ディスプレイの両サイドにコントローラーを搭載し、単体でのゲームプレイを行える小型ゲーミングPC。PCゲームプラットフォーム「Steam」を提供するValveからも類似製品が投入されるなど活況を呈しているデバイス市場の中で、熱心な製品開発を行うOne-Netbookから新製品「ONEXPLAYER mini Pro」が発売されました。

トピックは何と言ってもiGPU「Radeon 680M」を内蔵するAMD Ryzen 6800Uの搭載で、LPDDR5メモリを組み合わせてAAAタイトルのゲームプレイにも対応したとのこと。今回試用機を試す機会があったので、使用感についてお届けしようと思います。

忙しい方向けにまとめておくと、確かに性能は前モデルから見違えるほど向上。コントローラーの操作感は抜群によく、スティックやトリガーボタンの剛性感や質感も素晴らしいです。ただし、どうしてもディスプレイに気になるところもある……という印象でした。

  • 「ONEXPLAYER mini Pro Ryzen版」レビュー! Ryzen 7 6800Uは超快適、リモートプレイにも!

高級感は抜群、パッケージも相変わらず凝っている

さっそく開封していくところからご紹介。ささいなことながら、個人的にONEXPLAYERの製品でとても気に入っているのがこのパッケージ。硬くて分厚い厚紙で作られている立派なもので、それでいてシンプル。本体はスムースな質感のナイロンに収められており、しっかりしたスポンジの緩衝材が用いられています。

  • パッケージの様子。小さい方の箱は一緒にお借りした専用ドックです。テーマカラーの黒にオレンジがちらりと覗いてグッド

  • 手でスーッと持ち上げて開けるこの仕様がお気に入り

  • 開けた様子。取説には「私が説明書です」と書いてある茶目っ気も

  • 付属品はACアダプタとType-Cケーブルのみ。最大20V/3.25Aでの給電に対応します

  • 本体を取り出して起動した様子。せっかくなので専用デザインの壁紙などあればさらに良かったと思います

  • 裏面の様子。前モデルにはキックスタンドがありましたが、今回のモデルでは省略されました。十分厚みがあるのでドーンと自立します

  • 上面。Type-C端子に加えてType-A端子も1個あります。これがいかに便利なことか

  • 下面。上からでも下からでも給電できるところが本当に便利

  • 重さは実測で616g。ちなみにNintendo Switchは400gくらい、Steam Deckは670gくらいです

本体そのものの様子は特に前モデル(関連記事)と変わっている印象はなく、グリップ部に光る場所が追加されたくらい。7インチ1,920×1,200ドットのディスプレイはかなり大きく、狭めのベゼルも相まってスタイリッシュな印象です。

ひさびさに手に持ってみると、やはりコントローラーの質感はとても素晴らしく感じます。グリップはしっかり手に持てる厚みを備えており、トリガーの押し込み量はXbox純正コントローラーと比べてもさらに深く思えるレベル。カーレースゲームなどでは精密なアクセル・ブレーキ操作を行えそう。

  • 左側。すぐにデスクトップに戻れるショートカットキーを搭載

  • 右側。下から二番目にあるソフトキーボードを呼び出すボタンがとても便利です

  • トリガーボタンの押し込み量はかなり深く、専用コントローラーにも引けを取りません

  • グリップが1,680万色で光るようになったのが一番見てわかりやすい変化かも。他にも変わっている部分があるかもしれませんが、特に気づきませんでした

ただ、どうにも気になるのがディスプレイの品質です。試用機だけの問題なのか、ディスプレイのカバーガラスに波紋が見えている点はどうにもいただけません。また、画面表示にもやや難あり。光沢仕様は鮮やかで暗所もくっきり表現できていましたが、明るいところにやや弱いような気がします。白っぽい画面では、少し飽和している様子が見られました。

  • カバーガラスが波打っているのか、ぐにゃぐにゃとマゼンタの波が見えました

ちなみに、今回は一緒にドッキングステーションもお借りしました。底面にあるType-C端子と接続して活用するというもので、USB Type-A端子や有線LAN、HDMIからの映像出力も行えます。

  • 合体した様子。ずいぶん上向きになります

  • 後部端子の様子。充実したインタフェースを利用可能

Radeon 680M搭載でいよいよAAAタイトルにも対応へ

外観も眺め終わったところで、性能についてもチェックしていきましょう。仕様についておさらいすると、AMD Ryzen 7 6800Uを搭載し、LPDDR5メモリを組み合わせて内蔵。M.2 NVMe SSDにWindows 11をインストールしており、12,450mAhのバッテリーを備えます。

  • HWiNFOで仕様を一覧。GPU名は「AMD Radeon 600Mシリーズ」としか出ない模様

  • 試用機は1TBモデルでした

PCMarkと3DMark、FF14「暁月のフィナーレ」ベンチマークを用い、ざっとスコアを収集してみました。軽めのNight Raidモードでは10%以上もGPU性能が高まっており、FF14もフルHD(最低設定)で快適基準を達成。中でも注目なのはZen 3+アーキテクチャのCPU性能で、Speedometer 2.1のスコアは「223」まで高まりました。メーカー推奨の用途ではありませんが、eGPUと組み合わせることで強力なゲーミングPCとしての活用も見込めそうです。

  • 「暁月のフィナーレ ベンチマーク - ファイナルファンタジーXIV」もフルHDで快適

おまけ:筆者が小型ゲーミングPCを買ったらやりたい2つのこと

製品について上述の通り紹介してきた本記事。でも小型ゲーミングPCといえば「高いよね」「ゲーミングPC買えるじゃん」「そもそもゲーミングPCもう持ってるし」「性能足りなくない?」という声が聞こえることも事実(筆者の思い込み?)。

しかし、小型ゲーミングPCは「横になってPCゲームできる」という唯一無二の特徴を備えていることを忘れるわけには行きません。この用途において、特に「ゲーミングPCはもう持っている」という点が強みへと昇華される点もポイント。リモートプレイ用途なら本体の性能をほとんど無視できるので、より強力な新モデルが投入されても末永く使うことが可能です。Steam Deckより高解像度なディスプレイを備えていることも、リモートプレイ時の長所として働くはず。

  • WindowsのRDPを用いなくても、Steamを活用することでかんたんにリモートプレイを楽しめます。同一LAN内にあるゲーミングPCでグラフィックスを処理し、ONEXPLAYER mini Proを用いてプレイできるというわけ。ゲーム起動ボタンが「ストリーミング」に表記が変わっている点に注目

  • メインマシンで起動している『DEATHLOOP』をONEXPLAYER mini Proで遊んでいる様子。GeForce RTXの圧倒的パワーをONEXPLAYER mini Proで満喫できます

また、Steam Deckとの差別化ポイントとしてはWindows 11をインストールしている点に注目。ゲーム機では横になって遊びにくい『原神』もプレイ可能です。ちなみに、原神をディスプレイのネイティブ解像度で問題なくプレイできるGPU性能を備えていますが、元素反応が続出するシーンではやや重くなることもあるので、少し描画品質を下げたほうが安定感を確保できて快適でした。

  • 個人的にはオフィs…家の外でも快適に『原神』を楽しめる点が特に嬉しかったです

そんなONEXPLAYER mini Pro Ryzen版は、すでに好評発売中。国内正規品を取り扱うテックワン直販価格では144,800円から販売しており、専用ハードケースやドッキングステーションもラインナップしています。おうちPCゲーミングの幅を広げる小型ゲーミングPC、一度導入すると手放せなくなるかもしれません。