天日干し派で洗濯機の乾燥機能を信用しない妻に向けて、毎日の洗濯物を最新のドラム式洗濯乾燥機で洗濯&乾燥してその性能と使い勝手をプレゼンするこの企画。2台目は日立グローバルライフソリューションズの「ビッグドラム BD-STX120H」です(1台目の『パナソニック「ななめドラム洗濯乾燥機」レビュー、ふわふわ乾燥に天日干し派の家族も納得』もぜひご覧ください)。
ビッグドラムシリーズが持つ特徴のひとつは、時速300kmの風で洗濯物にシワを付けずに乾かす「風アイロン」機能です。今回試したBD-STX120H(以下、STX120H)は、最新トレンドでもある液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能も搭載。さらにAIが気温や水温などさまざまな要素を検知して、自動で最適な洗濯乾燥設定を選ぶ「AIお洗濯」機能にも注目です。
STX120Hのもっとも大きな特徴といえるのは、一般的なドラム式洗濯乾燥機が搭載している乾燥フィルターをなくしたこと。通常、ドラム式洗濯乾燥機を使うときは、運転前に乾燥フィルターにから糸くずやホコリを取り除いておく必要があります。しかし、「乾燥フィルターレス」構造を採用したSTX120Hは、「乾燥ダクト自動おそうじ」、「洗濯槽自動おそうじ」、「ドアパッキン自動おそうじ」という3つの自動おそうじ機能がホコリや糸くずを洗い流し、「大容量糸くずフィルター」で捕集する仕組みとなっています。
一日に1回、約6キロの洗濯をするとして、約1カ月分のホコリや糸くずをためて一度に捨てられるため、毎日のホコリ取りの手間がないとのこと。そこで実際に数カ月間、STX120Hを日々の洗濯に使ってみました。
自動投入する洗剤とスマホアプリを初期設定
最初にやるのは洗剤を自動投入する設定。液体洗剤と液体柔軟剤のパッケージを見て容量の目安を確認し、STX120の操作パネル右上にある洗剤マークをタッチして洗剤の基準容量を決めます。これは洗剤のブランドを変えたときには毎回行う必要があります。
洗剤の設定が終わったところで、さっそくテスト洗濯を。電源ボタンを押して、洗濯槽に衣類を入れてドアを閉めて水栓を開けます。操作パネルには大きく「洗濯」、「洗濯 ▶乾燥(標準)」、「乾燥」のボタンが並んでおり、ここでは「洗濯 ▶乾燥(標準)」が選ばれていました。「スタート」ボタンを押すと、洗濯~乾燥の運転がスタートします。なお「洗濯 ▶乾燥(標準)」をタッチすると、されに細かい設定ができるようになっています。
スタートするとドラム層が回転し、自動的に洗濯物の容量を測定。洗剤を自動投入してくれます。あとは乾燥が終わるまで待つだけ。約3時間後、乾燥が終わったアラームが聞こえました。洗濯時・乾燥時ともに動作音はそれほど響かず、近くにいてもうるさくは感じません。
洗濯物を取り出して確認してみましたが、しっかり乾燥まで終わっていました。また、特に汚れ落ちなどが気になることもありません。
「洗濯 ▶乾燥」モードでは標準モードのほか、「すすぎ1回」「手造り」「毛布」「ナイト」が選べます。また、「温水コース」を選ぶと30℃、40℃、60℃というコースが選択できる仕組み。ダウンロードコースに関しては後述します。
基本的に、全自動で洗濯から乾燥まで行うときは場合は「洗濯 ▶乾燥(標準)」コースを選ぶことになります。細かく設定したい場合は「手造り」コースを選んで、洗い、すすぎ、脱水の時間、回数をカスタマイズします。
スマホアプリとAIを活用する
STX120Hの機能で欠かせないのはスマートフォンとの連携です。「洗濯コンシェルジュ」アプリをスマートフォンにインストールして、STX120HをWi-Fiに接続。アプリにSTX120Hを登録することで、いろいろな使い方が広がります。
たとえば「洗濯アドバイス」では、その日の天気や気温、湿度、降水確率などを表示し、何時ごろに干すと洗濯物が乾きやすいか教えてくれます。季節によっては花粉の量も教えてくれるため、部屋干しに切り替えるといった判断ができました。
「コンシェルジュ」機能は、シーンや衣類の種類、運転時間から最適なコースをおすすめしてくれるもの。STX120H本体に登録されていない新しいコースを、ダウンロードで追加することもできます。
洗濯が終わったあとは、気になった点をアプリ上でフィードバックすれば、より好みに会った洗濯へと自動調整する「わがや流AI」もおもしろい機能です。今回の試用では大きな変化は体感できませんでしたが、洗濯乾燥機は長く使う家電だけに、STX120Hを購入したら洗濯後はこまめにアプリでフィードバックしたいところ。
アプリからのダウンロード機能では、ダウンジャケットコース、洗えるスーツコース、泥汚れコースなどを用意。ライフスタイルや家族構成などに合わせて、必要なコースを追加できます。たとえば子どもが屋外の運動部で活動している場合などは、しっかり時間をかけて洗う泥汚れコースが役に立つはずです。
乾燥フィルターはないが付着したホコリが気になるかも?
