米連邦取引委員会(FTC)は12月8日(現地時間)、米Micorsoftによる米ゲーム大手Activision Blizzardの買収が健全な競争を阻害するとして、差し止めを求めて提訴した。独占を形成するおそれのある合併を禁じるクレイトン法第7条や、市場における不公正または欺瞞的な行為・慣行を禁じるFTC法第5条に抵触するとしている。

Microsoftは今年1月にActivision Blizzardを1株95ドルの現金で買収する計画を発表した。買収総額は687億ドルになり、成立するとMicrosoftにとって過去最大、ゲーム産業にとっても最大の買収劇になり、同社はTencent(騰訊控股)やソニーに次ぐ世界第3位のゲーム企業になる。

そうした巨額買収は、反トラスト法(独占禁止法)を所管する当局の審査の対象になる。11月に欧州連合(EU)の欧州委員会が、競争法に基づいて本格調査を開始。複数の国や地域で独占禁止法抵触の審査が進む中、Microsoftは「コール オブ デューティ」や他のActivision Blizzardの人気タイトルをPlayStationや他のプラットフォームに提供し続ける方針を示すなど、競争阻害の懸念の払拭に努めていた。しかしながら、FTCは訴状の中で、MicrosoftがBethesda Softworksの親会社であるZeniMaxを買収した際に、欧州の反トラスト当局に対してライバルのゲーム機からゲームを引き離す意図はないとしていたにも関わらず、「Starfield」や「Redfall」などいくつかのBethesdaのタイトルをXbox独占にしたと指摘している。

Xboxは現在2つしかない高性能ゲーム機のうちの1つであり、そしてMicrosoftは定額制のゲームサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」とゲームストリーミングサービスを提供している。そうした台頭し始めた新しいゲームサービスへの影響を危ぶむ当局に対して、MicrosoftのBrad Smith社長は、Netflixが定額サブスクリプションの動画ストリーミングサービスを成長させることで映像コンテンツ市場を活性化させたのを例に、同様の効果をゲーム開発者と消費者にもたらすと主張している。だが、FTCは受け入れず、「ゲーム機Xbox、急速に成長している定額制コンテンツやクラウドゲーミングビジネスにおいて競合の抑圧を可能にする」と判断、「AAAコンテンツは、プレイヤーの興味をひき、ユーザーベースを開拓し、マネタイズの機会を促進する。ダウンストリーム効果を持つという点で特に重要である」としている。