サロンに行くとシンプルなデザインでも3,000~5,000円ほどかかるネイル代。複雑なデザインは1万円を超えることも珍しくありませんし、イラストデザインならもっと高額になることも。手描きのデザインは思った仕上がりにならないこともありますよね。

そんな悩みを解決してくれるのが、爪に直接印刷できるネイルプリンター。現在、複数のメーカーが家庭用ネイルプリンターを発売していますが、2022年はカシオ計算機もネイルプリンター「NA-1000-SA」を発売。ネイルプリンターとしては後発のNA-1000-SA、どこが魅力なのか1カ月ほどじっくり試してみました。

  • カシオのネイルプリンター「NA-1000-SA」で印刷しているところ。専用のスマートフォンアプリを使ってデザインを作り、印刷もアプリから実行します

  • NA-1000-SAは、サンリオとのコラボも大きな特徴! 現在は400以上のデザインセット(10本の爪をトータルでデザインしたテンプレート)が用意されていますが、そのうち30セット以上がサンリオキャラクターのデザインです

本体は大きめだけど、プリントのしやすさはピカイチ!

NA-1000-SAは丸みのあるキューブ型。デザインで目を引くのが、なんといっても本体にプリントされたサンリオキャラクターズです。

本体前面にはキティちゃんとシナモロール。上面にはマイメロディといったサンリオの人気キャラクターがプリントされています。キャラクター物のデザインは子どもっぽくなりがちですが、シアーなワントーンでデザインされているので大人っぽい印象です(とはいえキャラクターデザインは好みが分かれるかもしれませんね)。

  • 使わないときはシンプルなキューブ型。本体サイズは幅211×奥行き228×高さ211mm(足含む)、重さは約2.6kg

  • 本体上部にハンドルがあるので簡単に持ち歩けます

  • ネイルプリントをするときは、本体下部を外します。下パーツは小物が入るスペースがあり、ここに電源アダプターを収納可能。これがすごく便利でした

外観でもうひとつ目立つのは、幅211×奥行き228×高さ211mm(足含む)という本体サイズ。筆者は何度か他社の家庭用ネイルプリンターを使っていますが、それらより一回り大きいイメージです。逆に本体デザインが大きめなので、プリントする指の左右にも手を置くスペースがあり、楽な姿勢でプリントできる点はメリットといえます。

コンパクトな家庭用ネイルプリンターの多くは、箱型の本体に1本指を入れるだけの穴が開いたような形。中指や薬指の爪にプリントするとき、ほかの指の置き場所に困ることも多いのです。

  • ネイルプリント時の写真。施術する指の左右にも指を置く空間があるので、楽な姿勢でプリントできます

コーセーと共同開発した専用マニキュアが優秀!

では、実際にプリントしていく様子を紹介しましょう。ネイルプリンターの基本的な使い方はほぼ共通です。最初は爪に白いマニキュア(ベースコート)を塗り、インクを定着させるためのプレプリントコートを塗って印刷。最後にトップコートでインクをコーティングするのが一連の作業です。

NA-1000-SAの場合、ベースコートを塗って約5分間乾燥、プレプリントコートを塗って約3分間乾燥、プリントして約1分間乾燥、トップコートを塗って約5分間乾燥――となります(トップコートの完全定着までは約3時間)。

  • 本体前面を開いて、プリントカートリッジ NA-PI10(専用インクカートリッジ)をセット

  • カートリッジは直販価格で14,850円(2022年11月現在、以下同)と安いものではありませんが、約1,000爪プリント可能。爪の1枚が15円以下と考えればかなり高コスパかも

NA-1000-SAは購入したらすぐにネイルプリントできるよう、白マニキュア(ベースコート)、プレプリントコート、トップコートが付属しています。実はこの3製品、化粧品会社のコーセーがNA-1000-SA用にカシオと共同開発したもの。肌に直接塗るものだけに、コーセー製品というのは安心感があります。

実際に使ってみると、白マニキュアの使いやすさに驚き! マニキュアのなかでも、白というのはトップクラスに塗るのが難しい色なんです。たいていの白マニキュアは、一度塗りでは地爪が透けてしまいますし、重ね塗りすると凹凸ができやすくなります。色がムラになりやすく、かといって厚めに塗ろうとすると乾くとシワになったりと、とにかく失敗しやすい色です。

