7月2日から3日間にわたって、KDDIのネットワーク障害によって通信ができない状態が続きました。スマートフォンが通信できなくなっただけでなく、IoT機器などにも影響し、気象情報のデータ収集ができなかったり、ATMが利用できなかったりと、国民生活に大きな影響を与えました。
携帯各社は日ごろから多大なコストをかけて障害対策を行っていますが、予想外の事態は発生するもの。こうした通信障害に遭遇して手も足も出ずに困り果てる前に、私たちが対策できることはあるのでしょうか。まずは、基本的なことを頭に入れておきましょう。
「このキャリアなら通信障害とは無縁」ということはない
KDDIの障害では、音声、データ通信ともに影響を受けました。音声通話ができずに警察・消防などへの緊急通報ができなかったという声も聞きます。データ通信も使えないため、LINE通話のようなインターネット回線を使った音声通話もできません。データ通信に障害が発生すると、ニュースサイトやSNSを使った情報収集もできないため、情報からも孤立してしまうことになります。
今回のKDDIの通信障害を受け、「KDDI以外の回線に乗り換えれば安心じゃないか」と考える人がいるかもしれません。しかし、「どのキャリアなら安全なのか?」という問いかけはあまり意味がありません。今回、通信障害を引き起こしたのはKDDIでしたが、NTTドコモもソフトバンクも過去に大規模な障害を起こしたことがあります。このキャリアならば通信障害とは無縁、ということはなく、キャリアを変更したからといって決して安心はできないのです。
そもそも、各社とも一定以上の対策は打ち出しており、きわめて堅牢なネットワークを構築しています。今回の障害を踏まえた対策を実施することで、今後障害が発生する可能性はさらに減るでしょうが、想定外の障害はいつ発生するか分かりません。
万が一の時は、ファミレスやカラオケボックスの無料Wi-Fiに頼る
もし、運悪く外出時に通信障害を食らってしまった時にデータ通信をしたいならば、無線LAN(Wi-Fi)が使えるスポットを探すのが一番手軽です。コンビニなど街中にある無料のWi-Fiスポットは減少傾向とも言われていますが、コーヒーチェーンやファミリーレストランなどに行けば無料で提供しているところはまだ多く、食事やコーヒーのついでにデータ通信が行えます。落ち着いた環境で長時間利用したければ、カラオケボックスや駅などにあるテレワーク用ボックスなども有効です。
子どもがいる人は、万が一の時に家族と連絡が取れるよう、Wi-Fiが使えるスポットをあらかじめ家族で共有しておくのもよいでしょう。スーパーや地元の役所など、カフェ以外にも無料Wi-Fiスポットはあります。
月1,000円ほどをかけてバックアップ用回線を追加するのが現実的
Wi-Fiでのデータ通信だけでは不安、ということであれば、いよいよ複数キャリアの契約を検討することになります。その場合、おおむね1,000円程度の追加出費が毎月必要になります。とはいえ、既存のプランを見直して1,000円マイナスにできれば、その分を保険として別回線に置き換えることで、月々のコストを変えずに対策ができます。出費を最小限に抑え、なおかつスマートフォンの2台持ちをせずに「eSIM」の利用でバックアップ回線を持つにはどうすればよいかは、別記事「モバイル回線の通信障害に備えて考えたい、eSIMを活用した緊急用サブ回線の導入」で詳細に解説しています。
障害が発生したら急いでオンライン契約する手も
「保険だとしても新たな回線の支払いが毎月加わるのはいや」という人であれば、最後の手段が「障害が発生した段階でモバイル回線を新規で契約する」です。キャリアのサブブランドはオンライン契約が基本なので、店舗に駆け込んでも契約できない反面、インターネット経由で即座に契約し、eSIMをスマホにダウンロードして利用開始、という流れが可能です。
運転免許証やマイナンバーカードを常に持ち歩いていれば本人確認書類として使えるので、カフェなどのネットを使って新規契約し、eSIMをダウンロードして利用、という使い方ができます。ただ、状況によっては待ち時間が発生したり、いつ使い始められるか読めない可能性もあります。
キャリアのサブブランドなどは、新規契約時の事務手数料もゼロ円になっているのも見逃せません。いざという時に新規契約で通信障害を乗り切ったら、その月内に解約をすれば、初月分の利用代金だけで済みます。
一部のMVNOは店舗を持っているので、もし近くにあれば利用するのもいいでしょう。契約作業はどのみち必要ですが、その場で契約できて、物理SIMカードでも即時使い始められるのがメリットです。
携帯料金が安価になり、2年縛りのような料金がなくなった現在、ユーザー側も新たなプランを活用して万が一のトラブルに備える使い方を考えるのがよいでしょう。