獲物を捕獲するために超高温のプラズマ衝撃波を出すことで知られるテッポウエビが、自身が放つ衝撃波から自分自身をどのように守っているかの論文が7月5日に発表された。

  • 4,000℃のプラズマ衝撃波を出すテッポウエビが、自爆しない理由が明らかに

    ヘルメットの高性能化に応用できそうな研究結果

テッポウエビのプラズマ衝撃波は、ハサミを素早く閉じることで、4,000℃もの高温を発生させ、獲物を気絶させることができる。論文では、その衝撃波から「自身」をどのように守っているのかが明らかとなった。

鍵となるのはテッポウエビの目の下にあるフード構造のようだ。米タルサ大学の研究チームは、テッポウエビに対して、そもそも自身がどのように衝撃波の影響を受けるのか、目の下にあるフード構造が衝撃波に影響するのかなど4通りの行動実験を実施。そして、衝撃波によって行動に変化がなかったのかを、巣穴に到着するまでの時間で評価した。

  • 図のcがフード構造

結果としては、最も影響が大きかったのは、フード構造を人工的に切り取り除去されたテッポウエビで、巣穴に到着するまでの時間や、通常姿勢になるまでの時間が約7倍も余分にかかっていた。このことから、テッポウエビの目の下にあるフード構造は、衝撃波から身を守るヘルメットの役割を果たしていることがわかった。また、このフード構造に圧力センサー実験を行なったところ、構造内の水圧が周囲より高圧になっていることと、衝撃波を受けた瞬間に構造内の水を排出することで、衝撃を緩和していることも明らかとなったそうだ。