2023年10月11日、韓国にて開催されているPCオンラインゲーム『League of Legends』(以下、LoL)の世界大会「League of Legends World Championship」(以下、Worlds)にて、日本チーム「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)のプレイインステージでの初戦が行われました。
初戦の相手は、PCS(パシフィック)に属するチャイニーズタイペイチーム「CTBC Flying Oyster」(以下、CFO)。「PCS Summer 2023」にて2位を獲得し、「Worlds」への出場権を手にしたチームです。
試合はBo3で行われ、「DFM」は0-2で敗北。これにより「DFM」は、負ければ大会敗退となるロワーブラケットへ移ることになりました。記事では、初戦の模様と、試合後の「DFM」apaMEN選手への単独インタビューの内容をお届けします。
「DFM」は主導権を握ることができず、0-2での敗北へ
今回の「Worlds」において、「DFM」は2パターンのロスターが予想され、どちらの体制で出場するのかに注目が集まっていました。1つは、Milan選手がADC、Yutapon選手がトップを担う、LJLファイナルを戦った体制。もう1つは、新たに加入が発表されたapaMEN選手をトップに置き、Yutapon選手がADCに戻る体制です。「CFO」との初戦では、後者のapaMEN選手を含むロスターでの出場が明らかになりました。
1ゲーム目では、「DFM」がリフトヘラルド周辺での最初の集団戦で勝利し、試合の流れをつかむ立ち上がりを見せました。しかし、2つ目のドラゴンを巡る戦いで、「DFM」はドラゴンを獲得し切れず、「CFO」に奪われてしまいます。その後も、「DFM」は「CFO」のドラゴン獲得を阻止することができず、エルダードラゴンをかけた攻防でも敗北。これにより、試合時間33分で「CFO」がゲーム1を制しました。
続く2ゲーム目では、「CFO」のShiauC選手がブリッツクランクをピック。これが「DFM」にとって大きな脅威となりました。中盤以降、「DFM」は視界コントロールで相手に有利を取られていたことも相まって、ブリッツクランクの驚異的な精度のグラブに続々と捕まってしまいます。これによって「DFM」は狙いたい動きを封じられる状況が続き、「CFO」が試合時間27分でゲーム2の勝利を収めました。
初戦を終えた「DFM」apaMEN選手にインタビュー
初戦を終えた直後、「DFM」apaMEN選手への単独インタビューを行いました。apaMEN選手は、2年ぶりの現役復帰であるだけでなく、今回が世界大会初出場であり、かつ現在31歳と「Worlds」出場選手のなかで最年長であることからも注目を集めています。
インタビューでは、「CFO」との試合を終えての感想や、今回の「DFM」のロスターが決まった経緯、そして2年ぶりに大会に出場したapaMEN選手自身の手応えなどについて聞きました。
――まずは、本日の初戦を終えての感想を教えてください。
apaMEN選手(以下、apaMEN):試合では練習のときと雰囲気が全然違っていて、僕自身2年ぶりの出場ということもあり、後手後手になってしまった印象です。
――大会本番ならではの緊張感が大きかったのでしょうか?
apaMEN:そうですね。それに、練習では味方も相手も積極的に戦うことが多いのですが、試合だとオブジェクトまわりの戦闘が主になって、それ以外の戦いがあまり起きません。そのあたりで、「DFM」としてはペースに乗れなかったのかなと思います。
――今回「DFM」は、どの体制で出場するのかが、大きく注目されていました。apaMEN選手を含むロスターに決定するまで、どのような話し合いがありましたか?
apaMEN:僕が「DFM」に呼ばれたときから、既存のメンバーとMilanくんと僕を合わせた6人で、どのメンバーで戦うのが一番良いのかを模索していました。僕が入ったり、Milanくんが入ったりしながら練習を重ねていって、最終的に僕が出ることに決まりました。
――LJLファイナルが終わってから、2つの体制を試しつつ、最終的に判断されたということでしょうか?
apaMEN:いえ、LJLファイナルが終わってからは、基本的に僕が入る形で練習していました。
――apaMEN選手は2年ぶりに復帰されて、さらにいきなり世界大会に出場する難しさもあったかと思います。ご自身のプレイの手応えについては、いかがでしたか?
apaMEN:今回は「Worlds」で、僕が2年前までプロとして戦っていたときよりも対戦相手がかなり強いので、もともとできていたプレイができない部分もあります。そういう面で、すごく難しさを感じました。
――apaMEN選手は「Worlds」に出場する最年長選手であることが、SNSなどでも話題になっています。ご自身では、年齢に注目されることについてどう感じますか?
apaMEN:ずっと現役でプレイし続けていて取り上げられるのは、誇らしいことだと思いますが、いきなり2年ぶりに出たのにフィーチャーされて、逆に「いいのかな?」という感じですね。
――eスポーツの世界では、反応速度などの面から若い選手が有利だとされることが多いですが、『LoL』というゲームにおいてはどう感じますか?
apaMEN:僕は今まで国内でしか戦ったことがなかったので、年齢の高さがデメリットになるのか、あまり考えたことはありませんでした。ただ、本当に高いレベルでの戦いのなかでは、影響するところもあるのかなと、今回「Worlds」に出て感じました。
――初戦の相手「CFO」に対しては、事前にどのように戦っていこうとチームで話されていましたか?
apaMEN:「CFO」はボットが強いチームなので、こちらもミッドとボットで戦っていって、普通にやれば勝てるんじゃないかと話していました。ただ、いざ試合をしてみると、普通にはできなかったという感じです。
――相手の強さよりも、自分たちの戦いができなかったという印象の方が大きいですか?
apaMEN:そういうイメージですね。やはりいつものような戦いを起こせなかったことが、一番苦しかったところだと思います。
――今回apaMEN選手は、2ゲームともにエイトロックスをピックしていました。これは得意チャンピオンをぶつける意図があったのでしょうか?
apaMEN:そうですね。ランブル相手に出せるチャンピオンは、結構限られています。何をピックしても有利を取るのがなかなか難しいので、なおさら得意チャンピオンを出した方がいいだろうという考えでした。
――初戦を踏まえて改善したいことや、次の試合に向けた意気込みを教えてください。
apaMEN:チームとして練習でできていたことを試合でもできるように、次の試合に向けて、みんなで話し合って改善していきたいと思います。
――それでは最後に、応援しているファンの方々へのメッセージをお願いします。
apaMEN:僕のことを応援してくださる方だけでなく、今回「DFM」に加入したことで、「DFM」のファンの方もたくさん応援してくださっていると思います。今日の試合は上手くいきませんでしたが、次の試合は「DFM」で一丸となって勝てるようにがんばりますので、応援よろしくお願いします。
「DFM」の次戦は13日(金)、「Team BDS」との対戦へ
初戦で敗北した「DFM」は、負ければ大会敗退となるロワーブラケットに移ります。同日に行われたグループBの試合で、「Team Whales」に1-2で敗れた「Team BDS」がロワーブラケットへ移り、「DFM」の次の対戦相手は「Team BDS」に決定しました。
「Team BDS」は、LEC(ヨーロッパ)に属するチームで、「LEC Season Finals 2023」で4位を獲得。10月9日に行われた予選「Worlds Qualifying Series 2023」で勝利したことにより、本大会への出場権を手にしています。「DFM」と「Team BDS」の試合は、10月13日(金)19時ごろよりスタート予定です。