NA-1000-SAに付属する白マニキュア「ベースコート NA-BC10」は、2度塗りでしっかり白く塗れました。少々厚塗りしても凹凸になりにくく、正直ここまで優秀な白マニキュアは初めてかも。ネイルプリンターのためだけではなく、フレンチネイル用に単体買いしても良いと思ったくらい気に入りました。

  • 左から、ベースコート NA-BC10、プレプリントコート NA-PP10、トップコート NA-TC10。いずれも10mlでプレプリントコートは約750爪分、ベース/トップコートは250爪分が目安の量です。直販価格がプレプリントコートのみ3,520円、そのほかは3,080円。マニキュアとしてはそこそこ高価

  • 手持ちの白マニキュアと比較。左のピンク色のネイルに白ネイルを塗り重ねました。上が手持ちの白ネイルで下がベースコート NA-BC10。ベースコートは2度塗りで濃いピンクの色がしっかり消えています。しかも、上のネイルはよく見ると表面に凹凸がありますが、ベースコート NA-BC10はツルンとした仕上がりです

専用アプリは写真ユーザーには嬉しい加工機能付き

白マニキュア(ベースコート)とプレプリントコートを塗ったら、次はアプリでデザインを選びます。NA-1000-SAは専用アプリでデザインセットを選択し、そこから印刷する指を選んでプリントします。操作はとっても簡単。

  • アプリのデザインセットを選ぶ画面。写真のサンリオデザインはアプリインストール後にダウンロードする必要があります

  • デザインセットを選択して編集することも可能です。大きさを変えたり、回転させたり、「スタンプ」機能でイラストや写真の追加もできます

もちろん、まっさらな状態から自分だけのオリジナルデザインを作ることもできます。デザインは基本的に「ベース」で基本となるデザイン選び、そこに「スタンプ」を組み合わせます。どちらもあらかじめ豊富なテンプレートが用意されていますが、スマホに保存した写真なども使えます。

NA-1000-SAの専用アプリでとくに気に入ったのが、画像の切り抜き機能です。筆者は犬を飼っているので愛犬の写真をネイルにすることが多かったのですが、犬が写っている写真を選んで、犬のまわりをザックリとなぞるだけでアプリが面倒な切り抜き作業を行ってくれます。

切り抜いた画像は自動的に「スタンプ」の「ユーザー」タブに登録され、いつでもデザインに追加できます。切り抜きの精度もなかなかのもので、イラストやくっきりした輪郭の写真ならほぼ完璧に自動で切り抜いてくれました。ただし、犬のモシャモシャした毛の切り抜きは、どうしても毛の間に少し背景が残ってしまうことがあります。

  • 「切り抜き」画面で犬をザックリとなぞるだけで、犬だけを切り抜いてスタンプとして登録できます

  • ここでは迷彩柄の「ベース」と組み合わせてデザインしました

  • サンリオキャラクターズのベースやスタンプもあるので、自作スタンプを組み合わせることで世界で唯一のコラボデザインを作り出すことも

ひとつ残念だったのは、無地のネイルデザイン。NA-1000-SAは単色プリントもできるのですが、カラーの種類が少ないのです。レッド系やブルー系など、各系統の色に対して12色しかバリエーションがありません。有名メーカーのマニキュアになると「ワインレッド」だけでも驚くほどバリエーションがあります。せっかくのネイルプリンターなので、ベースの無地デザインはフルカラーから色をピックできるようになってほしいところ。

  • それぞれの色系統からベース色を指定する「無地ベース」選択画面。レッド系が12色しかないのは少なく感じます

15秒でネイルプリント完了! 印刷精度も満足

デザインが決まったらいよいよプリント。まずは、NA-1000-SA本体に指を入れ、黒いアダプターに配置された赤いマーカー部に爪先中央が来るように指の位置を合わせます。

プリントをスタートすると、NA-1000-SAが白い爪部分を自動的に検知して印刷範囲を決定。アプリに印刷後のイメージを表示します。デザインが気に入らなければ、もう一度編集画面に戻って調整。テンプレートのデザインは爪が長い人を想定しているのか、爪の長さや形によってはデザインの一部が切れてしまったり、位置がズレたりすることがありました。

