少し前の話になるが、Microsoftは現地時間2023年7月13日、今後のWindows 11が備える機能を公式ブログで報告した。
最大の目玉はWindows Copilotだ(簡単に言うとAIアシスタント)。Microsoftは「設定調整やスクリーンショットの作成、Webページの要約などが可能。プラグインを使用すると複数アプリの検索や起動もできるので、作業ではなくアイデア実現に注力できる」と概要を述べている。筆者のメインPCは安定版Windows 11なので常用とまでいかないが、最新のAIエンジンを用いているBing Chatは活用する場面が増えた。加えて、Microsoft 365 Business Standard/Business Premium/E3/E5のサブスクリプションに法人向けのBing Chat Enterpriseが含まれているので、今後は利用機会も増えそうだ。
ここで少々気になるのは使用料金。Bing Chat Enterpriseの単独契約は月5ドルだが、Windows Copilotは無償で使えるのだろうか。当然ながらWindows Copilot(≒Bing Chat)とテナント内に閉じたBing Chat Enterpriseは単純には比較できない。フタを開けてみないと分からないが、個人/家族向けMicrosoft 365サブスクリプションの特典になる可能性もあるだろう。
セキュリティ面の強化も興味深い。Microsoftは、所在地などを確認するプライバシー情報をアプリに提供するか否かのすばやい設定や、VPN接続時のネットワークアイコン変更、5G対応Surface Pro 9のPluton実装をアピールした。この連載でも過去に何度か触れたMicrosoft Plutonは、Microsoftが設計したセキュリティプロセッサーである。筆者はARMベースのMicrosoft SQ 3を搭載したSurface Pro 9のみPluton搭載と認識しており、公式ドキュメントを読むとIntelプロセッサーのSurface Pro 9は対象外。この認識は正しいようだが、そろそろSurfaceの各モデルでPlutonをサポートしてほしい。
UI/UX面では、スタートメニューのセキュリティアラートとライブキャプション機能を取り上げた。前者は何らかの警告が発せられるとスタートボタンにバッジを表示し、利用者に操作をうながす機能と思われる。現在、Windows 11のセキュリティは「Windowsセキュリティ」のアイコンやダッシュボード、更新状態は「設定」、Microsoftアカウントは同設定ページで確認する必要があり、それらが1カ所で示されるのは有益だろう。
後者のライブキャプション機能は、Windows 11で視聴中の動画から音声を文字起こしする機能。Windows 11 Insider Previewはすでに日本語にも対応し、日本語のヘルプページも用意済み。ライブキャプション機能の有用性はユーザーによってだいぶ違うと思うが、話者の声を聞き取りにくいオンライン会議などでは便利そうだ。
企業のIT管理者向けとしては、Windows AutopatchとMicrosoft Surface Management Portalによるデバイス管理にも言及した。前者は、Microsoft 365 E3/E5ライセンスのWindows 11の自動更新をMicrosoftやシステム管理者が制御するもの。後者は、Microsoft IntuneベースでSurfaceデバイスの保障期間や監視機能、交換管理を行うポータルサイト。筆者はいずれも使用していないが、企業内で数百台のSurfaceデバイスを管理する担当者には有益だろう。
こうした一連の機能は、おそらくWindows 11 バージョン23H2に搭載される。おおかたの予想どおり大胆な変更は加えず、使い勝手の向上を目指した内容だ。米国時間2023年10月10日には、Windows 11 Home/Pro/Pro for Workstations/Pro Educationのバージョン21H2がサポート終了を迎える。すぐバージョン23H2に更新するか否かは環境しだいだが、現在バージョン21H2を使用しているユーザーはバージョン22H2への更新をおすすめしたい。