YouTubeは8月30日、2021年にYouTubeが日本においてもたらした経済的・文化的・社会的影響の調査結果を発表した。

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直接的/間接的/誘発的/触媒的な経済効果の総計は3,500億円

この調査は、英国の独立系コンサルタント会社であるOxford Economicsに依頼して実施したもの。3,500人を超えるYouTubeユーザー、2,000人以上のクリエイター、500以上の事業者を対象に行った調査と公式統計を用いて、YouTubeのエコシステムの経済的な影響を雇用やGDPへの貢献度の観点から分析した。

YouTubeの経済効果は、広告収入や音楽等に支払われるロイヤリティをコンテンツ所有者に還元する直接的な経済効果だけでなく、コンテンツ制作に必要な商品・サービスの購入のような間接的な経済効果、クリエイター自身やスタッフ、関連するサプライチェーンの従業員が得た収入を消費することによる誘発的な経済効果も含まれる。

さらに今回の調査では、YouTubeで活動するクリエイターがオリジナルグッズの販売/ブランドとの提携/ライブ活動などといった動画以外の領域における触媒的な経済効果についても推計している。

こういった種々の経済効果を総計すると、YouTubeが2021年に日本でもたらした経済効果は3,500億円以上。10万人を超えるフルタイム相当の雇用を創出したという。ちなみに2020年の経済効果は2,390億円、雇用創出は75,970人と推計されるとのこと。

10万人以上の登録者を持つチャンネルは6,500以上

またYouTubeエコシステム/ビジネスについての調査結果として、2021年のYouTubeに関する以下のようなデータが紹介されている。なお、ここでいう「クリエイティブ企業家」とは、自身のチャンネルの登録者数が1万人以上のYouTubeクリエイターと、登録者数が1万人未満であってもYouTube/他のソースからYouTubeを通じて収益を得ている、またはYouTube活動をサポートするためにスタッフ等を恒久的に雇用しているクリエイターを指す。

  • クリエイティブ起業家の85%が「YouTubeは、コンテンツ制作のチャンスと、従来のメディアでは得られなかった収益機会を創出している」と考えており、78%が「YouTubeで得た影響力を使って社会に貢献したい」と考えている
  • 日本国内で100万円以上の収益をあげているYouTubeチャンネル数が前年比で40%増加した
  • 10万人以上の登録者を持つチャンネルが6,500以上となり、前年比で35%を超える増加率
  • 中小企業の63%が「YouTube広告は売り上げの向上に寄与している」と考えている
  • YouTubeチャンネルを持つ中小企業の65%が、「新しいオーディエンスにリーチして顧客ベースを増やすうえでYouTubeが貢献した」と考えている
  • YouTubeを使用している中小企業の69%が、「スタッフにトレーニングを提供するうえでYouTubeは費用対効果の高い手法だ」と考えている

音楽業界では、配信/コミュニケーション/タレント発掘にYouTubeを活用

音楽産業についてはとくに一節を設けており、新型コロナウイルス感染症によりイベント開催が制限される中、YouTubeを通じてコンテンツを配信するなど、音楽産業の成長に貢献していることを紹介している。

中でも、YouTubeにより世界中のユーザーにリーチして国内アーティストのファン層を世界へ拡大できる点、YouTubeチャンネルのコメントやリアクションを通じたコミュニケーションでファンとのつながりを深められる点などを強調している。また、エージェントがYouTubeで発信される多数の新進アーティストに触れられること、アーティストを目指す人々がYouTubeを通じてひろくオーディエンスにリーチできることも、タレント供給の増加につながるメリットとして挙げている。

データとしては、YouTubeチャンネルを持つメディアおよび音楽関連企業の考えとして、その85%が「新しいアーティストや音楽がヒットするためにYouTubeが不可欠だ」と考えていること、72%が「YouTubeは業界のクリエイティブな人材輩出に貢献している」と考えていること、72%が「YouTubeのおかげで世界中の新しいオーディエンスにリーチできる」と考えていることを紹介している。

ユーザーの93%が「情報や知識を得るためにYouTubeを使用している」

もうひとつ、教育/学習ジャンルでの活用についてもくわしく言及している。YouTubeが正規の教育カリキュラムに組み込まれることが増えており、従来のアプローチをオンラインソリューションで補完できるほか、ユーザーがYouTubeを通してよりパーソナライズされた学習アプローチを享受することができるとしている。

教育に関して紹介されたデータは以下のようなもの。

  • ユーザーの93%が「情報や知識を得るためにYouTubeを使用している」と回答しており、71%が「YouTubeは皆が平等に学び、成長する機会を提供している」と考えている
  • YouTubeを利用している保護者の72%が「YouTube(13歳未満の場合はYouTube Kids)は子どもたちの学習に役立つ」と考えている

また、YouTubeは時事問題についての情報源になりうるとして、COVID-19のパンデミックや自然災害についての最新情報を入手できることをその例に挙げている。

日本国内で制作されたコンテンツの再生時間の10%以上が海外の視聴者によるもの

最後に紹介されているのは、日本のカルチャーの輸出に貢献しているという点。日本国内のチャンネルで制作されたコンテンツの総再生時間のうち、10%以上が海外の視聴者によるもので、クリエイティブ起業家の82%が「YouTube は世界で存在感を高めるうえで必須のプラットフォームだ」と考えており、70%が、「YouTubeのおかげで通常はリーチできないさまざまな国の視聴者にコンテンツを見てもらえる」と考えているというデータを紹介している。