シャープは10月5日、人気の自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」シリーズの別売りアクセサリー「もっとクック TJ-U2A」(以下、もっとクック)を発表しました。発売は10月26日、価格はオープン、推定市場価格は9,900円前後です。

ホットクックシリーズは、もともと2本の棒で鍋の中を自動でかき混ぜられる「まぜ技ユニット」を標準装備していますが、新しいもっとクックは棒ではなく2本の「ヘラ」を使って自動かき混ぜを行います。棒からヘラに形状が変わることで、「飴色タマネギ」をはじめとした、いままでできなかった自動調理が可能に。プレス向け発表会にて、もっとクックならではの料理を体験してきました。

  • もっとクックは、2.4Lタイプで無線機能を搭載したホットクックでのみ使えます

いままでのホットクックではできなかった5つの調理が可能に!

2015年に登場したシャープのホットクックといえば、業界で初めて「自動かき混ぜ」機能を搭載した自動調理鍋。最近でこそパナソニックのビストロシリーズなどもかき混ぜ機能を搭載してきましたが、長い間「かき混ぜできる自動調理鍋」はホットクックだけでした。ホットクックのまぜ技ユニットは2本の棒形状なので、「菜箸で鍋の中をかき混ぜて」調理するイメージです。

  • ホットクックのフタにまぜ技ユニットをセットしたところ。もちろん取り外しも可能です

箸で混ぜる調理には限界もあります。たとえば、みじん切り野菜などの細かな材料は、箸ではうまくひっかからずかき混ぜが難しいのです。そこで登場したのが、今回の「もっとクック」アタッチメント(別売です)。先端がシリコンの柔らかい「ヘラ」形状になっていて、このヘラが内鍋の底全体をさらうように食材をかき混ぜてくれます。

  • 新アクセサリー「もっとクック」。先端は柔らかなシリコン形状。細かな食材までしっかり混ぜてくれます

  • 使わないときはアームを閉じてコンパクトに。本体サイズはアームを開いた状態で幅175×奥行き158×高さ160mm、重さは約400g

  • シリコンのヘラ部分は着脱式。洗いやすい構造です

もっとクックによって、以下のような5つのメニューが実現可能になりました。

  • とろみのある食材のかき混ぜ(くず餅など)
  • 高速回転を利用した泡立て(メレンゲなど)
  • 素材の味を凝縮するような調理(飴色タマネギなど)
  • 細かくきざんだ食材のかき混ぜ(キーマカレーなど)
  • 少量調理(一人分のナポリタンなど)

「とろみのある食材のかき混ぜ」なら、ゴマ豆腐やくず餅といった調理です。ゴマ豆腐は練りゴマを片栗粉やくず粉などのデンプンで固める日本料理。徐々に粘り気が出てくるデンプンを常にかき混ぜながら加熱する必要があるために、力も根気も必要です。もっとクックを取り付ければ、メニューを選ぶだけで面倒な作業がすべて自動で終わります。よくいわれる「ほったらかし」です。

  • 従来のまぜ技ユニットで作ったゴマ豆腐(写真左)と、もっとクックで作ったゴマ豆腐(写真右)。従来のユニットでは、鍋中央に混ざり切らなかった粉のダマがたくさん。もっとクックで作った豆腐は、全体が中心までしっかり混ざっています

  • 試食したゴマ豆腐。どこを切っても滑らかで口の中でとろける美味しさ

  • ホットクック本体の操作で「もっとクック」を登録すると、もっとクックを使った専用メニュー(レシピ)が表示されるようになります。ゴマ豆腐もそのひとつです

このほか、もっとクックを高速回転させることで卵白を泡立ててメレンゲも作れます。加えて、これまでのホットクックでは無理だった一人前のナポリタンパスタや少量のごぼうのキンピラといった少量調理もできるようになりました。

これを待っていた! 自動で飴色タマネギ

シャープによると、ホットクックを使って作る料理で不動の人気メニューは断トツで「カレー」。そして、カレーといえば「飴色タマネギ」で味に深みとコクを出したいという人も多いでしょう。

飴色タマネギとは、たまねぎを油で長時間じっくり炒めたもの。炒めている間は焦げないよう、1~2時間かき混ぜ続けないといけません。自宅で作るには、労力や時間的にハードルの高い料理です。

