イラストの個性を学習し、その個性を反映させたイラストを自動生成する画像生成AI「mimic」(ミミック)のベータ版が8月29日にリリースされた。しかし、このAIの「悪用」を懸念する声が多く寄せられたことで、公開わずか1日で配信を停止する事態となってしまった。運営会社のラディウス・ファイブが発表した。

  • 画像生成AI「mimic」、わずか1日へ配信停止に - 描き手の個性を学習するAI

    絵師の癖を学習し、似たイラストを自動生成するAI「mimic」

「mimic」は、同じイラストレーターが書いた15枚~30枚程度のイラストをAIに学習させることで、そのイラストレーターの特徴を掴んだ新しいイラストを自動生成するというもの。利用用途としては、イラスト制作の参考資料や、SNS・ファンコミュニティの活性化を想定しており、利用規約では、AIで生成されたイラストは、そのイラストを描いたクリエイターに帰属するとしていた。

しかしネット上では、「自作発言」などの悪用に繋がらないかと批判する声が多く寄せられた。自作発言とは、他人の作品そのものであったり、または他人の作品をアレンジしたような作品あるにもかかわらず、あたかも自分の作品であるかのように偽って発表する行為。無断転載や盗作に類する行為なのだが、SNSの作品投稿などで起こりがちな問題になってしまっている。懸念の声は、mimicによって、こういった「自作発言」の発生に拍車をかけてしまわないかというものだ。

この騒動が「mimic」のPRなどに協力したイラストレーターや漫画家に対する誹謗中傷にまで発展していまい、リリース翌日の8月30日には同社が「【協力クリエイターさまへの誹謗中傷について】」と題して、コメントを出す事態となった。

その後、同社は「【mimicベータ版へのご意見に対する対応と回答、及び今後について】」と題して、8月30日付けで「mimic」の公開停止を発表。リリースからわずか1日足らずでの配信終了となってしまった。

同社は、今回のリリースについて「不正利用を防ぐ仕組みが不十分」だったと判断したそうで、今後はmimic正式版のリリースを目指し、不正利用対策を含む様々な課題の改善を進めたいとしている。