ダイソンが国内オーディオ市場に初参入。ノイズキャンセリング(NC)機能と空気清浄機能を備えたヘッドホン「Dyson Zone」を5月23日から順次販売開始する。価格はオープンプライス。直販サイトや家電量販店などで展開するウルトラブルー/プルシアンブルーは直販12万1,000円。

  • Dyson Zone(ウルトラブルー/プルシアンブルー)を装着したところ

Dyson Zoneは、直営店のDyson Demoや直販ストア Dyson.co.jp、一部家電量販店の店舗やECサイトで順次取り扱う。さらに、直販限定モデルの「Dyson Zone Absolute」(プルシアンブルー/ブライトコッパー)も用意。ヘッドホン本体の仕様は共通だが、ケーブルや予備のフィルターなど同梱品が豊富になっており、直販価格は13万7,500円。

  • Dyson Zoneの直販限定モデル(プルシアンブルー/ブライトコッパー)もラインナップ

「都市の騒音と大気汚染という2つの課題に取り組むため設計された」という新製品で、ユーザーの耳と鼻、口を覆うユニークな形状のヘッドホン。ダイソンの約30年にわたる、気流やフィルター技術、モーター技術に関する専門知識と、室内外の空気質に関する“深い理解”から生まれたという。2022年3月に製品の詳細仕様を披露し、2023年から海外市場での販売を開始。今回、日本市場投入が正式に決まった。

ダイソンは5月23日にプレス向けの発表会「Dyson Japan 25th anniversary Press conference」を開催し、Dysonの創業者ジェームズ・ダイソン氏やチーフエンジニアのジェイク・ダイソン氏らが来日して登壇。コネクティビティなど拡大を続けるテクノロジーカンパニーの新製品群をアピールした。詳細は追って別記事にてレポートする。

  • デモ用のDyson Zoneがズラリ

  • Dyson Zoneの大型モックアップが、東京・原宿で期間限定開催するポップアップイベント「Dyson Launch Pad(ダイソンローンチパッド) -ダイソンの出発点」会場にお目見え

Dyson Zoneの主な特徴

音の歪みを極限まで抑える、特注の40mm径16Ωネオジウムドライバーユニットを搭載。低音、中音、高域の幅広い周波数帯域でクリアな音質を追求した。再生周波数帯域は6Hz〜21kHzで、イヤーカップにもこの数値を小さく記載している。

ノイズキャンセリング(NC)機能を備え、本体に搭載した11個のマイクのうち8個を使って集音し、1秒間に384,000回周囲の音をモニタリングして、周囲の騒音を最大38dBまで低減。残りの3基は、外音取込用のマイクが2基、ハンズフリー通話用が1基。

  • ヘッドホンに着脱式シールドを付けて装着した筆者

スピーカードライバー、電子装置、機械構造、素材、音響に至るまで、歪みを最小限にするために慎重に設計。ドライバーの出力は、毎秒48,000回の高度な信号処理によって均等化し、NCと組み合わせることで全周波数帯域にわたり、高周波の歪みを聞き取れないレベルまで中和するとしている(0.08%@94dB@1kHz)。

  • Dyson Zoneを手に持ったところ

Dyson Zoneのサウンドは、科学的な指標と幅広いユーザーのテストから、オーディオの全領域で最も明瞭で繊細な音質を目指したという。後述のスマートフォンアプリから独自のEQ(イコライザー)を設定でき、EQで周波数カーブを最適化することで「全帯域でクリアでピュアな音声」を追求している。

  • 左側のイヤーカップに空気清浄機能(後述)の風速を切り替えるボタン、右側にジョイスティック状の音楽再生関連ボタンを装備。音楽再生/一時停止/曲送り/曲戻し/音量調整の各操作が行える

装着性も高めており、さまざまな頭のサイズや形状でテストを行い、「すべての人に同じ没入感のあるサウンド」を追求。遮音性と快適性を両立させるため、従来のイヤークッションよりもあえて平たくし、耳の角度に合わせてクッションの角度をつけることで、最適な快適性を実現したという。

  • もっちりした触感のイヤーパッドとヘッドパッドを装備する

「MyDyson」アプリとBluetoothで連携し、各種操作が行える。アプリではユーザーが今いる場所の空気の質と、ヘッドホン本体のセンサーがモニターしたNO2濃度や騒音レベルを、リアルタイムでチェック可能。後述の空気清浄機能も操作でき、口元に送る風の速度を低・中・高・オートから選べる。

音質もカスタマイズでき、NCモードと外音取込モードを切り替えたりオフにしたり、EQでは高音域を鮮明にする「エンハンスド」、低音を強調する「ベースブースト」、フラットなレスポンスカーブの「ニュートラル」を切り替えたりできる。なお、EQにはユーザーが任意でカスタマイズできるモードはなく、今後の実装は未定とのこと。

短時間ながら実機をNCオン・ニュートラルEQで試聴したところ、左右に音が広がり、比較的広い音場でバランスの良いサウンドが楽しめる印象だった。NCオン/オフで若干音質が変化するが、基本的には常時オンで良さそうだ。

  • 「MyDyson」アプリのホーム画面で、周囲の空気質と騒音をリアルタイムでチェック

空気清浄機能については、各イヤーカップ内に装備したコンプレッサーと二層構造のフィルターが担う。0.1μサイズの粒子状汚染物質を99%捕捉するという静電フィルターと、空気中のガスを除去するという活性炭フィルターを通して空気を吸い込み、浄化した2つの気流を送出。口元と鼻の前に装着する非接触型シールド(マグネット着脱可能)を通して、着用者の鼻と口に流す。

  • 口元と鼻の前に装着する非接触型シールド。マグネットで着脱可能

前述のアプリで風速を変更すると、実際に口や鼻への風のあたりが強くなったり弱くなったりするのを実感できた。NCオンであれば、その際の騒音は特に気にならない(が、人によっては違和感を覚えるかもしれない)。

なお、二層構造のフィルターは交換可能で、担当者の説明によると単体で2,500円程度になる模様。直販限定モデルのDyson Zone Absoluteには交換用フィルターも同梱する。

  • イヤーカップ内のフィルターを通じて空気を清浄し口元に流すイメージ

  • ポップアップイベント会場の展示の一例。花粉やウイルスといった微細な粒子同士のサイズ感を視覚的に分かりやすくしている

内蔵リチウムイオンバッテリーで動作し、空気清浄(風速:低)と音楽再生を合わせて4時間利用できるという。風速中では2.5時間、風速高で1.5時間。音楽再生+NCオンのみでは最長50時間音楽を聴ける。重さはヘッドホン単体で595g、シールド着用時で670g。

  • シールド付きの状態で横から見たところ

  • 後部から見たところ

なお、ダイソンは日本法人設立25周年を記念したポップアップイベント「Dyson Launch Pad(ダイソンローンチパッド) -ダイソンの出発点」を、JR原宿駅にほど近い「原宿Jing」において、5月24〜28日の5日間限定で開催。Dyson Zoneを実際に試したり、購入したりできる。