今回は約2カ月、-STX120Hを使って家族の衣類を洗濯しています。我が家はインドア派の娘が3人と夫婦の5人家族なので、それほど激しく汚れる洗濯物はありません。ほとんどは上述の「洗濯 ▶乾燥(標準)」コースでしたが、タオルが多い場合などは「すすぎ1回」にして洗濯時間を短縮するといった使い方もしていました。
洗浄力に不満を感じたことはありません。Tシャツに汚れを付けたテストでも、大半の汚れはきっちりと落ちました。油を含むカレーの汚れは残りましたが、これは想定通りというところ。温水コースや温水つけおきコースを使うと、さらに汚れを落とせます。
ちょっと気になったのはホコリ。先に書いた通り、STX120Hの特徴はホコリがたまる乾燥フィルターをなくした「乾燥フィルターレス」であること。洗濯で発生するホコリや糸くずは本体下部の「大容量糸くずフィルター」にたまる構造となっており、乾燥運転のたびにホコリや糸くずを除去する必要はなく、月に1回のゴミ捨てで良くなっています。
STX120Hは洗濯槽の自動掃除機能やドアパッキン自動掃除機能、乾燥ダクト自動掃除機能なども備えており、洗濯・乾燥時に発生するホコリや糸くずを排水とともに流して、大容量糸くずフィルターにためます。
ただ、ドアパッキン周りやドア内側にはホコリが付着します。このホコリは洗濯する前に取り除く必要がありました。使い始めのころはこの掃除が足りなかったのか、乾燥が終わった衣類にホコリが付いていたり、使用から1カ月が経過する前に大容量糸くずフィルターが詰まってエラーが出たりしました。どのドラム式洗濯乾燥機もそうですが、STX120Hを上手に使っていく上では、ホコリのケアは欠かせません。
風アイロンでシャッキリ乾燥!
STX120Hを使ってわかったのは、乾燥フィルターがないぶん、洗濯槽に残るホコリのケアが重要ということ。とはいえ全体としての結果には満足です。我が家の洗濯の中でも特に汚れがひどい子どもの靴下なども、キレイに洗濯できました。
そして使い勝手が良かったのは乾燥機能。STX120Hでは少量の洗濯なら、シャツ類にシワが付きにくい風アイロンで乾燥できます。実際にシャツを中心に洗濯物を2kg以下にして乾燥まで回した結果、アイロンがけしなくても着られる状態で乾きました。過去にはシャツを洗濯乾燥して袖がシワシワになった経験もありますが、STX120Hならシャツも日常的に乾燥機能で十分です。
しっかりした洗浄力と、高速風でシワを伸ばして乾かせる乾燥機能を備えたSTX120Hは、洗剤の自動投入機能や使いやすいスマートフォン連携機能なども注目ポイント。あくまで今回の試用では、たっぷりの洗濯物を入れても汚れ落ちが悪かったり、乾きが悪かったりといったことはありませんでした。日々、洗濯槽のホコリ取りは大切ですが、洗濯の前にさっと雑巾で拭うだけでもOKです。
充実した洗濯コースに加えて、スマホアプリからのダウンロード機能を使えば洗濯コースを追加できるのも便利。特におすすめなのは、強力な乾燥機能を生かして、乾燥まで全自動でおまかせする使い方。ほったらかしでしっかりと衣類をケアしてくれるドラム式洗濯乾燥機です。