  • 指を置くアダプター部。赤いマーカー部に爪先中央が位置するように指を置きます。写真ではわかりやすいように取り外して指をセットしましたが、本来は取り外さずに本体内で位置合わせをします

  • 爪の範囲を自動検知し、アプリに印刷後のイメージを表示したプレイメージ画面

【動画】NA-1000-SAでネイルプリントするところ
(音声が流れます。ご注意ください)

ところで、NA-1000-SAのインクは水性。プリントして仕上がりやデザインが気に入らなかったら、水で洗って簡単に落とせます。やり直す場合は、プレプリントコートを塗り直してから再びプリント。

これは注意点でもあり、せっかく気に入ったネイルプリントも印刷面は水で消えてしまうので、プリント後はトップコートでしっかり保護する必要があります。基本的にトップコートが剥げなければ印刷が落ちることはありません。筆者は比較的マニキュアが長持ちするタイプですが、NA-1000-SAでプリントした爪に2日ごとにトップコートを塗り直しながら10日間同じデザインを続けてみたところ、とくに目立った剥げはありませんでした。白マニキュアが優秀なことは前述しましたが、付属のトップコートも優秀なんでしょうね。

  • 愛犬をデザインしたネイル。写真も精細にプリントされています。同じ犬の写真でも、ベースデザインを変更するだけで印象が変わりますね

  • プリントして10日後の爪。2日に一度、トップコートを塗り直していたからか、爪の先が少し剥げただけでした。マニキュアが長持ちする人なら、2週間くらいは再プリントの必要がないかも

ネイルが変わると毎日が楽しい!

筆者がNA-1000-SAでとても気に入ったのは、専用アプリでデザイン編集を完結できること。ネイルプリンターを使うときに一番時間がかかるのはデザインですが、アプリによっては切り抜き機能や細かな編集ができないものも多いのです。

そうしたネイルプリンターの場合、事前にPhotoshopなどの画像編集ソフトで好きなデザインを作ってから、アプリで呼び出すという使い方になります。一方、NA-1000-SAは専用アプリで一通りの作業ができるので(そして賢い)、通勤時などちょっとした時間でもアプリひとつでネイルのデザインを作れます。

  • もちろん、そのままでも魅力的なプリセットデザインもたくさんあります。写真はサンリオの「リトルツインスターズ」からキキとララのデザイン。パッと見ただけではキャラクターデザインに見えないので仕事でも使えました

ちなみに、筆者は途中から白マニキュアを塗る手間を減らすため、白いジェルネイルを愛用していました。これならアセトンフリーの除光液でネイルを落とせば、次からは「プレプリントコート」→「プリント」→「トップコート」だけでネイルプリントが可能です。

この方法だと、必要な時間はプレプリントコート(乾燥時間約3分)、プリント(指1本約15秒)、トップコート(乾燥時間約5分)。朝のだいたい15分があればネイルができてしまうのです! ネイルサロンでの一般的なデザインネイルが90分~120分かかることを考えると、驚きの施術時間です。ただしトップコートを塗ってから約1時間は、「水に濡らしたり、直接プリントした爪に触れたりすることを避けてください」とされています。

  • マイナビニュースの取材が入っていた日の朝、急いで施したマイナビニュースネイル。思いついたらすぐにネイルデザインを変えられるのは、ネイルプリンターならでは!

その日のイベントや気分に合わせたネイルにできるというのは、ネイルプリンターならではの体験です。NA-1000-SAを使っている期間は、キーボードを打つときや食事のとき爪が目に入るだけで気分が上がりました。

犬ネイルをしていたときは、名刺交換すると「犬を飼っているんですか?」「そのネイルどうやっているんですか?」などと、初対面の人とも会話が弾みます。NA-1000-SAは安くはない製品ですが、ある意味人生がちょっと楽しくなる家電です。ネイル好き、あるいはサンリオ好きなら、一度ぜひ試してほしいと思います。

東京都多摩市のサンリオピューロランドでは、NA-1000-SAとサンリオキャラクターのネイルプリントを有料で体験できますよ。キャラクターデザイン 1セット(2本)で1,000円、期間限定のデザインもあります。詳細はサンリオピューロランドのWebサイトを参照してみてください。