本連載の前回記事では、「連絡先」や「カレンダー」などのアプリのデータをiPhoneとMacで同期する方法をご紹介しました。ではワープロアプリなどのデータをiPhoneとMacで共有するには、どうすればいいでしょうか。その基本を、今回と次回の2回にわたって解説します。

データ共有のために、まずiPhoneの「ファイル」アプリを知っておこう

本連載のタイトルは「iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ」ですが、今回はiPhoneの話を中心に取り上げます。

本連載の第3回で述べたように、iPhoneを使っているときにデータがどこに保存されているか、どのように整理されているかを意識することはあまりありません。そのため、「ファイル」アプリを使う機会も少ないかもしれません。

しかしMacと組み合わせて使うなら、iPhoneのデータの保存場所と、その保存場所にアクセスできる「ファイル」アプリについて知っておくと、使いやすくなります。そこで今回は、iPhoneの「ファイル」アプリを使ってみましょう。

iCloud Driveを使う設定をする

本記事では「ファイル」アプリを使う前に、iCloud Driveを使う設定をします。iCloud Driveはインターネット上にある自分専用のデータの保存場所で、Apple IDでサインインしていれば無料ですぐに使い始めることができます。

「ファイル」アプリを使う上でiCloud Driveが必須というわけではありませんが、iCloud Driveを介してデータをMacと連係できるので、使える状態にしておくと便利です。

  • iPhoneで「設定」を開き、自分の名前の部分をタップします

  • 「iCloud」をタップします

  • 「iCloud Drive」がオンになっていればOKです。オフになっていたら、タップして次の画面で同期をオンにします

「ファイル」アプリを使ってみる

iCloud Driveを使えるようにしたので、このiPhoneでは自分のデータをiPhoneに内蔵の保存装置、またはiCloud Driveのいずれかに保存できる状態になりました。では「ファイル」アプリを開きます。

  • タップして開きます

  • 「ブラウズ」が選択されていなければ、タップして選択します

この次に表示される画面は、これまでに「ファイル」アプリを使ったことがあるかどうかなどによって異なります。

  • この画面では、いちばん上に「ブラウズ」と大きな文字で書かれています

上の図と同様の画面になっていない場合は、移動しましょう。

  • 左上に表示場所を移動するリンクがあります。この図では「<ブラウズ」となっていますが、ほかの場所が書かれているかもしれません。いずれにしても、この場所にあるリンクを何回かクリックすると、上の図と同様の画面になります

ではあらためて、上部に「ブラウズ」と書かれている画面から見ていきましょう。

  • 保存場所として「iCloud Drive」と「このiPhone内」を利用できます。「このiPhone内」をタップしてみます

「このiPhone内」に、すでにいくつかの項目が作られているかもしれません。アプリによっては自動でここにフォルダを作り、そのアプリのデータを保存するものがあるためです。

また、自分でここにフォルダを作って、iPhone内に保存したいデータを整理することもできます。フォルダを作ってみましょう。

  • 「…」をタップし、「新規フォルダ」をタップします

  • 新規フォルダが作られ、名前が選択された状態になっているので、フォルダの名前を入力します

  • 「PDF」という名前のフォルダにしました

この画面を見てわかる通り、すべてのアプリのデータが「ファイル」アプリに表示されるわけではありません。例えば「カレンダー」や「リマインダー」の項目はありません。「ファイル」アプリから見えるようになっているアプリのデータのみが表示されます。

上部に大きく「ブラウズ」と書かれている画面で「iCloud Drive」をタップしたときも同様です。自動で作られている項目もあれば、自分でiCloud Driveにデータを保存したりフォルダを作って整理したりすることもできます。そして、iCloud Driveにデータを保存すれば、同じApple IDでサインインしているMacから同じiCloud Driveにアクセスして、データを共有できるというわけです。

  • 上部に大きく「ブラウズ」と書かれている画面で「iCloud Drive」をタップすると、自分のiCloud Driveの中身を見たり、その中のデータを利用したりすることができます

多くのアプリで「ファイル」アプリと同様の表示が使われている

ここまでは「ファイル」アプリを見てきましたが、データを保存したり、保存されているデータを利用したりするときに「ファイル」アプリと同様の表示が使われているアプリはたくさんあります。例として、「Safari」でPDFを保存して後で読めるようにする操作を紹介します。

  • ウェブで公開されているPDFを「Safari」で表示しています。共有のアイコンをタップします

  • 「”ファイル”に保存」をタップします

  • 「ファイル」アプリと同様の表示になります。保存したい場所を選択します。例えば「このiPhone内」をタップし、次の画面で目的のフォルダをタップします

  • 必要に応じてファイル名をタップして変更します。その後、右上の「保存」をタップします

こうして保存したデータは、「ファイル」アプリで表示し、タップして中身を見たり開いたりすることができます。

【今回の余談】
今回の内容を踏まえて、次回は「Pages」のデータをiPhoneとMacで共有して書類を作成する方法をご紹介します。今回はiPhoneの話がメインでしたが、おつきあいくださってありがとうございました。
それでは次回も、よろしくお願いします。