京都の日本庭園で開かれている紅葉ライトアップイベントに、これまでのガソリン発電機に代えて、EcoFlowのポータブル電源が初めて用いられています。日中にソーラーパネルで発電した再生可能エネルギーを用いることで、CO2を大幅に削減。ガソリン発電機につきものの騒音と排気ガスもなく、来訪者は静かで落ち着いた環境で美しい紅葉を心ゆくまで楽しめるようになりました。
“逆さ紅葉”が圧巻、梅小路公園の日本庭園「朱雀の庭」
EcoFlowとコラボレーションしたライトアップを11月10日から開始したのが、京都市にある梅小路公園の日本庭園「朱雀の庭」で始まった「梅小路公園紅葉まつり」。庭園を囲うように約150本ものモミジが植えられており、見渡す限りライトアップされた紅葉、という非日常的な体験ができます。
なかでも見どころといえるのが、庭園中央の池に映り込んだ“逆さ紅葉”。風の少ない状況ならば水面が鏡のようになり、ライトアップされたモミジが水面にきれいに写り込んで幻想的な表情を見せます。
夏の祇園祭に続き、紅葉のライトアップにもポータブル電源を採用
このような絶景が楽しめる朱雀の庭のライトアップですが、これまでは消費電力の大きなハロゲンランプを庭園全体に配置し、それらを点灯させる大きな電力を確保するためにガソリンを動力とする大きな発電機を用いていました。しかし、庭園を管理する京都市都市緑化協会の伊藤信太郎さんは「環境保全の観点もあり、照明をハロゲンからLEDに切り替えたいと考えていました。合わせて、駆動時に大きな騒音と排気ガスを発する発電機の利用もやめたいと思っていました。騒音や排気ガスが気になっては、素晴らしい景色も快適に堪能できませんから」と語ります。
京都らしく環境に配慮したお祭りにしたいという考えを、京都市内で環境保全活動を推進している京都市環境保全活動推進協会の井上和彦さんに伝えたところ、提案されたのがポータブル電源とソーラーパネルの活用でした。
京都市では、2023年夏に行われた京都の祇園祭で、山鉾の提灯を点灯させる電力にEcoFlowのポータブル電源を用いたことがあり、その取り組みを進めた担当者が井上さんだったのです。祇園祭でポータブル電源の活用に成功したEcoFlow側から、秋から冬にかけても何かポータブル電源の活用で京都市に協力したい…という申し出がなされていたこともあり、紅葉のライトアップの電源確保に使えるぞと話がスイスイ進んでいったそうです。
4つ残したハロゲンライトの駆動にポータブル電源を活用
これまで、庭園全体に30基以上のハロゲンライトを配置していましたが、それを50基ほどのLEDライトに変更。トータルの消費電力が大幅に抑えられたことでガソリン発電機が不要になり、これらのLEDライトの電力は公園内の配電盤から供給できるようになりました。発熱の少ないLEDに置き換えたことで、より木や葉の近くから照らせるようになったのもハロゲンライトにはなかったメリットだといいます。
ただ、LEDライトだけでは園内奥に位置する大きなモミジの木々の明るさが足りず、鮮やかさに欠けることから、この部分は消費電力500Wのハロゲンランプを4灯だけ用意して照らすように変更。このハロゲンランプの電力供給に、ポータブル電源を利用することになりました。
用いたポータブル電源は2台の「DELTA Pro」(1台あたりの容量は3,600Wh)で、それぞれに拡張用のエクストラバッテリー(1台あたりの容量は3,600Wh)を1台ずつ接続し、合計14,400Whの電力を確保。4台のハロゲンランプを5時間点灯できる電力(10,000Wh)を余裕で確保しています。
ポータブル電源の電力は、日中に400Wのソーラーパネルを接続して充電する仕組みも取り入れました。ただ、ソーラーパネルで生み出された電力だけですべてを充電するのは不可能なので、コンセントからの電力も併用しながら、最大限ソーラーのクリーン電力を用いるようにして充電を完了させるようにしています。
ポータブル電源は、キャンプなどのアウトドアレジャーを快適にするツール、停電など災害時の不安を軽減するツールとして認知度が高まっています。そのようななか、京都市が祇園祭や紅葉ライトアップにポータブル電源を積極的に活用しているのが印象的でした。古都京都が先陣を切った意欲的な取り組みが日本各地に広がり、環境保護に対する意識が広い世代に浸透するといいなと感じます。