公益財団法人公益推進協会 アディーレ未来創造基金は、奨学金を返済中の男女を対象に実施した「奨学金に関する実態調査」の結果を公開した。その結果によると、奨学金返済者の3人に1人が何らかの「夢」をあきらめていることが明らかとなったという。ネットでは「奨学金という名の学生ローン」「借金とあんま変わらんもん」などと話題だ。
本調査は、2023年8月21日から8月24日かけて実施されたもので、奨学金を返済中の全国の20代から30代男女1,000人を対象に、奨学金に関連する内容の質問をおこなった。
結果、「奨学金の支払いがあることで夢をあきらめたことがありますか」と質問したところ、15.1%が「あてはまる」、18.2%が「ややあてはまる」と回答し、合計すると3人に1人に相当する33.3%が、奨学金によって何らかの夢をあきらめていることが分かった。結婚や出産に前向きになれなかったり、資格取得や転職などへの一歩の踏み出しに躊躇してしまったりしているようだ。
また、「あなたは金銭的な余裕があれば(もっと)夢が持てると思いますか」という質問では、44.9%が「あてはまる」、32.9%が「ややあてはまる」と、合計77.8%が、お金があれば(もっと)夢を持てると回答。奨学金の返済という負担が、若者の夢に影響を与えている実態が浮き彫りになったとされている。
さらに、「当初(奨学金制度を申し込んだ時)の想定以上に奨学金の返済が重荷になっていると感じますか」と聞いたところ、43.8%が「あてはまる」、36.2%が「ややあてはまる」と合計80%が、奨学金の返済を重荷に感じていると回答しており、若者の就学支援のための奨学金が、返済時には想定以上の重荷となり、苦しむ人が多い実態も判明した。加えて、奨学金利用を後悔している人は51.1%にのぼったほか、奨学金の返済によって現在の生活が苦しいと感じる人が66.5%を占めるなど、生活に直接影響が出ていることもわかった。
同調査では、奨学金制度の利用実態も調査。全国の20代から30代の男女8,108人を対象に「学生時代に奨学金制度を利用していましたか」と質問している。31.9%が「あてはまる」と回答しており、おおよそ3人に1人が奨学金制度を利用していることになる。
また、奨学金制度の利用に「あてはまる」と回答した2,585人のうち、利用していた奨学金制度で最も多かったのは、返済の義務が生じる貸与型奨学金で86%を占めたそうだ。奨学金の利用用途として、最も多かった回答は「授業料」で60.3%だった。次いで「生活費」が32.0%、「教材費」が26.5%と続いた。
さらに、現在の返済状況を聞いたところ、給付型・貸与型含めた奨学金利用者の51.5%は、現在も奨学金返済の義務を有していることが判明。現在奨学金返済を行っている人の借入総額で最も多いのは、「200万円から300万円未満」で28.6%、次いで「100万円から200万円未満」が19.2%、「300万円から400万円未満」が17.8%だった。返済残高は「100万円から200万未満」が28%と最も多く、200万円以上残っている人は24.0%にのぼったそうだ。
ネット上では「前に職場にいた人が30歳過ぎてもまだ奨学金の返済をしてるって言ってや」「結局借金とあんま変わらんもんな」「給料は少ない、税金は多い、奨学金(借金)は返さないといけない。そりゃあねえ」「夢の為にその学校行ったんちゃうんか…」「奨学金という名の学生ローン」「給与から返済と家賃差し引くと、あとは食費と光熱費だけ」などの声が寄せられた。