これまでのホットクックには、残念ながらこの飴色タマネギを作るメニューはありませんでした。ホットクックユーザーの中には、手動の「炒め(まぜあり)」メニューでたまねぎを炒め、途中で様子を見ながらヘラを使って自分の手でかき混ぜたり、煮詰める機能を併用したりという工夫で飴色タマネギを作る人も。今回のもっとクックアタッチメントを使えば、メニューを選ぶだけで自動で飴色タマネギを完成してくれます。

  • もっとクック用のメニューで作った飴色タマネギ。たまねぎ400gを、塩とサラダ油で約1時間25分、炒めています。カレーだけでなく、オニオンスープやハンバーグなどなど、いろいろな料理に活躍しそうですね

カレーについても、ホットクックの自動メニューに登録されているのはルーを使った比較的家庭的なカレーレシピでした。しかし、もっとクックなら基本の調理も自動化することで、より凝ったカレーも作れます。

もっとクック専用メニューには、南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏が監修した「クラシック欧風ビーフカレー」「インド宮廷風キーマカレー」「チキンコルマカレー」「ハイデラバード風ビーフカレー」をはじめとする6メニューを用意。現在、もっとクック専用メニューは全部で28メニューありますが、今後さらに増える予定です。

  • 南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏

  • ホットクックの本体で選べるもっとクック専用メニュー(一部)

今回、メディア向けの発表会で解説してくれた稲田氏いわく、「スパイスを使った料理は意外と難しい」とのこと。ひき肉を使うキーマカレーなどは割と簡単かも? 思われがちですが、稲田氏は「ルーを使わずスパイスだけでキーマカレーを家庭で作ると、スパイスの味を引き出しきれずに味がぼんやりとしがち」といいます。とはいえ、スパイシーに仕上げようとスパイスの量を増やすと、今度は雑味が出て美味しくありません。

ホットクック+もっとクックなら、規定の温度で規定の時間、規定の混ぜ方で基本に忠実な調理をしてくれるので、難しい「スパイスのテンパリング(スパイスを油で炒めてスパイス本来の香りを引き出すこと)」も失敗なくこなしてくれます。スパイスだけでバシッと味の決まったカレーができるそうです。なお、厳密には本来の「テンパリング」とは違うものですが、最終的な味は遜色ないとのことでした。

  • もっとクックメニューでキーマカレーを作成。飴色タマネギにスパイスをいれて約15分テンパリングしたところ。この後、ひき肉とトマトピューレを加えて煮込めば完成です

本格カレーにゴマ豆腐、プロの味が気軽に作れるアタッチメント

体験会では、もっとクックを使って調理したインド宮廷風キーマカレーとチキンコルマカレー、ゴマ豆腐などを試食。なんといっても美味しかったのは2種類のカレーです。キーマカレーはスパイスの鮮烈な刺激と爽やかさがクセになる、まさにお店で食べる大人のキーマカレー。

一方のチキンコルマカレーは、スパイシーなのにベースには濃厚でクリーミーなまろやかさがあります。同じ「カレー」でもまったく異なるスパイシーさが味わえました。

「家庭で作る市販ルーを使わないキーマカレーは、できたては味にまとまりがなくなりがちです。一日寝かせると美味しくなることも多いと思います。ホットクック+もっとクックで作るキーマカレーは、できたてでも美味しく召し上がれますよ」(稲田氏)

  • もっとクックで作った料理を試食するマイナビニュース +Digitalの林編集長。写真奥左がチキンコルマカレー、右がキーマカレー

  • 今回、筆者が衝撃を受けた「葱油ソース」をかけたサラダチキン。茶色くなるまで時間をかけて炒めた葱(ねぎ)と油、オイスターソースで作るソースですが、とにかく濃厚で美味しく、肉にも野菜にも麺にも合いそう! これは絶対に自宅でも作ります

ホットクックが最初から持っていたまぜ技ユニットは、普段の調理を優しくサポートしてくれる日常の相棒という印象がありました。新しいもっとクックは、手間と時間を必要としていた工程を自動化できるため、「料理は好きだけど時間をかけられない」「自宅でお店レベルの料理を食べたい」という人にとって魅力的なアタッチメントです。