既報の通り、NTTドコモは3月7日に新型ホームルーター「home 5G HR02」を発売する(※関連記事)。同製品は2022年10月に冬春モデルの新商品として発表済で、2月28日に発売日や価格がアナウンスされたのだが、このタイミングで公開されたスペック表に興味深い記載がある。
home 5G HR02は、モバイルネットワークを固定回線代わりに利用する、いわゆるFWA(Fixed Wireless Access)のための通信機器。販売中のhome 5G HR01と比べて、LAN側の性能が有線・無線ともに強化されている点などが特徴だ。
大々的にアピールされてはいないが、ここで注目したいのは5Gの対応バンドに「n1」、つまり2GHz帯の記載があることだ。これまで同社が発表・発売した端末にはn1対応のものはなく、小さな変化だが見逃せないポイントといえる。
ただし、スペック表の「対応周波数(バンド)」の上部にある、自社運用バンドの対応可否の部分では5G NSA n1の行に○は付けられておらず、その下の「その他対応バンド(国内)」でひっそりとn1が対応バンドとして挙げられている。
FWA用のCPEというデバイスの性質を考えると他社利用を想定した対応とは考えにくく、そもそも3月1日時点ではドコモの商用環境においてn1エリアは存在しないことから〇を付けていないか、後日(運用開始後)にアップデート対応を行う可能性などが考えられる。
現在ドコモが5Gで運用してる周波数帯は、当初より5G用として割り当てられた3.7GHz帯(n78)、4.5GHz帯(n79)、28GHz帯(n257)のほか、4Gからの転用となる700MHz帯(転用前はLTE Band 28、転用後はn28)と3.4GHz/3.5GHz帯(転用前はLTE Band 42、転用後はn78の一部)がある。
ドコモの2GHz帯は3Gと4Gで利用されており、現時点では5Gへの転用は行われていない。サービスエリアマップにもまだ登場していないが、端末側の対応が進められているということは転用開始が近いという見方もできる。
補足として、他社では4G/5Gで周波数を共有するDSS(Dynamic Spectrum Sharing)と呼ばれる技術の採用例もあるが、ドコモはこれまで、DSSによる5Gエリアの拡大に関しては実利用での効果の薄さから消極的な立場を取ってきた。n1を運用するとなれば4GとのDSSではなく、3年後に停波を控えた3Gで利用している周波数の段階的な転用の可能性が高いのではないだろうか。