米Netflixと米Microsoftは7月13日(現地時間)、広告配信に関する提携を発表した。Netflixが提供準備を進めている広告付きの新しいサブスクリプションプランで、広告配信にMicrosoftの技術を採用、広告販売でも協力する。
Netflixは、サブスクリプション形式の動画ストリーミングサービスの開始以来、視聴者の体験と満足度をシンプルに追求することが長期的なビジネス価値を生むという考えから、広告モデルの採用を否定し続けてきた。しかし、今年1〜3月期に過去10年で初めて会員数がマイナスに転じた。巣ごもり需要からの反動、動画ストリーミングの競争激化、そして急速な物価上昇で消費者が娯楽支出に慎重になるなど、複数のマイナス要因が重なっている。1月に北米で約11%の値上げを発表、不適切なパスワード共有対策に乗り出すなど減速に歯止めをかける対策を講じる一方で、より多くの消費者にアピールできる広告付きの新プランを導入する計画を示した。
広告付きプランは、YouTubeのような無料サービスではなく、広告フリーのベーシックプラン(月額990円)よりも低価格なプランになる。現時点で提供開始時期など詳細は不明だが、Netflixは広告配信のパートナーとしてMicrosoftを選んだ理由として「技術と営業の両方で時間をかけて革新していく柔軟性」と「Netflix会員のプライバシーを強固に保護する提案」を挙げた。広告付きでもNetflixらしい満足度の高いサービスを目指すようだ。
「私たちの長期的な目標は明確です。消費者にはより多くの選択肢を、広告主にはプレミアムでリニアTVよりも優れた体験を提供します」とNetflixのグレッグ・ピーターズ氏(COO兼CPO)。また、Microsoftのサティア・ナデラ氏(CEO)は「パブリッシャーを長期的に支える広告の収益化プラットフォームを通じて、世界中でより多くの人が好きなコンテンツにアクセスできるようにしたいと考えています」とツイートした。
NetflixとMicrosoftは2000年代後半から良好なパートナー関係を築いてきた。Netflixが動画ストリーミングサービスを立ち上げた時にMicrosoftのSilverlight技術を採用、「Xbox 360」が高解像度のNetflixストリーミングを視聴できる最初のゲーム機になった。Netflixのリード・ヘイスティングス氏(CEO)は、2007年から2012年までMicrosoftの取締役を務めていた。