前編に続き、栃木県宇都宮市の路面電車「宇都宮ライトレール」(愛称はライトライン)をフルサイズミラーレスと望遠ズームレンズを使って撮影してみました。撮影する場所だけでなく時間も重要なポイントだと改めて認識しました。
今回の機材は、ソニー「α7C II」(ILCE-7CM2)にタムロン「17-50mm F/4 Di III VXD(A068)」、「タムロン35-150mm F/2-2.8 Di III VXD(A058)」、「タムロン50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD(A067)」を使用しました。他の鉄道同様、望遠レンズはマストと述べてよいでしょう。今回の撮影で主だった設定として、AFはコンティニュアス(AF-C)、記録フォーマットはRAWとしています。撮影では、できるだけ速いシャッターを切るため、感度は上げて撮ることが多かったです。なお、ライトラインは方向幕や前照灯などにLEDを使用しているため、速いシャッターを切ると発光が途切れたり暗くなるいことがあるのですが、リフレッシュレートが不明なためあまり深く考えずに撮影しました。
3:清陵高校前駅←→ゆいの杜西駅
この区間は、専用軌道区間で工場地帯を走行します。清原地区市民センター前駅には、トイレとちょっとした待合室があります。
天候の回復を待って、清陵高校前駅と清原地区市民センター前駅の間にあるS字カーブへ。ここもガードパイプがちょっと邪魔で、アングルや車両の位置に工夫が必要です。クルマで移動できるのであれば、脚立を使って高さを稼ぐのもありそう。清原地区市民センター前駅近くの交差点では、グリーンスタジアム前駅を目指すライトラインや、反対にこちらに向かってくるライトラインの姿を写すことができました。やはり、ここも長玉を使用するのがよさそうです。ただ、道路側にガードパイプやガードレールがないので、撮影の自由度は大きいように思えました。
4:ゆいの杜西駅←→芳賀台駅
この区間は併用軌道区間で、ロードサイドには飲食店やホームセンター、自動車販売店などが並ぶ地方都市らしい風景。ファミレスやカフェも点在しており、ランチや休憩ができます。
5:芳賀台駅←→芳賀・高根沢工業団地駅(終点)
この区間は併用軌道区間で、再び工場地帯の中を走行。芳賀町工業団地管理センター前駅と、かしの森公園前駅の間には、最大60‰の坂があります。芳賀町工業団地管理センターとかしの森公園にはトイレもあります。
ライトラインの撮影ポイントの目玉といえば、芳賀台駅と芳賀・高根沢工業団地駅の間にある60‰(パーミル)の坂。谷を越すところがあるのですが、その谷を中心にV字型となった坂が急勾配なのです。ちなみに60‰とは、1,000m(1km)進んで60m上る、あるいは下る傾斜であることを示します。鉄のレールの上を鉄の動輪で走行する一般な鉄道としては、かなりの急勾配となります。そんな坂道を下り、そして登るライトラインは、望遠レンズの圧縮効果をうまく活かせば絵になると思います。
問題は、軌道の両脇をクルマが行き交うため、そのクルマがライトラインにカブってしまう可能性があること。少しでもいい結果を得るには、ちょっと粘る必要がありそうです。
終点の芳賀・高根沢工業団地駅まで再び足を運んだあとにUターン。太陽はかなり傾いていましたが、ゆいの杜西駅などで撮影しながら宇都宮駅東口駅に戻りました。最後に、同駅周辺でブルーアワーのなかのライトラインにカメラを向け、撮影は終了。
今回は、撮影ポイントなどの情報を事前にチェックせずに撮影に臨みましたが、それでもなんとか絵になりそうなところをいくつか見つけ、写真に収めることができました。ライトラインは、路線が適度に短いうえに便数も多いので、初見でなおかつ電車移動でも十分撮影が楽しめるように思えます。トイレや食事にも困ることもほとんどないので、家族で撮影に出かけてみるのもありかもしれません。
撮影ポイントが未開拓なところも多いので、いつか見たあの風景ではなく、まったく新しい自分だけでの視点で写真を撮る楽しさもあります。これらからの季節、北関東は冷たい北風が吹くようになりますが、それにめげず、ライトラインにカメラを向けてみるのはいかがでしょうか。できることなら望遠レンズ、超望遠レンズも携えることをオススメします。