コロナ禍におけるテレワークや巣ごもり生活、またはふるさと納税の返礼品などでも、冷凍食品の消費が増えています。冷凍食品は代表的ですが、こうした食材をストックする習慣が定着してくると、気になるのは冷蔵庫の容量不足。近年は2台目の冷凍庫・冷蔵庫、いわゆる「セカンド冷蔵庫」のニーズが拡大しており、各社からさまざまなラインナップが登場しています。

そんな中、シャープが2台目向け冷凍庫・冷蔵庫の新モデルとして、「グルメクール FJ-HM7K」(以下、グルメクール)を4月6日に発売します。価格はオープン、推定市場価格は77,000円です。グルメクールの機能やデザイン性などをメディア向けの発表会でチェックしてきました。

  • 4月6日発売の「グルメクール FJ-HM7K」は、冷凍モードと冷蔵モードを切り替えて使えます。冷凍・冷蔵の同時使用はできません

シャープでは、2022年にも同社初のファン式冷凍庫「FJ-HF13H」を発売しています。FJ-HF13Hの本体サイズは幅49.5mm×奥行き59.8×高さ115cm、定格内容積は126Lの冷凍庫専用モデルです。

一方、新モデルのグルメクールは、本体サイズが幅49.5cm×奥行き59.8cm×高さ77cm、定格内容積が72Lとなります。従来モデルのFJ-HF13Hと設置面積(幅と奥行き)は同じですが、高さを抑えている(28cm)のが特徴です。

  • セカンド冷蔵庫と呼ばれる製品をおおまかに分類すると、容量101L~150L、高さ86cm以上が主流とのこと。2022年にシャープが発売したFJ-HF13Hもそのゾーンに入り、今回のグルメクールは高さ85cm以下・容量100L以下のコンパクトモデルとして投入します

グルメクールはFJ-HF13Hと同様に、冷却方式は霜取りが不要なファン式を採用。機能面で異なるのは、FJ-HF13Hが冷凍庫専用であることに対して、グルメクールは庫内の温度帯(冷凍・冷蔵)を切り替えられるハイブリッドタイプであること。

加えて、「微凍」という温度帯のモードを設けたこともユニークなポイントです。各モードそれぞれで3段階の温度設定が可能で、内容は冷凍モードが-21℃/-18℃/-15℃、微凍モードが-7℃/-5℃/-3℃、冷蔵モードが0℃/3℃/6℃という全9段階。季節や食材の種類、生活スタイルに合わせて、きめ細かく使い分けられる親切さです。

  • 冷凍モードは、一般的な冷凍庫と同じと思ってよいでしょう

  • 微凍モードは生鮮食品や日本酒の保存に

  • 冷蔵モードも一般的な冷蔵庫と同じ使い方です

ちなみに冷蔵モードの場合、設定温度を3℃から6℃に変えると約21%、冷凍モードは-18℃を-15℃に変えるとで約13%の省エネになるとのこと。電気代が高騰しているご時世なのでランニングコストを少しでも抑えられる機能です。なお、仕様上の年間消費電力量は277kWh/年となっており、2021年の省エネ基準で100%を達成しています。

「グルメクール」という商品名には、冷蔵庫に入りきらない食材の補完用というよりも、アイスクリーム、スイーツ、ドリンク、お酒など身近に置いて冷やしたいもの、お気に入りの食品やドリンクに適した温度帯で保存することによって、さらに美味しく楽しむというコンセプトが込められているそうです。微凍モードの-5℃は日本酒セラーと同じ温度帯とのことで、採用した理由にも納得がいきます(日本酒セラーにもよりますが、設定温度は-10℃~+10℃くらいのものが多数)。

  • とっておきの食べ物や飲み物を身近に置いて冷やすことをコンセプトとしたグルメクール。特徴的な微凍モードは日本酒が好きな人にうれしい機能。お刺身などの生ものも一緒に冷やしておけます

グルメクールはデザインにも注目。デザインコンセプトは「とっておきを保存する」です。設置場所として想定されているのはキッチンや廊下ではなく、リビング、ダイニング、書斎、寝室といった居住空間。インテリア空間になじむことが意識されています。

