9月19日と20日の2日間、San Jose McENERY Convenction Center(SJCC)でIntel Innovation 2023が開催されている(Photo01)。実は昨年開催されたIntel Innovation 2022も会場はここ(2021年はオンラインのみ)であるが、今年は本格的にIn-Person Eventとなったのか、すでに会場が手狭な感も無くはない。来年以降はどうするつもりなのだろう?

  • 「Meteor Lake」は12月14日発売、以降のロードマップも更新 - Intel Innovation 2023 基調講演レポート

    Photo01: 久しぶりのSJCC。以前はIDF(Intel Developer Forum)という名称でここを利用して開催されていたが、参加規模の拡大に伴い会場をSan FranciscoのMoscone Centerに移動して、ここを利用するのは久しぶりだった気がする。

それはともかく初日に開催された基調講演では、Pat Gelsinger CEOがいろいろとロードマップのUpdateや新情報を公開したので、まずはこれをまとめてご紹介したいと思う(Photo02)。

  • Photo02: Emelard Rapidsを示すGelsinger氏。

    Photo02: Emelard Rapidsを示すGelsinger氏。

まず最初は以前からベータ版として同社が提供していたIntel Developer Cloudが本日より正式に提供を開始したというアナウンス(Photo03)。次が現在のGaudi 2に続き、性能を大幅に引き上げたGaudi 3が投入され(Photo04)、その次がFalcon Shoresというコード名の製品が予定されているという話(Photo05)が紹介された。

  • Photo03: ちなみにIntel Innovation参加者には1週間無料のチケットが提供された。

  • Photo04: 製造は引き続きTSMCで行われる模様。

  • Photo05; うっかり"Gaudi 4"とか言いかけて慌てて"Falcon Shoresだ"と訂正する一幕も。構造も製造先もまだ不明である。

そのAI絡みでいえばIntelはOpenVINO 2023.1をアナウンスしたが、これに加えてArm CPUにOpenVINOのインプリメントを行うことを今回アナウンスした(Photo06)。

  • Photo06: OpenVINOはx86ベースのCPUでも利用できるが、Armはこれまで対象外だった。

次がコンシューマ向けの話。Meteor LakeにはMovidiusのMyradシリーズをベースとするNPUが搭載されるという話は以前もご紹介した(Deep Diveでこの話はもう少し細かく説明予定)が、これを搭載する製品を新たにAIPCと呼ぶことにしたらしい(Photo07)。そのAIPCにまず搭載されるMeteor Lakeであるが、Core Ultraのブランド名で、今年12月14日に発売開始されることが正式に発表された(Photo08)。またこれに続き2024年中にはArrow LakeとLunar Lake、更にPanther Lakeの3つの新製品が投入されることも明らかにされた(Photo09)。ちなみに会場ではAcer COOのJerry Kao氏がAIPCに対応した製品としてAcer Swiftを紹介した(Photo10)が、これは実はArrow Lakeのプロトタイプを搭載したものであった。ほかにLunar Lakeを搭載した最初のデモ機も紹介されている。

  • Photo07: Wi-Fiを標準搭載したCentrinoを引き合いに出して、同じようにNPUを搭載するPCをAIPCと呼ぶことにしたようだが、Centrinoほどのキャンペーンを打つのかどうかは現時点でははっきりしない。

  • Photo08: まだSKUの詳細などは明らかになっていない。

  • Photo09: Arrow LakeとLunar Lakeは以前からアナウンスがあった製品で、Arrow LakeはIntel 20A、Lunar LakeがIntel 18Aを使う予定であった。Panther Lakeは今回が初の正式アナウンスであり、これもIntel 18Aを利用する。

  • Photo10: 「素晴らしいデモをありがとう。で、これありがとうね」「いやあげないよ」なんて小芝居の一幕も。

次いでXeonの話に。現在のSapphire Rapidsに続きEmerald Rapidsを現在テスト中という話は今年3月のDCAI Investor Webinarでアナウンスがあったが、これがMeteor Lake同様に12月14日に正式発表されることが公開された(Photo11)。またこれに続きSierra Forest/Granite Rapids/Clearwater Forestの各製品が投入されるという話も以前アナウンスがあったが、これらが新しいBirch Stream Platformで実装されることも正式に公開された(Photo12)。ここまではまぁ予想通りだったのだが、予想外だったのがSierra Forest。3月のDCAI Investor Webinarでは144coreという数字が示されていたのだが、確かにコア(というかTile)あたりは144coreなものの、製品そのものは2 Tileで288coreという構成になっていることが初公開された(Photo13)。実際プロトタイプ(Photo14)はかなり大きなCompute Tile×2+細長いI/O Tile×2から構成されているのが判る。ダイそのものは正方形に近い感じだ(Photo15)。またClearwater ForestがIntel 18Aを採用することも同時に発表された。

  • Photo11: 第4四半期中に出荷予定、という話だったので公約は守れた格好に。

  • Photo12: 300mmウェハでラフに数えると13個×12.5個といったところで、ダイサイズは23.1mm×24mmの554.4平方mmほど。

  • Photo13: 現在のEagle Stream(LGA4677)と比較すると、Birch Streamは二回りほども大きくなる(LGA7529)らしい。

  • Photo14: そして予想通りHyper ThreadingがEnableになっているので、仮想コア数は576個に。

  • Photo15: 偏りを持つ形で配されているのもちょっと印象的。いろいろ想定を変更する必要がありそう。

プロセス周りでは、現時点ではIntel 18Aの先の話はまだ未公開なまま(Photo16)だが、そのIntel 18AはすでにPDK 0.9が出ていることが公開された(Photo17,18)。また、昨日発表になったGrass Interposer(Photo19)だけでなくUCIeのテストチップ(Photo20,21)も紹介された。

  • Photo16: Intel 18Aの後にまだ3世代が現時点で想定されていることを伺わせるスライド。

  • Photo17: High NA EUVはまずIntel 18Aがテストベッドになり、量産に使われるのはIntel 18Aの次の世代になるとされる。

  • Photo18: そのIntel 18Aを利用したテストウェハ。おそらくはまだ単なるテストチップと思われる。

  • Photo19: 詳細はこちらの別記事で説明しているので、ここでは説明を割愛する。

  • Photo20: Pike Creekの構成。あくまで相互接続性の検証のためのもの。

  • Photo21: 大きい方のチップがPike Creek。

最後に量子コンピュータの分野では、新たにTunnel Fallsというチップを試作(Photo22,23)したほか、Quantum SDKの提供もアナウンスした。

  • Photo22: 12 qubit device。通常の300mm Waferで製造される。

  • Photo23: これがTunnel Fallsのウェハ。

  • Photo24: 対象はすでにTunnel Falls以外にすでに提供しているLoihi 2も含まれる模様。

ということで、まずは通り一遍ご紹介した。Meteor Lakeその他の詳細は引き続き別記事でご紹介してゆきたい。