は同じ消費電力ならCore i7-1370P比で8%、Ryzen 7 7840U比で11%性能が高い、という意味である。

  • Photo10: こちらはすべてASUSのZenbookで比較、というあたりが芸が細かい。

  • Photo11: なんかこう、あまり性能が変わらないゲームと極端に性能が上がるゲームで、何が違うのかが良く判らない。

  • Photo12: これは消費電力とのバーター、という気がしなくもない。というかH SKUのCPUとU SKUのCPUの比較はどうだろう?

  • Photo13: これはXeSSの有無でのフレームレートの違い。

  • Photo14: Alder Lake世代と比べるとフレームレートが最大3倍になる、とする。問題は対応アプリケーションがまだ少ない事か。

次がAI PCらしくAI性能である。ワークロードの中でAIを利用するアプリケーションでの性能比較(Photo15)を示した。特にこのNPUに関しては、Core i7-1730Pと比較して大幅に性能が向上する事をアピール(Photo16)した。次の話は、これNPU云々というよりもフレームワークの比較であるが、一応OpenVINOに対応するCore Ultraが一番有利、という話である(Photo17)。70億パラメータのLLama-2がCore Ultraのローカルで動作する事も今回発表された(Photo18)。

  • Photo15: Ryzen 7 7840Uで動くアプリケーションはRyzen 7 7840Uを基準に、動かない(DNR:Do Not Run)アプリケーションはCore i7-1370Pを基準にした相対性能である。

  • Photo16: 現時点ではMeteor LakeにP SKUが無いのでH SKUと比較するのは間違ってはいないのだろうが、Max Turbo Powerが115WのCPU(Core Ultra 7 165H)と64WのCPU(Core i7-1370P)を比較するのもどうだろう、という気はちょっとする。

  • Photo17: 問題はOpenVINOってどうよ? という話でもある。

  • Photo18: つまりCore Ultraを使えばオフラインでもLlama-2が動作するという訳だ。

Photo19が今回のハードウェア構成。Photo20がSKU一覧となる。現時点ではIntel Arkでも価格は示されていないが、本日よりOEMメーカーには出荷開始されている模様だ。

  • Photo19: ノート向けということでDiscrete GraphicsはPCIe Gen5 x8構成。SSDはGen 4×4が3組、その他の周辺回路向けがGen 4×8ということで、かなり充実している感じだ。画面出力は3画面(eDPの他にHDMI 2.1/DP 2.1が利用可能)となっている模様。

  • Photo20:Max Turbo Powerであるが、2つ並んでいるのは小さいほうがMax Assured Power、大きい方がMax Turbo Powerである。また新しい消費電力の概念が登場した。