2018年からコードレスクリーナーを展開しているアクア。2022年は従来の2モデルの後継機に加えて、同社初のハンディクリーナーを発売しました。さっそくアクアのクリーナー新モデル(3製品)をチェックしてきました。

アクアは旧三洋電機を前身とする白物家電メーカーです。三洋電機はパナソニックが2009年に子会社化しましたが、白物家電事業は2011年に中国・ハイアールグループの傘下となり、2012年から「アクア」として事業展開。三洋電機から継承した洗濯機事業と冷蔵庫事業を中心に、日本において「AQUA」ブランドの製品やサービスの企画・開発・販売を行っています。

直近の掃除機分野では、2020年にハイアールグループのヨーロッパ老舗企業・Candy-Hoover社と共同開発したコードレススティッククリーナー「AQC-HF500」を発売しています。日本における掃除機市場は、コードレススティッククリーナーを中心に年々拡大しており、今後も成長が見込まれています。今回はそうした背景を受け、「アクアのタッチポイントを増やしたい」として、アクア初のハンディクリーナーを発売しました。2022~2023年のラインナップとしては、コードレススティック掃除機(2モデル)にハンディ掃除機を加えた3つラインに拡大されました。

  • AQUAのクリーナー、ラインナップの変遷

ハンディ掃除機「HANDY DUO! AQC-HH700」

7月6日発売のハンディ掃除機「HANDY DUO! AQC-HH700」(以下、AQC-HH700)は、一人暮らしや、ファミリー世帯の2台目ニーズに向けた製品。スティッククリーナーでは掃除しにくい場所やアウトドアでの使用を想定して開発されました。

本体サイズは幅6.6×奥行き6.9×高さ41.8cm、重さは650gと、スリムで軽量。内蔵バッテリーは約3時間の充電で標準モード約13分、強モード約8分の連続運転が可能です。ダストカップの容積は約0.15Lとなり、いずれも昨今のハンディクリーナーとしては標準的なスペックです。

  • 2018年に米国のSharkが「EVOPOWER」を発売して以降、ハンディクリーナーの主流となっているスリムなボトル型。AQC-HH700も片手でラクに持てます

  • ダストカップの容積は0.15L。内側のパーツはフィルターを含めてすべて水洗い可能

アクアらしさを打ち出すために、独自のブロワー機能を搭載しました。本体のダストカップを取り外して付属のブロワーアタッチメントを装着すると、ゴミを吸い込むのではなく、吸気口から吸い込んだ空気をノズルの先端から勢いよく排出します。家具のすき間や部屋の角、窓の溝など、掃除機ではゴミを吸い込みにくい場所も、溜まったゴミを吹き飛ばして清掃できます(吹き飛ばしたゴミは普通に吸引掃除)。

本体内部にはフィルターがあり、空気はある程度キレイになった状態で排出。さらに、ブロワーノズルの先端にエアパイプとポンプアタッチメントを取り付けることで、ビニールプールや浮き輪などの「空気入れ」としても使えるのもユニークなポイントです。

  • 本体は電源とバッテリー部、ダストカップで構成

  • ブロワー機能は、ダストカップをブロワーアタッチメントに交換して使います

  • ブロワーアタッチメントを取り付けることで、吸気口から吸い込んだ空気をフィルターで濾過(ろか)したあと、先端の排気口から吹き出す仕組み

  • ブロワーアタッチメントのにエアパイプとポンプアタッチメントを取り付けると、ビニールプールや浮き輪などの空気穴に射し込んで空気を入れられます

【動画】浮き輪の穴から空気を入れます(音声が流れます。ご注意ください)

そのほか「ミニ回転ノズル」が付属。先端をストレートカットにしたブラシとラバーの羽根を合わせた回転ブラシによって、ソファや絨毯といった毛ゴミが絡んで取れにくいところを便利に掃除できます。「3Way ノズル」は、アタッチメントの取り付け方を変えられるようになっており、スキマノズル、ブラシノズル、ソフト素材向けノズルという3通りに使い分けられます。

  • 「ミニ回転ノズル」はソファや絨毯向け。毛ゴミが絡んで取りづらい場所も、ブラシとラバーによって効率よくゴミをかき込みます

  • スキマノズルとブラシノズルで構成される「3Way ノズル」

  • スキマノズルとして使用する場合

  • アタッチメント先端の取り付ける方向を変えることによって、ブラシとソフトノズルという2通りで使えます。ソフトノズルは、たとえばテレビの画面などを優しく掃除するときに

AQC-HH700のデザインはイタリアのMomo DESIGN社が担当し、シンプルでシュッとした雰囲気が特徴的。吸引力は500円玉をラクに吸い込むパワーがあり、ノズルの先端にはLEDライトがあるので暗い場所でもスムーズに掃除ができます。

  • 強モードで吸引した500円玉は一瞬で中に吸い込まれていきました。ノズルの先端にはLEDライトを搭載しています

  • 「本体は軽めで持ちやすく、ゴミが目についたらサッと掃除」(編集林)

  • かつて、足踏み式のエアポンプで子どものプールを膨らませた過去に浸りながら「掃除機で空気を入れられるのはラク……」と語るマイナビニュース・デジタルの林編集長

コードレススティック掃除機「Pet Primo AQC-HF501」

6月1日発売の「Pet Primo AQC-HF501」は、2020年に発売した「AQC-HF500」の後継機種にあたり、こちらもCandy-Hoover社との共同開発。カラーは前モデルと同じシャイニーライムグリーンに加えて、ブライトブルーが増えました(ベネチアンレッドはなくなりました)。

