ソニーは、天井や壁の音の反射を利用し、Dolby Atmosなどのサラウンド再生が行える一体型サウンドバー「HT-A5000」を10月22日に発売する。別売リアスピーカーを組み合わせて独自の“360立体音響”も楽しめる。価格はオープンプライスで、店頭価格は12万円前後を見込む。

  • HT-A5000(下)の設置イメージ

上向きのイネーブルドスピーカーを含む、5.1.2ch構成の一体型サウンドバー。65V型までの薄型テレビに適するサイズで、単体でDolby AtmosやDTS:Xといったイマーシブサラウンドコンテンツを楽しめるようにしているのが特徴だ。

  • HT-A5000

最上位サウンドバー「HT-A7000」(2021年発売/実売15万5,400円前後)同様に、別売のワイヤレスリアスピーカーと組み合わせ、さらに広大なサラウンド空間を作り出す「360 Spatial Sound Mapping」(360SSM、サンロクマル スペーシャルサウンドマッピング)に対応するといった拡張性も備えている。

なお、ソニーは55V型テレビに適するサイズの一体型3.1chサウンドバー「HT-A3000」(9月10日発売/実売88,000円前後)も同時に発表。詳細は別記事で紹介する。

  • ソニーの一体型サウンドバー製品を並べたところ。奥が最上位のHT-A7000、真ん中がHT-A5000、手前がHT-A3000

HT-A5000の詳細

HT-A5000は、上向きのイネーブルドスピーカーによる天井からの反射で音の立体感を生み出し、横向きのビームツイーターによる壁からの反射で広い音場を生成。独自のバーチャルサラウンド技術として、水平方向に音を広げる「S-Force Pro Front Surround」と、高さ方向の音を再現する「Vertical Surround Engine」を採用しており、これらを同時に駆動させることで、密度の濃いサラウンド音場を体験できるようにしている。

  • HT-A5000(左)の本体上面に上向きスピーカーを搭載。右のA7000とは天面の仕上げが異なる

フロントスピーカーとして、アコースティックサスペンション型のフルレンジ 46×54mm X-balanced Speakerユニットを左右に2基搭載。さらに、同じサイズのユニットを中央にセンタースピーカーとして1基、上面にもトップスピーカーとして2基搭載している。X-balanced Speakerユニットはスピーカーの振動板の面積を最大化し、音質を強化したソニー独自のもの。A5000のフロント・センター・トップに搭載しているユニットの大きさは上位A7000と共通。

  • フロントに46×54mm X-balanced Speakerユニットを内蔵

A5000のバースピーカーの左右端にはビームツイーター×2を搭載し、ウーファー(バスレフ型)として45mm×108mm X-balanced Speakerユニット×2も内蔵。これにより、5.1.2ch(5.1ch+天井2ch)の立体音響を仮想的に再現する。デジタルアンプS-Master HXを内蔵し、総合出力は450W。なお、A7000は7.1.2ch構成で総合出力は500Wとなっている点が大きな違いだ。

  • HT-A5000の内部構造

  • サウンドバー本体の高さを並べて比較。左からHT-A7000、HT-A5000、HT-A3000

A5000と、2021年モデル以降のBRAVIAの一部シリーズ(A90J/A80J/X95J/A95K/A80K/A90K/X95K/50V型以外のX90K)を組み合わせて、テレビの内蔵スピーカーをセンタースピーカーとして使う「アコースティックセンターシンク」機能が利用可能。

さらに、ホームシアターシステムの拡張にも対応しており、別売のワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」(実売74,800円前後)や「SA-RS3S」(同51,200円前後)を追加すると、室内に複数のファントムスピーカーを理想的な位置に生成してサラウンド空間を作り出す「360 Spatial Sound Mapping」が楽しめる。

  • ホームシアターシステム拡張の組み合わせの一例。別売のワイヤレスリアスピーカー(SA-RS5)と、サブウーファー(SA-SW3)を追加している

  • 「360 Spatial Sound Mapping」の体感イメージ

別体のサブウーファー「SA-SW5」(300W出力、同93,500円前後)や、「SA-SW3」(200W出力、同52,800円前後)を追加し、システム全体の低音を増強することも可能。内蔵マイクを使って室内環境を測定し、部屋のレイアウトにあわせて音場を最適化するキャリブレーション(音場最適化)機能も利用できる。

  • HT-A5000のキャリブレーション(音場最適化)機能の画面

なお、A5000とBRAVIAと接続すると、テレビ側の「クイック設定」のユーザーインタフェースに「シアターメニュー」が加わり、BRAVIAのリモコンでバースピーカー・サブウーファー・リアスピーカーの音量を調節したり、サウンドモードに切り替えたりできるようになる。

  • テレビ側の「クイック設定」のユーザーインタフェースに、ホームシアターの各種設定が加わる

無線LAN機能を備え、Spotify ConnectやChromecast built-in、AirPlay 2をサポート。また、ソニー独自の立体音響体験「360 Reality Audio」(360RA)に対応し、Amazon Music HDやDeezer、nugs.net、TIDALで360RAを体験できる。このほか、圧縮音源をハイレゾ相当に変換して再生する高音質化機能「DSEE Extreme」にも対応する。

背面にはHDMI入出力を各1系統備え、HDCP 2.2対応で、8Kや4K/120Hz、DolbyVisionを含むHDRの映像信号をパススルーできる。eARC(Enhanced ARC)も利用可能で、ドルビーTrue HDやDolby Atmos、DTS-HD MasterAudio、DTS:Xなどの音声をHDMIケーブル1本で、eARC対応テレビからサウンドバーへ伝送できる。本体前面のディスプレイには、入力ソースや音量などの情報を文字表示する。

  • 背面のHDMI入出力などのインタフェース

HDMI以外の端子として、光デジタル音声入力とUSBを1系統装備。音声アシスタントのGoogleアシスタントやAmazon Alexaにも対応する。また、スマートフォンなどの音声をBluetoothで受信してワイヤレス再生可能。対応コーデックはLDAC、AAC、SBC。

消費電力は約86W(待機時約0.5W未満)。本体サイズは約1,210×140×67mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約6.1kg。専用リモコンが付属する。

  • 付属のリモコン