米Microsoftは11月7日(現地時間)、GPU decompression(GPUを用いた圧縮データの展開)を含む「DirectStorage 1.1」をリリースした。DirectStorage 1.0でのデータ転送の高速化と合わせて、対応するゲームのロード時間の大幅な短縮を可能にする。

3Dゲームは、キャラクター、オブジェクト、風景に、形状、照明、色などの特徴を記述した大量のグラフィックスアセットを必要とし、それらは圧縮してストレージに保存されている。ユーザーがゲームを起動するとアセットがメモリーに転送され、CPUで展開された後、最終的にGPUメモリーに送られる。

DirectStorage 1.0は、ゲームをインストールしているNVMeドライブへの最適化でデータ転送の部分を高速化し、読み込みを最大40%向上させた。DirectStorage 1.1のGPU decompressionは、圧縮データの展開の部分を高速化する。圧縮形式は歴史的にCPUのみに最適化されていたため、展開作業がCPUに依存していた。並列処理性能に優れたGPUを展開に活用することで、CPUのオーバーヘッドを減らし、NVMeドライブの帯域幅をより効率的に利用できるようにする。Microsoftが行なった検証によると、DirectStorageによってロードが3倍近く高速になり、解放されたCPUを他のゲーム処理に使用できた。

GPU decompressionはDirectX 12とShader Model 6.0をサポートするGPUで利用できるが、DirectStorage 1.1でGPUベンダーがメタコマンドによる追加の最適化を提供でき、AMD、Intel、NVIDIAがDirectStorage 1.1に対応した最新ドライバーを用意している。

Intelによると、Core i9-12900K CPUでの展開によるサンプル(9.14GB)のロード時間が1.16秒、帯域幅7.88GB/sであるのに対して、Intel Arc A770(16GB)を利用したDirectStorage1.1 GPU decompressionによる展開でロード時間が0.42秒に短縮、帯域幅が21.67GB/sに増加した。

  • 左は通常のCPUによる展開。右のDirectStorage1.1 GPU decompressionによる展開ではロード時間が1/3近くに短縮。CPU利用率はわずか1.29%

あとは対応ゲームの登場を待つばかりであり、MicrosoftのCassie Hoef氏(シニアプログラムマネージャー)は「ゲーム開発者がゲームハードウェアをフル活用し、PCゲームのロード時間を短縮する新たな旅の始まり」としている。