米Metaの日本法人であるFacebook Japanは1月27日より、ポップアップイベント「Meta Bookstore」を開催しています(1月29日まで)。“コンシェルジュに好みを伝えて新たな本に出会う体験を通じて、パーソナライズ広告の仕組みへの理解を深めていただく”ことを謳ったこのイベント、その狙いはいったいどういうものなのでしょうか。

  • Meta Bookstore

    代官山T-SITE GARDEN GALLERYで開催される「Meta Bookstore」。代官山T-SITEは蔦屋書店を中心とする商業施設で、代官山 蔦屋書店は本イベントへの会場提供だけでなく選書などの協力もしています

パーソナライズ広告は“コンシュルジュに本を選んでもらう”のと同じ

「Meta Bookstore」のメインコンテンツがどういうものなのかは、実際に体験してもらうのが早いでしょう。ポップアップイベントの開催に合わせて公開された特設サイトを開くと、「お気に入りの一冊に出会うために」「あなたの好みを教えてください」と、関心度の高いカテゴリーを選ぶように求められます。

  • 特設サイト1
  • 特設サイト2
  • 特設サイト3
  • 特設サイトにアクセスすると、まず関心のあるカテゴリーを聞かれます

選択肢として挙げられた中から関心のあるカテゴリーを選ぶと、今度はそのカテゴリーの中でどんな本を読みたいかを尋ねられます。ここで読みたい本のタイプを答えてしばし待つと、コンシュルジュがこちらが指定した条件に合うオススメ本を紹介してくれるというわけです。

  • 特設サイト4
  • 特設サイト5
  • 特設サイト6
  • カテゴリーを選ぶと、そのカテゴリーのどんな本を読みたいのかを尋ねられます。そしてこのふたつの情報から、コンシュルジュがオススメの一冊を紹介してくれます

代官山T-SITE GARDEN GALLERYのイベント会場では、オススメされる本を手に取って内容をチェックすることができますが、それはオマケのようなもの。今回のイベントの大事なポイントは特設サイトでの体験でほぼカバーされています。

  • イベント会場

    イベント会場では、紹介された本を実際に確認できます

先述のとおり、今回の取り組みはパーソナライズ広告の仕組みへの理解を深めてもらうことを目的としています。Metaが提供するパーソナライズ広告は、Facebook/Instagramにおいてユーザーへ表示する広告を、そのユーザーの興味関心に会わせてカスタマイズする仕組み。ユーザーの興味関心は、どんなアカウントをフォローしているか、どんな投稿に「いいね!」をしているかといったユーザーのアクティビティや登録情報に基づいて判断されます。

実は先の“コンシュルジュに好みを伝えてオススメの本を選んでもらう”という体験は、パーソナライズ広告の仕組みとほぼ一致します。関心のあるカテゴリーやその中でどういった本を読みたいのかを尋ねたのが、ユーザーアクティビティからユーザーの興味関心を推測することにあたります。そしてオススメされる本が、表示されるパーソナライズされた広告にあたるというわけです。

「利用者への透明性」と「管理機能の提供」を重視

今回のイベントのオープニングに先立って、Facebook Japan 公共政策部部長の小俣栄一郎氏から、Metaのプライバシーやパーソナル広告に関する取り組みや考え方の紹介がありました。

  • 小俣栄一郎氏

    Facebook Japan 公共政策部 部長 小俣栄一郎氏

小俣氏は、Metaの取り組みを紹介する中で、「利用者への透明性」と「管理機能の提供」をそのポイントに挙げています。FacebookやInstagramでのアクティビティがどのように使われるのかをプライバシーポリシーで明示し、個々の広告についてはどういった要因に基づいてその広告が表示されるのかを確認できるようにする。そして、興味のない広告は非表示にでき、問題がある広告についてはその旨をフィードバックできるほか、関心に合致しないトピックについての広告は表示を減らすことができるようになっています。こういった透明性と管理機能を担保することにより、ユーザーがパーソナライズ広告を受け入れやすい環境を作ろうとしています。