本体カラーにはメタリックグレーを採用。セカンド冷蔵(凍)庫ではホワイトが主流ですが、リビングなどになじみやすいカラーで差別化を図っています。ドア素材のダークメタルは、人に近い場所や使用シーンを想定し、金属の輝度を抑えて落ち着いた印象に微調整されているとのこと。

また、ドアの表面を緩やかな曲面にすることで、堅牢感と優しい印象を両立させています。天面の手前に設けられた操作パネルは、9段階の温度帯がひと目でわかるようにレイアウト。空気清浄機を思わせるホワイトとブルーに光るLEDも、全体的にシックなデザインのアクセントになるとともに高級感も醸し出していると思います。

  • メタリックでシック&クールなデザインが特徴的なシャープの調理家電。それらと同じ方向性のデザインとしつつ、グルメクールはリビング、書斎、寝室などの居住空間に置くことを想定。金属素材の輝きを控え目にして、落ち着いた優しい印象を意識しています

  • 天面の手前側にある操作パネル。スッキリとわかりやすいレイアウトです。ブルーとホワイトのLEDライトが洗練された印象

本体の高さを77cmに抑えているのも、インテリア性を意識した理由のひとつ。リビングなどに置いても圧迫感のない高さ、さらに一升瓶といった収納物の高さ、ソファ横やデスク横のたたずまいを両立させるサイズから設定しそうです。

  • 本体の高さは、ソファやデスクにも多く採用されている77cmと合わせるとともに、一升瓶も中に収まるサイズ。側面や天面はマットなブラックカラーとして、家の中で悪目立ちしません

庫内のレイアウトは、可動式の棚板が2つ付属し、上段と中段の棚の位置はそれぞれ上下に2段階(5cm)で調整可能。下段には、500mlペットボトルを立てて収納できる高さ約23cmの透明ケースを用意しています。中段の棚と下段のケースを取り外せば、2Lペットボトルや一升瓶といった背の高いものも、立てて保存できる設計です。

  • 庫内のレイアウトは、上段と中段が棚、下段が引き出し式ケース

  • 上段と中段の棚板はそれぞれ、高さを5cmずつ変えられます

2022年発売のFJ-HF13Hは冷凍専用庫のため、下4段が引き出しケースになっていましたが、グルメクールは冷蔵・冷凍のどちらにも対応できる庫内のレイアウトです。冷蔵・冷凍のハイブリッド仕様は便利な反面、専用機と比べて収納性や使い勝手は少し落ちるかもしれません。

前面ドア、左開き・右開きを変えられる

シャープの冷蔵庫製品は前面ドアが左にも右にも開く「どっちもドア」を備えているものが多く、グルメクールも「つけかえどっちもドア」を採用しています。左側から右方向へ開くのが「右開き」、右側から左方向へ開くのが「左開き」です。

グルメクールの前面ドアを開く方向は、ユーザーが手作業で変更します。手作業といっても工具は必要なく、ヒンジ部分のビスと前面ドアを付け替えるだけの簡単な作業です。グルメクールは通常の冷蔵庫よりも想定される設置場所が幅広いため、前面ドアを左開きにも右開きにもできる自由度は有用な機能ですね。

  • ビスの付け替えで左開きでも右開きでも使える「つけかえどっちもドア」

【動画】「つけかえどっちもドア」、左開きから右開きに変えてみました(音声が流れます。ご注意ください)

そのほか、冷蔵モードではシャープ独自のイオン発生機能「プラズマクラスター」も機能します。庫内の浮遊菌や付着菌の繁殖を抑え、清潔さを保ちます。

  • 庫内上部にプラズマクラスターユニットを搭載。冷蔵モードで運転しているときは、庫内全体の浮遊菌を除菌。最上段は付着菌まで除菌できるとのこと

運転音は23dBで、シャープの小型冷蔵庫と同等。天板は100℃の耐熱仕様となっており、本体上に電子レンジなども設置可能です。

推定市場価格の77,000円というのは、セカンド冷蔵庫としては容量(72L)の割には高めですが、冷凍・冷蔵のハイブリッド仕様や左右両開き対応のドア、デザイン面などは魅力的。上質なセカンド冷蔵庫を探している家庭の選択肢になりそうです。