Windows 11 バージョン 23H2のリリース時期が明らかになった。Microsoftの公式ブログによれば、2023年の第4四半期とのことだ。

Microsoftの一般会計年度は7月から始まるため現在はFY24なのだが、事業年度ではなく1年を4分割したものとするなら、2023年10月~12月となる。このあたりはMicrosoftのマーケティング部門が動き出せば明らかになるので、焦る必要はない。昨今の月例更新プログラムは時にトラブルを招くこともあるが、細やかな機能改善を重ねている様を見ていると2023年中のリリースは確実だろう。

他方でWindowsカーネルに大きな変化が訪れている。Windows 11 Insider Preview ビルド25905のリリースを知らせる公式ブログでは、WindowsカーネルにRustを取り込む旨を表明した。長らくコーディングをしていない筆者でも開発者に好まれる開発言語であることは知っていたが、詳しくはない。そこでBing Chatに聞いてみたのが以下の回答だ。

Rustとは、性能、メモリー安全性、安全な並行性を目指して設計されたマルチパラダイムのプログラミング言語だ。CやC++に代わるシステムプログラミング言語を目指しており、処理速度もCやC++に匹敵する。メモリーの「所有権」という概念を採用し、メモリーによる不具合や脆弱性を防ぐことができる。また、マルチスレッドを利用して並行処理を行うこともできる。
RustはWebアプリケーションやコマンドラインツール、APIサーバーなどの開発にも利用されている。Rustは2016年から2022年までStack Overflow Developer Surveyで「もっとも愛されているプログラミング言語」で一位を獲得し続けている。しかし、学習難易度が高い言語とも考えられており、初心者には挑戦的な言語かもしれない。

C++言語はともかく、C言語はメモリーの確保と解放が煩雑でCPUを直接制御するアセンブラーの知識も求められる。当時のパソコンでC言語プログラムを書くとき、何度malloc周りで苦しめられたか……。筆者がRustのコードを書くことは今後もなさそうだが、メモリーの所有権については興味をそそられる。

さてさてMicrosoftは以前からRustに注目してきた。Mark Russinovich氏のTwitterを見ると、最初は2022年9月時点でRustの可能性に言及し、2023年5月にはMicrosoft Azureセキュリティを進化させるための一要素としてRustの採用を表明。そして今回の実験的実装に至る。

  • Rustでコーディングした「win32kbase_rs.sys」

現在のWindowsカーネルは各プラットフォームで共通化され、バージョンこそ異なるがPCやXbox、Microsoft Azure(の仮想マシン)で用いられている。エンドユーザーが意識する必要はない部分だが、カーネルドライバーのRust化は変革に向けた大きな第一歩だ。また、公式ブログではWindowsの描画機能であるWindows GDIの新機能を実装する旨も表明し、今後のWindows 11を含むMicrosoft製品に良い意味で大きな影響を与えそうである。まずはC/C++ベースのWindowsカーネルを搭載したWindows 11 バージョン23H2の登場を静かに待とう。