  • プライバシーポリシーの改訂
  • この広告が表示される理由
  • 広告の非表示・報告
  • 広告トピック
  • Metaのプライバシーやパーソナル広告への取り組み

このように慎重な取り組みを行い、そして今回のイベントのようなそれを周知してもらう機会を作っているのには、パーソナライズ広告やその前提となるプラットフォームへの個人情報提供へのユーザーの不安を取り除きたいという理由があるようです。

小俣氏のプレゼンテーションに続くパートでは、同氏と、成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏、SNSマーケティングなどを行う株式会社FinTの代表取締役CEOを務める大槻祐依氏によるトークセッションがありました。高橋氏はメディアでネット利用についてアドバイスする立場および子供の保護者としての立場から、大槻氏は若年層のインフルエンサーとともにSNSマーケティングに取り組む立場から、それぞれ「プライバシーを管理しながら賢くSNSを使う方法」というテーマに沿って話をしましたが、両氏が共通して言及したのが、「不安」でした。具体的には、こんな広告コンテンツが表示されていていいのかという不安、個人情報の管理には気を付けているつもりだが十分だろうかというような不安です。

  • 高橋暁子氏

    成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏

  • 大槻祐依氏

    株式会社FinT 代表取締役CEO 大槻祐依氏

それでも両氏は、十分にプライバシーを保護したうえでのパーソナルデータ活用には前向きです。高橋氏は、「これからのプライバシー保護は攻めと守りのバランスが大事」として、「広告は配信されるものではなくさせるもの」と、情報を得る場所として広告を積極的に活用することを薦めます。

大槻氏のコメントで面白かったのが、若年層の広告への態度についての分析。「Z世代は広告に好意的。インフルエンサーのPR投稿にもよく反応するし、自分にマッチすれば商品も購入する」と言います。このあたりは、広告を忌避しがちな上の世代とはやや異なるスタンスです。小俣氏も「若い人の間では『タイパ』という言葉が使われているようで、時間をムダに使いたくないという感覚が強いのかもしれない。自分の関心にあった情報を提示してくれるパーソナル広告はそういう志向に合致しており、受け入れられやすいのでは」という見方を示しました。

小俣氏はこれらの話題を受け、「ユーザーが漠然とした不安を抱えているというのは事実」としながらも、「Metaはそれに向き合います。Metaでも『Feedback is a gift』と言いますが、今回のように実際のユーザーと触れ合う取り組みも加速していきたい」とトークセッションをまとめていました。

イベント会場での参加には図書カード/オリジナルステッカーのプレゼントも

前述のとおり、本イベントのメインテーマである“コンシュルジュに好みを伝えてオススメの本を選んでもらう”こと自体は特設サイトで体験できますが、イベント会場ではこのほかに、プライバシーを管理しながらSNSを活用するための管理機能について店内スタッフからのレクチャーを受けることもできます。レクチャーを受けてその場で機能を試した人にはMetaオリジナルデザインの図書カード500円分(数量限定)をプレゼント。

さらに、会場内のフォトスポットで撮影した写真にハッシュタグ「#metabookstore」をつけてFacebook/Instagramに投稿した方へのプレゼントとして、オリジナルステッカーも用意されています。開催期間は短いですが、近くへ行く予定があるようなら、ちょっと立ち寄ってみてもよいのではないでしょうか。なお、イベント特設サイトについては、会期終了後もしばらくの間は公開されるそうです。

  • 会場内のフォトスポット

    会場内のフォトスポット

開催概要

  • 主催:Facebook Japan
  • 企画協力:代官山 蔦屋書店(代官山T-SITE)
  • 開催日時:
    1月27日(金)13:00~20:00
    1月28日(土)10:00~20:00
    1月29日(日)10:00~18:00
  • 開催場所:代官山T-SITE GARDEN GALLERY(東京都渋谷区猿楽町16-15)