  • 6月1日発売の「Pet Primo AQC-HF501」、実勢価格は29,700円。カラーはシャイニーライムグリーンとブライトブルーの2色です

  • 掃除機本体が自立するのは使い勝手のよいところ

前モデルの「AQC-HF500」は、「for pet lovers」とうたっていたように、ペットを飼っている家庭向けに開発されたモデル。後継機種の「Pet Primo AQC-HF501」(以下、AQC-HF501)もペットオーナーを意識しており、製品フレーズを「Pet Primo」に変更して特性をより前面に打ち出しました。「Primo」はイタリア語で「第一に」の意味。共同開発したCandy-Hooverグループの本拠がイタリアであることから採用されたそうです。

新作のAQC-HF501も前モデルと同様に、掃除機に毛ゴミが絡んで掃除しづらいという声に応えた基本構造や機能・性能は継承。さらに細かな部分で改良が施されています。

以前からの特徴でもある「ケトリゴム」と呼ぶアタッチメントは、ペットの毛をグルーミングするゴムブラシに着想を得たパーツ。フロアヘッドに取り付ける「ワイドケトリゴム」と、ミニノズルに取り付ける「ミニケトリゴム」の2種類が用意されています。いずれも吸引口の近くに取り付け、繊維の表面に絡んだ毛ゴミをかき出す能力を追加します。

  • フロアヘッド裏面の手前側に装備されているのが「ワイドケトリゴム」

  • 「ミニノズル」の場合は、裏側の中央部分に取り付けられているのが「ミニケトリゴム」

フローリングなどではブラシの突起が引っかかってしまうため、ホコリ取りの役割を持つ起毛布のアタッチメントに付け替えて使用します。新モデルではこのアタッチメントの端にタグが付き、交換しやすいように改良されました。

  • 「起毛布アタッチメント」(左)と「ワイドケトリゴム」(右)

  • 「ワイドケトリゴム」の部分は、床の種類に応じて起毛布のアタッチメントに交換。起毛布アタッチメントの端にタグが付いて、入れ替えしやすくなりました

  • 「ワイドケトリゴム」を穴にスライドさせて交換

  • 回転ブラシの取り出しは、端の黄色いロックを外すだけ。工具やコインを使わずラクに行えます

「ハイブリッド回転部」と呼ぶ、ブラシとラバーの二重構造になっている回転ブラシも改良。ブラシに絡まりやすい糸くずなどの細かいゴミを、ラバーの羽根で解きながら回転して吸い込む仕組みですが、ブラシの先端をストレートカットすることでブラシへの毛絡みを減らしています。また、ブラシ毛には抗菌剤が施され、清潔性がアップしました。

  • ブラシの先端をストレートにしたことで、毛が絡みにくくなっているとのこと

ローラー部分の材質も変更しました。強度をアップさせつつ表面が平滑な素材にすることによって、車輪のゴム面に毛が引っ付いて絡みやすかった点を改善したそうです。

  • ローラー部分を硬質かつ表面が平滑な素材に。毛が絡みにくくなっています

【動画】絨毯に本物の犬の毛をこすりつけて吸引テスト(音声が流れます。ご注意ください)

ダストカップの容量や形状はそのままですが、透明から黒味がかった色味になり、外から中身が見えにくくなっています。ダストカップの溜まり具合がわかりやすいのは使い勝手の面でも利点といえますが、ゴミが見えすぎるのは汚らしさを感じさせるということで、スモーク気味になりました。

  • 旧モデル(右)と新モデル(左)のダストカップ。透明から黒っぽくなり、中身が見えない色に

  • ボタンを押すとダストカップのフタが開き、溜まったゴミをダイレクトにゴミ箱へと捨てられます

  • 方向を逆にして取り付けることで、ブラシとソフトブラシの2通りに使える先端ノズル

  • バッテリーは着脱式。掃除機本体に装着したままでも取り外しても、バッテリーにACアダプターを挿して充電可能

  • ハンディ部分を外してパイプにかけると自立し、クローゼットや押し入れ、階段下などの狭いところに収納できるギミックもそのまま

  • 付属品は専用の収納袋にまとめて収めておけます

コードレススティック掃除機「AQC-ZX1N」

6月22日発売の「AQC-ZX1N」は、2018年に発売された「AQC-LX1F」「AQC-SX1F」の後継機。スティックの本体部分がハンディ掃除機になる2in1スタイルです。実勢で19,800円というリーズナブルな価格で、一人暮らしやファミリー向けの2台目需要に向けて展開していきます。

  • 6月22日発売の「AQC-ZX1N」、実勢価格は19,800円

  • スティックから本体を取り外すと、ハンディクリーナーに

従来モデルとの大きな違いは吸引力。約1.7倍にパワーアップして、2in1タイプでは最大クラスになりました。集じん部は完全サイクロン方式を採用。リチウムイオンバッテリーは約4時間の充電で、標準モードで約60分、強モードで約20分の運転が可能です。

デザイン面では、従来モデルに比べて集じん部の横の膨らみを抑えてスリムになりました。カラーリングも、アクアの冷蔵庫や洗濯機といった製品との統一感を意識して、モノトーンでまとめています。

  • 旧モデル(右)との比較。本体部分の幅がスリムになり、モノトーンのデザインに。ヘッドブラシの前面にはLEDライトを搭載し前方を明るく照らしながら掃除できます

  • カーペットに入り込んだゴミや毛をかき出すラバーとブラシで構成された回転ブラシ。ロックを解除して取り外せるので、お手入れも簡単

  • ハンディクリーナーとしての使うときはこんな感じ。重さ約1.3kgです。2Wayノズルを取り付けると狭い場所へも対応できます

  • 2Wayノズルは充電スタンドの背面にセットでき、取り出しやすく紛失防止にも◎

  • ダストカップの容積は0.3L。2in1タイプの掃除機では珍しく、ボタンを押すとダストカップのフタが開き、ワンタッチでゴミが捨てられる設計です