シャープは10月24日、家庭用プラズマクラスターエアコンの新型となる「X」シリーズを発表した。適用畳数に応じて9モデルを用意し、11月30日から発売する。いずれもWi-Fi機能を搭載したAIoTエアコンだ。
価格はオープン、推定市場価格および冷暖房の目安(畳数)は以下の通り。
- 形名(暖房・冷房):推定市場価格
- AY-S80X2 (21~26・22~33):440,000円前後
- AY-S71X2(19~23・20~30):420,000円前後
- AY-S63X2(16~20・17~26):400,000円前後
- AY-S56X2(15~18・15~23):380,000円前後
- AY-S40X2(11~14・11~17):350,000円前後
- AY-S36X(9~12・10~15):340,000円前後
- AY-S28X(8~10・8~12):330,000円前後
- AY-S25X(6~8・7~10):320,000円前後
- AY-S22X(6~7・6~9):310,000円前後
室内機にCO2(二酸化炭素)センサーを内蔵し、例えば暖房の場合、CO2濃度が低い(人間が少なかったり活動量が少なかったりする)ときはパワーを強める。逆にCO2が高い場合は、人間やその活動量が大きいと判断してパワーを弱める。設定温度と比較して室内温度が上下にぶれることもあるが、快適性を損なわない範囲でパワーを調整するとのこと。シャープの検証によると、この「自動エコ運転」機能によって、最大約23%の節電効果が見込めるとしている。
合わせて、気象予報を取得して先回り運転する「つないでもっと節電(日中AI制御)」機能を搭載。気象予報、蓄積したデータ、AI制御によって、天気に応じた省エネ運転を行って積算の消費電力を抑える。
晴天の日に冷房を使っていて、これから曇りや雨になるという予報を入手すると、事前に冷房を弱めるといった運転だ。つないでもっと節電では約14%の省エネ効果を見込む。また、起床時や帰宅時にエアコンの電源を入れるとき(もっとも電力を消費する運転開始時)、立ち上がりを緩やかにして消費電力の低減を図る。
エアコンを選ぶときに注目度が高まっている清潔機能も豊富。まず室内機のフィルターを自動的に掃除する機能では、フィルターの両面にブラシを配置して、フィルターの表と裏をきれいにする。
ブラシによって取り除かれたホコリは室内機のダストボックスへと溜まり、SIAA防カビ加工のダストボックスには約10年分に相当するフィルターのホコリを溜められるという。ダストボックスのほか、送風路や水の通り道(ドレンパン)にも、SIAAマークを取得した防カビ加工を施している。
もうひとつは、シャープのプラズマクラスター技術。抗カビや抗菌、臭いを抑制する効果があるとされるイオン物質のプラズマクラスターを、室内機の内部で発生させる。冷暖房の運転を停止したあと、プラズマクラスターによる内部清浄運転を行うことによって、室内機の清潔性を高める(1時間当たりの電気代は約0.3円)。また、部屋の中にもプラズマクラスターを放出する送風モードもある。こちらの電気代は1時間当たり約0.6円。
新しいプラットフォーム「ソーラー家電連携」に対応した第1号
大きなトピックとして、新たに「ソーラー家電連携」という仕組みをローンチ。今回のXシリーズは、ソーラー家電連携に対応した最初の家電製品となる。ソーラー家電連携は、ソーラー発電を導入している環境向けのプラットフォームだ(ソーラー発電+蓄電池の場合も含む)。
現在、電力会社から買う電気は高騰している反面、ソーラー発電した電気を電力会社へ売るときの価格は下落している。よって、売るよりも自家消費することでトータルの電気代を節約しようというニーズが高まってきた。ソーラー家電連携は、このニーズに応えるものだ。
ポイントは、AIによって翌日の余剰電力を予測すること。ここでいう余剰電力とは文字通り、晴天の日中などソーラー発電が効率的に稼働して、使い切れず余った電力。自宅のエネルギー状況を生活パターンや発電実績をもとに学習して、シャープのクラウド「COCORO ENERGY」が気象予報と合わせて分析する。
それをベースに、曇りや雨で余剰電力が少ないときや、ソーラー発電のない夜間は弱めのエアコン運転で電気を節約。ソーラー発電のある日中は強めの運転を行う。もちろん設定温度から若干の上下で快適性を損なわない程度の強弱だ。
夏の冷房の場合、日中に強めの運転をしていると、部屋が冷えている予冷効果によって日が落ちたあとも省パワー運転が可能となり、そのぶん消費電力が減る(電力会社から買う電気が減る、つまり電気代の節約になる)。冬の暖房も同様だ。
シャープでは、Xシリーズのエアコンとソーラー家電連携によって年間で約4,000円の電気代を削減できると試算している。売電による収入は減るが、省エネ効果はそれを上回る計算だ。
ソーラー家電連携は、他社の家電との連携も想定している。詳細は省くが、ECHONET LiteやWeb APIといった、他社のクラウドおよび家電と相互に通信できるインタフェースに対応している。ほかにも似たような仕組みはあり、どのプラットフォームを選ぶかは各社しだいとはいえ、連携の道が用意されていること自体は期待できるところだ。